空間工房 一級建築事務所

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10.11.24 Wednesday

空間の最小単位

■決して「絵」が上手い方ではありません。

 建築の設計を生業にしている人は、「絵が上手い」というイメ

 ージを持っていますが、自分がそのカテゴリーに入らないのが

 残念でなりません。

 しかし、空間をイメージするときは下手ながらも、やはり絵と

 いうかスケッチを描くのですが・・。

 下手でもツールとしては必要ですし、便利です。

 何をイメージ/想像しているかを視覚化してみると、新たな

 発見がたまにあったりもします。

 今回のコラム。主に「絵」の話しとは大きくは関係ありません

 が、どうぞおたのしみください。
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■空間の最小単位

 前回の宇宙の本を読み終わった。

 非常に興味深い内容に、宇宙の構成要素が云々ということや、
 宇宙の終わり(終焉)が云々ということよりも、宇宙の始まり
 若しくはその一瞬前の状態が気になった。

 現在も宇宙の果ては、加速しつつ膨張を進めているらしい。ま
 あ、その「果て」の外側も確かに気になるが、一番最初の状態。
 原初的な状態も気になる。勿論だが、いきなり太陽系や銀河系
 が何もない状態から「ポンっ」と生まれたはずはなく、その一
 番最初の姿というのは必ず存在したはずなので、そこを想像し
 ていくと、原子レベルになるのかなー?などと単純に/勝手に
 思ったりしている。

 そんな、宇宙を構成する最小単位の話しを読んでいて思ったの
 が、「空間」の最小単位とはなんぞや?という素朴な疑問であ
 る。

 勿論それは物理学的な視点からの話しではなく、あくまで建築
 的視点からの話しで。

 建築を分解していったときに残る最後の空間単位。

 大きさだけで言えば、きっと収納とかトイレブースとかになる
 のだと思う。人が入ることができなくても良ければ「収納」で、
 人が入れる最小単位は「トイレ」。みたいな感じ。

 まあ、それは全く面白い話しでもなんでもなく、「そうやな」
 と関心のない返事を貰うレベルである。

 そうではなく、「空間」が「空間」たり得る根拠的なサイドか
 らの話し。

 例えば、床と壁と天井があって初めて空間なのか否かといった
 感じの話し。

 例の如く話しを飛ばす。

 会社時代の新入社員研修の時の話し。一枚の「絵」を描いて、
 自己紹介して下さい。という研修内容が初っ端にあった。

 ある人(同期)は、自画像を描いたり、またある人は趣味のサ
 ッカーボールなどの絵を描いたり、またある人は感銘を受けた
 ゲーテの詩集の表紙絵を描いたりして、「自分」を表現してい
 た。勿論、文系の子も理系の子も居る中なので、学生時代に建
 築学科だった人の方が稀と言えば稀。

 表現は自由だし、別に建築にまつわる必要はない。

 なので、色々な「絵」が出てきた。

 さて、私は何を描いたか?

 海岸に突き刺さる一枚の扉を描いた。

 それは別に、砂漠に生える一本の木でも良いし、草原に置かれ
 た一脚の椅子でも良かったのだが。

 何か?

 何が言いたかった/表現したかったのか?

 私の考えはこうである。

 広大な場所に一つの物体が存在するだけで、充分な「場」が存
 在し始める。そんな「場」を創っていきたい。そんな「場」を
 創る第一歩を創造していきたい。それが「私」であり、これか
 らの「私」でありたい。

 同期にしてみれば、「鬱陶しいことを言い出すヤツだな~」若
 しくは「意味が解り兼ねます」といった感想を持ったかもしれ
 ない。特に建築を学んでいない文系連中からしてみれば、意味
 不明なことこの上ない。

 話を戻す。

 きっと空間の最小単位は、そんな「扉」だったり「木」だった
 り「椅子」だったりするのだと思う。

 それ単体では決して生活も何もできるはずがないのだが、それ
 があることによって、何らかの「場」が生まれるという意味に
 於いて、空間を構成し始める、れっきとした空間の最小単位な
 のだと思うのである。

 宇宙の始まりは全く持って知らないが、空間の始まりは、きっ
 とそんな感じだと思っている。

 「そうやな」と関心のない返事/感想が返って来ないことを祈
 りつつ、今回はこの辺で・・。
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■編集後記

 絵が上手い上に、字(筆・書道)も上手い方を昨日見ました。

 青森のねぶた絵師である、八嶋さん。自宅近所の聖護院門跡で

 展覧会をされていました。ご本人もその場に居られ、なんとも

 温もりのある青森弁(津軽弁)でお話ししていただきました。

 因みに、これまた近所の粟田神社で毎秋「大燈呂」という、ね

 ぶた祭りに似たようなお祭りがあります。こちらは学生さんの

 作品。見比べるのは憚られるのですが、やはりプロの絵画の

 迫力に惹かれてしまいます。

 ディテールの良し悪しが全体の印象に跳ね返っているように感

 じます。きっと歴史を重ねるごとに「大燈呂」も本場に負けな

 い迫力を持ってくることでしょう。
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 いつの日か本場のねぶた祭りを見てみたい。
 いつの日か十和田湖美術館も見てみたい。

コラム | by muranishi | comments(0)

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