空間工房 一級建築事務所

HOME > MESSAGE
23.04.27 Thursday

京町家を残すということ

お出会いしてから約4年。

最初は築100年を超える大型京町家の建て替えのご相談からでした。

建て替えて新築、改修して用途変更等。京町家の維持か、建て替えて生活を

優先すべきか あらゆる可能性を探りながらの4年でした。

水廻りの使いにくさ(狭い・寒い・暗い)の改善を筆頭に、これからの

維持管理はたまた世代交代への対応をどうするか、といった様々な問題

を抱えつつ、どれがベスト解なのかが誰も分からない状況でした。

京都市の景観重要建造物に登録されていたため、壊すに壊せない状況

であることも分かり、京都市の担当者の方々と膝を突き合わせての

協議が続く期間もありました。

残し方をめぐり、対立関係になってしまった時期もありました。

そしてYD様が下された決断は、普段の生活が快適に暮らせるように

部分改修を行い、京町家本体は残す。というものでした。

苦渋の決断だったと思いますと共に、幼少期から過ごされてきた空間が

残ることに対して一種の安堵もあったかもしれません。

京町家は外部から見れば味わい深く、歴史を感じる良い建物であることは

間違いありません。私も残せるものなら残したいと思っております。

しかし、それはあくまでそこで生活される方々の快適性を担保した上で。

という条件付きでの想いです。

今回の方策がベストだったのかどうかは誰にも分かりません。

ただ、YD様ご家族が改修された場所をご覧になられて笑顔であったことが

今回のプロジェクトに携わった者の一人として、救われた想いです。

これからまた数十年、街並みの核となりつつ、YD様ご家族が快適に

暮らせることを祈っております。

YD様、これからも末永くよろしくお願い申し上げます。

京都市YD邸リノベ<竣工> | by muranishi | comments(0)

コメントをどうぞ

建築中
NEW POST
京都市KS邸
京都市NM邸リノベ
京都市KS邸
京都市NM邸リノベ
ARCHIVES
空間工房 用舎行蔵 一級建築士事務所
住所:〒602-0914京都市上京区室町通り中立売下がる花立町486
TEL:075-432-3883
FAX:075-334-8051
ALL CONTENT COPYRIGHT 2012(C) KUKANKOBO YOSYAKOZO ARCHITECYS OFFICE ALL RIGHTS RESERVED