小屋裏の片隅から、上棟式の際に使われた「上棟札」が出て参りました。
そこに記された年号は大正13年12月23日。この京町家が、今からざっと88年前
に上棟を迎えたことが判明しました。
そして今回のリノベーション工事が完了するのが、平成23年12月22日の予定。
88年という時を越えて、生まれ変わることを考えますと、住人でなくとも感慨深い
ものがあります。
そして、そんな歴史ある住宅には今回、ホームエレベーターが設置されました。
明るさ・風通し・見晴らしなどの住環境が良い2階をメインの生活スペースとして
生まれ変わらせるための重要な助っ人です。
「まさか、エレベーターが設置されるなんてねぇ~」と、築88年の京町家も驚いて
いることでしょう。
工事は着実に完成に向かっています。
O様邸では、”ちょうな(ちょんな)削り”を施した北山杉の床柱を使用しています。
今日は、その加工をする日ということで、京都北山丸太生産組合の方にご案内頂き、
北山へ見学に行って参りました。
この”ちょうな削り”を行う職人さんは、京都では3人しか居られないというくらい技術を
要する技なのです。この方は、桂離宮の改修や京都御所の迎賓館でも腕を振るわれ
たそうです。その技は、まるで機械のように正確なリズムを刻むと共に、正確な位置に
振り下ろされ、見る見る内に機械では絶対に出せない味わいが木に刻まれていきます。
その技術にしばし見入っていました。
出来上がりはまさに職人技です。
これぞ職人という方を目の当たりにし、身の引き締まる思いでした。
本当に貴重な体験をさせて頂き、ありがとうございました。
この木を活かす空間になることを確信しております。
是非、出来上がりを楽しみにしていて下さい。
本日無事、上棟式を開催いたしました。
お施主様とお出会いしたのが、今年の1月末。ここに至るまで10ヶ月という月日が
積み上げられてきました。無事上棟を迎えることができ、非常に嬉しく思っております。
基礎の段階では「狭いんじゃないの??」と皆さん思われるわけですが、骨組みが
出来上がりますと「広いんじゃないの??」という感想に変わります。不思議です。
今回も、そんな不思議体験をKTさまに味わっていただきました。
上棟式やその後の直会(なおらい)によりまして、造る側・住まわれる側双方の気
持ちが一つにまとまった気がしております。
現場監督さんの「気持ちとこころを込めまして、創りあげていきたいと思います」という
言葉通り、良い建物・空間に仕上がっていきますよう、設計者としても監理して参りたい
と思います。これからもたのしみです。
基礎のコンクリートも出来あがり、いよいよ建て方を迎える寸前です。
今は土台の敷き込みが完了し、来週から始まる建て方を今か今かと待っている
状態です。週末は雨が予想されていますので、念の為ブルーシートで土台は養生
されております・・。
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