■大概の個人設計事務所は、一人の主宰者(所長)がトップに立
ち、スタッフが脇を固める。という構図だと思います。
まあ、設計の進め方はマチマチでしょうが、最終判断/決断は
一人で行いますので、多分スムーズだと思います。
一方、私達は二人の共同主宰で設計事務所を運営しています。
なので、決定までに時間が掛かります。これがデメリットなら
恐らく10年も一緒に続けられなかったでしょう。
そう。つい先日、事務所設立丸10年を迎えました!
その記念に?今回のコラムです。
それではどうぞおたのしみください。
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■用舎行蔵イズム
誰も分析しないと思うので、自ら「用舎行蔵」について分析し
てみる。
用舎行蔵の何についての分析か、というとそれは勿論設計内容
についてである。
現在、色々なプロジェクトが同時進行中なのだが、事務所内は
過去(竣工完了)の模型も含めて、様々なカタチの模型が同居
している。
箱型もあれば家型(三角屋根)もあり、当たり前だがどれひと
つとして同じカタチをしているものはない。
敷地の大きさも違えば、各お施主様のご要望も違うので、結果
が違うのは当然。と言える。
インプットが違うからアウトプットが違う。
が、唯一つ全てのプロジェクトに共通しているのは、「用舎行
蔵」というフィルターを通っているということ。
同じ設計者が設計しているのだから、似たようなものが出来上
がる。という設計事務所もある。
同じ設計者が設計しているのに、傾向が掴めない。という事務
所もある。
どちらかと言えば、私達は明らかに後者である。
それが良いか悪いかは別として。
前者は分かりやすい。その作風というか、空間のニュアンスと
いうか、雰囲気が好きな人は、多分安心して設計を依頼できる。
後者は分かりにくい。かもしれない。でも、今までとは違うも
のが出来る(かも)という期待感はある(はず)。
何故、私達の設計する建物の傾向はバラバラなのか?
理由はいたって簡単である。先入観なしに土地と向き合い、先
入観なしにお施主様のご要望を聴く。からだと思う。(お?分
析っぽい)
一番重要なのは、僕たちがやりたい/実現したい空間ありき。
ではなく、お施主様が求められているであろう生活スタイル/
過ごし方を実現するための空間創り。だと思っている。
それを実現するために、知恵やアイデアを出す。
そしてたまに却下される。
さらに工夫する。
納得される。
この繰り返しで、詳細は詰められる。
私達が気持ちよいと思えない空間は、誰も気持ちよいとは思わ
ない。と思っている。
同様に。相方が心地良いと思えない空間は、誰も心地良いとは
思わない。と思っている。
この用舎行蔵内の双方(河野と村西)の相互チェック機能が、
結構重要なのかもしれない。と勝手に思っている。
まあ、一番重要なのはお施主様の評価機能に違いないのだが。
建物に正解はない。だからこそ、関係者全員が「いいね!」と
思える空間を目指さなければならない。と思う。
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■編集後記
設立記念日(2月22日)に、現在設計進行中のNさまより
キレイなお花を頂きました。まさか自分達でも忘れそうな
設立日をご存知とは夢にも思っていませんでしたので、それは
それはビックリしましたし、嬉しさも爆発でした。
今まで支えていただいた多くのお施主様方や関係者の方々にも
感謝しつつ、これからも設計活動に邁進して参りたいと思い
ます。
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3652日。
10年。
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