お出会いしてから約4年。
最初は築100年を超える大型京町家の建て替えのご相談からでした。
建て替えて新築、改修して用途変更等。京町家の維持か、建て替えて生活を
優先すべきか あらゆる可能性を探りながらの4年でした。
水廻りの使いにくさ(狭い・寒い・暗い)の改善を筆頭に、これからの
維持管理はたまた世代交代への対応をどうするか、といった様々な問題
を抱えつつ、どれがベスト解なのかが誰も分からない状況でした。
京都市の景観重要建造物に登録されていたため、壊すに壊せない状況
であることも分かり、京都市の担当者の方々と膝を突き合わせての
協議が続く期間もありました。
残し方をめぐり、対立関係になってしまった時期もありました。
そしてYD様が下された決断は、普段の生活が快適に暮らせるように
部分改修を行い、京町家本体は残す。というものでした。
苦渋の決断だったと思いますと共に、幼少期から過ごされてきた空間が
残ることに対して一種の安堵もあったかもしれません。
京町家は外部から見れば味わい深く、歴史を感じる良い建物であることは
間違いありません。私も残せるものなら残したいと思っております。
しかし、それはあくまでそこで生活される方々の快適性を担保した上で。
という条件付きでの想いです。
今回の方策がベストだったのかどうかは誰にも分かりません。
ただ、YD様ご家族が改修された場所をご覧になられて笑顔であったことが
今回のプロジェクトに携わった者の一人として、救われた想いです。
これからまた数十年、街並みの核となりつつ、YD様ご家族が快適に
暮らせることを祈っております。
YD様、これからも末永くよろしくお願い申し上げます。
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