■強烈な寒波が日本列島を覆う中、受験生にとっては試練/試験
の始まりが告げられました。と同時に、京都では都道府県対抗
の女子駅伝が繰り広げられました。自宅のそばが、マラソンル
ートになっていますので、女子駅伝に限らず、マラソン開催の
たびに家族揃って応援に行くのですが、今回は雪が積もらなく
て良かったと思いました。受験生も駅伝ランナーも必死ななか
応援に出る以外は家でじっとしていました。
そして新聞を読んでいると目にとまった内容が・・。
今回はそんなところからお届けするコラムです。
それではどうぞおたのしみください。
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■センター試験
個人的には全く関係ないのだが、毎年この時期になると新聞に、
センター試験の問題が掲載されるので、興味半分に見る。
勿論(?)、その内容の殆どは全く解くことが出来ず、唖然と
してしまうのだが・・。
そんなセンター試験の今年の国語の問題を見た。
その第一問の長文問題は、なんと「建築」に関する記述だった。
これは、どんな設問に繋がるのかも含めて、凄く興味が湧いた
ので、結構真剣に長文を読んだ。
おかげ様で、文章の内容はすんなりと理解出来たし、書いてい
る内容も納得いくものだった。ついでに設問にも、ほぼ正解す
ることが出来、大変(自己)満足だった。
が、個人的には凄くマニアックというか、専門的な内容だった
ように思う。文章テクニック的(=学習で得られる常識)な設
問というよりは、建築の本質を問うような内容もあった。読解
力の問題と言えば言えなくもないのだが、文学小説でも新聞の
論説でもなく、「建築」という言わば専門的な領域に関する文
章から出題されていることに若干驚いたし、何故だか嬉しかっ
た次第である。
まあ、個人的感想はその位にして・・。
その長文に記載されていた内容で、最も印象に残ったことを少
し書いておきたい。
それは、著者が文章内で引用した、建築家・青木淳氏の言葉で
ある。因みに青木淳氏は、現代の建築家であり、磯崎新氏のア
トリエを出られた方である。一般の方に最も知られている建築
は、恐らく「ハイアットリージェンシー大阪のホワイトチャペ
ル」や「青森県立美術館」あたりではないだろうか。
そんな青木淳氏の言葉(著書)の概略は、以下の通りである。
「建築とは、遊園地的であるよりも広場的である方が良いし、
そんな建築を創りたい」
つまり。
遊園地とは、アトラクションとしての遊戯道具が多くあり、其
々の遊具には一つの目的のみが課されている。ジェットコース
ターや海賊船・フリーフォール・急流スベリ・観覧車などなど。
其々の遊具は他では代用出来ない動きをするし、人々はそれを
楽しむ。
一方で広場は、ただ広場があるだけである。座って寛いでもよ
い。寝転んでも良い。ボールがあれば野球やサッカーも出来る。
縄跳びもかくれんぼも鬼ごっこだって出来る。どのように使う
かは、そこを訪れる人の自由だし、アイデアによって様々な使
い方が発生する。
なるほど。である。
多くの設計者・建築家が肯く内容だと思う。少なくとも私も、
そのような空間創りを目指している一人である。
「自由」ということを全面に押し出すと、人はかえって何をす
れば良いのか分からなくなり「不自由になる」という統計結果
も確かにある。なのでそこまで、なんでもかんでもフリーにす
る必要はないのかもしれないが、一つの部屋が一つの目的のた
めだけに存在するという在り方は、避けたい。と思うのである。
使い方を規定しないというか、ある程度の「あそび」があると
いうか、想定外の使い方を許容できる空間というか、色んな使
い方を誘発する空間というか、そんな感じ。(どんな感じ?)
得てして「フリースペース(多目的)」というものは、何にも
使えない空間になったりする傾向がある。特に公共建築に於い
て。それは、音環境や収容人数や諸々の設備が、単純に中途半
端(無目的)だから、何にも使えないというオチになる。
しかし、上述してきたのはそんなオチにならないことを考慮し
た空間の話し。なんらかの仕掛けや工夫が施されていることで、
使い方を誘発/許容するイメージ。
センター試験中にこんなことを考えていたら、スグに時間切れ
になるだろうなと思いつつ、今年の試験問題を眺めていた。
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■編集後記
なぜそれほど強いのか?と思う京都の駅伝チーム。地元だから
という理由だけでは説明できない強さです。まあ、応援し甲斐
があって良いのですが、去年は6連覇後の3位で今年返り咲き。
強いです。
センター試験の方は、長文を読んだら知恵熱が出そうでしたの
で、他の問題は全く見ていません・・。
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■発 行:空間工房 用舎行蔵 一級建築士事務所
? (くうかんこうぼう ようしゃこうぞう)
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京都市上京区室町通り中立売下ル花立町486
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E-mail:info@yosyakozo.jp
行動を誘発する空間。
行動を制限しない空間。
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