空間工房 一級建築事務所

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10.12.22 Wednesday

住宅に必要な費用の話し(建物編)

■建物本体以外に掛かる費用は、決して馬鹿にできない金額に

 なります。それらの諸費用は落せない。けれどもトータルの

 金額は落としたい。となると行き着くコストダウンの標的は

 自ずと「建物本体費用」となるのが一般的です。

 でも素朴な疑問が付き纏います。実は「建物本体」が最も重

 要というか、「建物本体」をつくることが一番の目的である

 はずで、それ以外は枝葉末節の部分なのでは?という疑問。

 そこを踏み外さなければ、家創りは楽しめます。必要以上に

 (相場以上に)価格を掛ける必要は全くありません。しかし

 必要以上に価格を落すのは、住宅を建てるという根本目的を

 見落としている気がします。

 まあ、皆さんそんなことは百も承知なのでしょうが・・。
 
 ということで、住宅に掛かる費用のお話し最終章。

 それではどうぞおたのしみください。

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■住宅に必要な費用の話し(建物編)

 3回目にして、ようやく建物編のお話しである。

 と言っても、前回の最後の方で、建物本体費用・設計料・確認
 申請などの実費費用・場合によっては開発・宅造などの特別費
 用が必要となる場合もある。という話しまでは終わっている。

 さて、無事住宅が完成しました。というところから話を進めた
 い。

 住宅の完了検査が終わったら、登記が可能となる。土地編でも
 お話ししたが、建物は建物で登記が必要となるのである。これ
 また規模によるのだが、一般的と想定される30~40坪程度
 の延床面積であれば、15万~20万円程度になるかと思う。
 銀行でローンを組む場合は、抵当権設定登記も必要となる。登
 録免許税・司法書士報酬も相変わらず(当然)必要となる。印
 紙代も必要。それらをあわせて、上記の金額が一つの目安とな
 る。図面が描ければ自分で法務局に登記することは可能である。
 数万円は浮く。

 そして、銀行ローンの場合は手数料・保証料・火災保険料・地
 震保険料が一般的には必要となる。年金住宅融資などであれば
 団体信用生命保険料が必要となる。これらは、借入の期間と金
 額・建物の大きさや耐火建築物・準耐火建築物・その他の別に
 よって大きく変わってくる。ちなみに、多くの木造住宅は「そ
 の他」となる。そして、多くの鉄筋コンクリート住宅は「耐火
 建築物」となる。その中間の「準耐火建築物」は防火地域の別
 により、鉄骨造や一部の木造が該当するケースが殆どと考えて
 差し支えないと思う。これらは確認申請書類に明記されている
 ので、それを見るとすぐに分かる。余談だが、単純に耐火建築
 物であれば火災保険料は安くなる。が、建築費は高くなる。な
 ので、火災保険を安くするために耐火建築とする人はまずいな
 い。

 それらの諸費用に加えて、毎年発生するのが、固定資産税。そ
 して都市計画税。賃貸であれば必要なかった税金だが、持ち家
 となると掛かってくる税金である。これまた、路線価格・構造
 体種別・基礎形状・規模・築年数・仕上げ材料の種別など様々
 な条件によって変化するので、基準らしき基準はない。

 あとは、冷蔵庫やTVや洗濯機などをこの機会に買い換えられ
 る場合は別途必要だし、ソファやダイニングセットなども同様
 に必要な場合がある。食器棚や収納家具も然りである。

 エアコンを建築費に含むのか否かでも、本体工事とは別に必要
 な金額も変わってくる。照明器具も同じ。

 ただ、設計事務所であれば、大概照明器具は本体工事に含む。
 収納家具類も造作家具として設計する場合が多い。エアコンも
 必要最低限なものは設計段階で含む。外構も含む。要は、トー
 タルに設計することで、空間のバランスというか質を保つ。流
 石に家電までは含むことはないが、ソファやダイニングセット
 であれば、家具屋さんに同行することもある。頼まれれば。

 あとは、電話やインターネットを開線したり、場合によっては
 ホームセキュリティに加入したりする。まあ、ホームセキュリ
 ティは建築中の段階から配線などしておく必要がある場合もあ
 るので、事前に申込みは必要と考えた方が良い。また、最近は
 ネット環境も光ファイバーが主流になってきているので、事前
 にプロバイダに申込みをしておいた方が良い。地域によっては、
 凄く時間が掛かる場合もあるので注意が必要。電気や水道は、
 工事業者が手続きをしてくれるので、引越し直後から使用可能
 なのが普通である。

 そうそう。引越し業者に引越しを依頼する際も、費用が掛かる。
 季節/時期により価格も変動するので、春先や秋口など一般的
 に高い時期を外すだけでも節約になる。

 色々細々と「アレもコレも」という感じで、気付いたら思わぬ
 出費!なんてことにもなりそうなので、事前に分かる範囲だけ
 でも把握しておくことが重要だと思う。

 何せ大抵の人には「初めて」のことが多いので、なかなか手落
 ちなく全てを網羅するというのは大変かもしれないが、設計事
 務所にナビゲーションを依頼すれば、ある程度のアナウンスは
 してくれるはずである。ただ、税務関係のプロではないので、
 キッチリとした金額の算定を求めるのは酷かもしれないが・・。

 というわけで、「思った以上に諸経費は必要」ということを実
 感いただけたなら、書いた甲斐があったというものである。
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■編集後記

 私達もできるだけトータルコストを下げる努力をします。

 ただ、相場以上に下げることには抵抗を感じます。

 建築とは、価格があってないようなもの。と一般の方は思われ

 るかもしれません。しかし、材料代と人件費と利益という至っ

 てシンプルな構成で出来ています。明らかに利益率が高い場合

 は論外ですが、正当な金額というのはあると思います。

 正当な金額内でコストをいかに落すか。何を落すか。

 そこが最も重要です。
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 同じ性能を維持しつつ、コストを落すことをVEと呼びます。
 なんでも良いからコストを落すことをCDと呼びます。

コラム | by muranishi | comments(0)

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