学生の時、設計課題を考える際にはまず形のスタディから入っていた
記憶があります。
いかに面白く、或いはシンプルに、或いはエモーショナルな形に
辿り着けるか。といったような思考回路で。
なので、出来上がった形にあとからコンセプト(設計主旨)を
エイヤーと書いていました。
と言いますか、設計主旨だけ なかなか手が進まなかった記憶が
あります。
最近、スタッフにはことあるごとに、まずいきなりエスキスを
はじめることはしないで欲しいと伝えています。
なぜなら、それは主観が入る割合が高くなり、その良しあしが好き嫌いで
判断されがちになると思うからです。
そうではなく、まずコンセプトから作り込んでいく。
共通の「言葉」という物差しを作っていく。
この建築で実現すべき内容は何なのか。お施主様のご要望をヒントに。
敷地の環境をヒントに。社会情勢をヒントに。
そうして創り上げられた言葉の物差しを関係者全員が持って
形をつくって行くことで、好き嫌いではなく、作られた言葉の物差しに
沿っているか沿っていないかで誰もが公平に判断出来るようになる
と考えています。
そうすることで、出来上がった形にあとからコンセプトを付けるのではなく
コンセプトに沿った形が出来上がっていく。
それが正しい創造の方法だと思っています。
だからこそ、コンセプトの純度を高めていくことが、設計の取り掛かりの際に
最も重要となります。
そのコンセプトは誰もが納得出来るものか。誰もに心地良いものか。
そんなことを考えながら設計をしています。
コンセプトに合った形や色やボリュームや外観やプランなどを追及する。
それが設計者に必要な素養だと思っています。
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