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10.12.15 Wednesday

住宅に必要な費用の話し(土地と建物の間編)

■明朗会計。これは恐らく誰もが望んでいることです。

 例えば車を購入するのに、「時価」などと寿司屋のようなこと

 を言われては、恐くて買えません。

 この車のこのグレードはいくら。オプションでこれをつけると

 いくら。と明記されていると安心です。その値段が正当かどう

 かは別として。

 いわば、そのような「定価/売値」のハッキリ感が、建売住宅

 やハウスメーカーの良い点かもしれません。

 しかしそれは、「パッケージ化されている」という車の価格的

 な安心感であって、どう見ても完全な「ブラックボックス化」

 のような気が私はします。

 というわけで、住宅に掛かる費用のお話しの続きを少し。

 それではどうぞおたのしみください。
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■住宅に必要な費用の話し(土地と建物の間編)

 前々回の続きを書いてみる。

 土地の購入/準備や所有権移転登記が出来たという前提で話し
 を進める。

 まず、敷地の測量図がなければ、測量をする必要がある。建蔽
 率や容積率などを算定する際の大きな基準となるので、正確な
 測量が必要である。土地面積が大きくなれば、比例して測量費
 用も高くなるが、30~50坪程度の土地であれば、3~5万
 円程度で測量会社が請け負ってくれる。この時、必要に応じて、
 敷地のレベル測量や真北測定をしてもらう。場合によってはオ
 プション費用を払う必要がある。

 そして、ほぼ同時に行なっておいた方が良い作業として、地盤
 調査というものがある。木造であれば、通常は簡易調査(スウ
 ェーデンサウンディング方式)を行なえば良い。費用は5ポイ
 ント調査+報告書で3万円程度が標準である。これも、住宅瑕
 疵保証制度が数年前に施行されてからは、必須となったので、
 必ず必要な出費となる。

 建物が鉄骨造や鉄筋コンクリート造の場合は、正確な支持地盤
 高さ(深さ)や地質を把握して、構造計算・構造設計に反映さ
 せていく必要がある。この場合に行なう地盤調査は、ボーリン
 グ調査や平板載荷試験などがある。ボーリング調査は、深さ1
 0m程度までは基本料金として12万円程度。10m掘っても
 支持地盤が出ない時は、出るまで掘り進める必要がある。この
 場合、深度1m追加に対して1万円程度が相場である。

 土地購入時点では、地盤がどうなっているかを知る術は殆どな
 い。参考程度であれば、近隣データなどが活用出来るが、あく
 までも参考程度。なので、結果は調査を行うまで分からない。
 一種の博打みたいなものである。

 測量や地盤データは設計を進める上での大切な資料となる。な
 ので、費用は掛かるが、必要経費なのである。

 地盤調査結果によっては、地盤改良工事費用が必要となる。こ
 ればかりは、改良方法や深さ・範囲などによって大きく変動す
 るので、一概に「いくら位」ということが出来ない。

 あと、土地絡みで費用が掛かるとすれば、水道の引込み工事費
 用若しくは管径UPのための工事費用である。通常、20mm
 程度の水道管が引き込まれていれば大きな支障はなく、そのま
 まで良い。しかし、引込みがない場合や、13mm程度の場合
 は注意が必要である。もし引き込みがない場合は、引き込み工
 事に際して100万円弱の費用を見込んでおく必要がある。管
 径UPの場合は数十万円。

 尚、これらの工事は行政庁の指定業者が見積り競争を行なった
 上で、金額決定されるため、事前に正確な金額を把握するのが
 難しい。しかし、ある程度の目安は分かるので、施工会社に尋
 ねるなどすれば良いと思う。

 最悪のケースだと、地盤改良工事+水道引き込みだけで100
 万単位の出費となる。しかし、これをゼロにすることは不可能
 なので、必要経費として捉えるしかない。

 まあ、土地によっては道路明示だとか、境界ラインの確定に別
 途手続き費用が掛かる場合もあるので、結構注意が必要である。

 なかなか建物の費用に入っていけないが、だいたい以上が、微
 妙に土地絡みの話しである。

 最小費用として、測量+地盤調査で約8万円。最大の場合は百
 万単位。とまあ、開きが大きいが、これが事実である。

 さて、そろそろ建物のお話し。

 建物本体費用という時、どこまでが本体なのかが明確ではない。
 私達の場合は、照明器具や外構工事も含めてご提案するので、
 工事見積りは全て込みの値段となる。但し、通常カーテン類は
 別途としている。

 そのようにして出てきた見積りが建物本体価格となる。大体数
 社で相見積りを取るが、数百万の開きがある場合もよくある。
 同じ設計図を見て見積りをしているのに、何故それほど開きが
 出るのか?それは、見積り落ちという単純なものから、「値引
 き」という項目に至るまで、様々な要因が絡み合って、差異と
 なる。勿論、各工事種目の材料単価や数量。手間代など見積り
 の拾い方によってバラつきがあるのが大きな要因だと思う。適
 正価格がどこなのかは、見積り内容を詳細にチェックする必要
 がある。これは、設計事務所の役割の一つでもある。

 あ、断っておくが、ここで述べようとしている費用のお話しは、
 私達設計事務所の設計で家を建てる時のお話である。

 なので、建物本体価格とは別に設計料が必要となる。私達の場
 合は、工事費の10%。且つ最低設計料を230万円と設定し
 ている。

 その他必要費用としては、主に確認申請料・中間検査料・完了
 検査料が掛かる。これらは、国指定の第三者検査機関や行政庁
 に支払う手数料のことである。規模によっても異なるので、一
 概に言えないが、30坪程度で、トータル10~15万円程度
 が必要となる。これに加え、宅地造成規制絡みの土地で、且つ
 その対象工事を行う場合は、宅地造成許可申請を提出する必要
 があったり、土地が大きい場合は開発申請なども必要となる。
 これらには、設計とは別に費用が発生するので、相談が必要で
 ある。設計事務所に依頼するのか、コンサルタントに依頼する
 のかなども含めて。

 なんだか長くなってきたので、今回はここまで。
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■編集後記

 書いてみますと、意外とアチコチに話しが飛んでしまって

 なかなか収集がつかない感じになってしまいました。

 実はそれほど、色々な費用が発生する可能性を含んでいると

 いうことかもしれません。

 しかし、その一つ一つの価格は明確に出来ます。明確に出来る

 ことと安く出来ることは必ずしもイコールではありませんが、

 少なくとも、何に大きな費用が掛かっているのかは分かります。

 そうそれば、コストの落とし方も分かるというものです。

 そして、落せないコストがあるということも分かります。
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コラム | by muranishi | comments(0)

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