前回(約1年前)のリノベーション工事では触らなかった1階
部分を重点的に今回の工事対象としております。
主に畳の入れ替えや照明のやり替え、一部建具のやりかえ等
ですので、大幅な間取り変更はございません。
が、写真のように左官壁の塗り替えが大々的に行われおり
仕上がりが楽しみです。
また、いくつか形の異なる下地窓もあり、その周辺壁も
塗り替えが進んでおります。
丸に竹をあしらった下地窓
釣鐘型のもの
丸に雲形の意匠をあしらったもの。
等など、色々と凝った意匠が特徴的な下地窓の数々と
なっております。
お出会いしてから約4年。
最初は築100年を超える大型京町家の建て替えのご相談からでした。
建て替えて新築、改修して用途変更等。京町家の維持か、建て替えて生活を
優先すべきか あらゆる可能性を探りながらの4年でした。
水廻りの使いにくさ(狭い・寒い・暗い)の改善を筆頭に、これからの
維持管理はたまた世代交代への対応をどうするか、といった様々な問題
を抱えつつ、どれがベスト解なのかが誰も分からない状況でした。
京都市の景観重要建造物に登録されていたため、壊すに壊せない状況
であることも分かり、京都市の担当者の方々と膝を突き合わせての
協議が続く期間もありました。
残し方をめぐり、対立関係になってしまった時期もありました。
そしてYD様が下された決断は、普段の生活が快適に暮らせるように
部分改修を行い、京町家本体は残す。というものでした。
苦渋の決断だったと思いますと共に、幼少期から過ごされてきた空間が
残ることに対して一種の安堵もあったかもしれません。
京町家は外部から見れば味わい深く、歴史を感じる良い建物であることは
間違いありません。私も残せるものなら残したいと思っております。
しかし、それはあくまでそこで生活される方々の快適性を担保した上で。
という条件付きでの想いです。
今回の方策がベストだったのかどうかは誰にも分かりません。
ただ、YD様ご家族が改修された場所をご覧になられて笑顔であったことが
今回のプロジェクトに携わった者の一人として、救われた想いです。
これからまた数十年、街並みの核となりつつ、YD様ご家族が快適に
暮らせることを祈っております。
YD様、これからも末永くよろしくお願い申し上げます。
床の養生が外され、杉板のフローリングが姿を現しました。
襖紙も刷新し、落ち着いた紺色の表情が空間のアクセントとなっております。
出窓部分もペアガラス入りのアルミ樹脂複合サッシとし、断熱性能が
高まっております。
水廻りへと繋がる廊下部分にも新しい建具が入りまして
いよいよ完成間近といった感じ。
間もなくお引渡しです。
道路に面する木製建具をアルミ樹脂複合サッシへと
入れ替える作業中。
建具の開閉がし難いということでのやりかえですが
ペアガラス仕様となりますので、開閉と同時に断熱性や
防音性も高まります。
2階では居室のクロス工事が始まりました。
まずはビス頭やボードのジョイントをパテ処理しまして
平滑にした上でクロスを貼って参ります。
このお部屋はほぼ全域が掲示用クロスとなる予定です。
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