■同じ部屋でも家具の置き方次第で広く感じたり、狭く感じたり
します。狭く感じたいという方は稀だと思いますので、設計
では可能な限り広く感じるレイアウトを考えます。
勿論、私達の場合は、家具だけでなく、キッチンや冷蔵庫も
図面の中で動かします。納得出来ないときは部屋の大きさも
いじります。
まあ、それは設計段階だからこそ成せる技なのですが。
それほどにレイアウトは大切です。というようなお話しを少し。
それではどうぞおたのしみください。
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■レイアウト次第で
随分前、「レイアウトが先か間取りが先か」というコラムを書
いた。
今回はそんなコラムと多少ダブるが、書いてみたい。
レイアウトについて。である。
建築の設計で言えば家具の配置や、それらの相関関係が大切で
あることは言うまでもない。
例えば部屋の模様替えをされる方は、結構分かってもらえるか
もしれない。その部屋に置かれる要素/家具の数や形は同じで
も、置き方次第でスッキリ見えたり、ゴチャッと見えたりする。
隙間無く詰めて置けばスッキリするかと言うと、実はそうでも
ない。ある種の余白というか、一見スペースの無駄使いと思え
る置き方/レイアウトである方が返ってスッキリ見える場合も
ある。
まあ、家具のレイアウトに黄金則的なものはない(と思う)の
で、試行錯誤を繰り返すことが必要なのだが、同じアイテム数
にも関わらず見え方が変わるという事実に、レイアウトの重要
性が含まれている。
実は建築・設計に限らず、広告などの紙面作成やプレゼン資料
作成といった場面でもレイアウトの重要性に直面する。
同じフレーズを紙面のどこに置くかで、ガラッと印象も変わる。
文言の整列のさせかた、若しくは散らし方でも勿論印象は変わ
る。フレーズが散らばっている=スッキリ見えない、というわ
けでもないのが実は重要。だと思う。
逆も然りで、整列しているからといってオールOKなわけでは
ない。その「整列のさせ方」にどのような意図を持たせるかが
大切なのだと思う。
もっと建築から離れた話しをする。
例えばお花。華道。流派によっても様々な活け方がある上に、
華道をカジッタこともない私が言うのも憚られるが、無知なり
の見方から書かせてもらう。
そこには一定の活け方/法則/鉄則/流儀が存在していること
と思う。しかし、同じ流儀/作法に則って、同じ草花を使って
いるにも関わらず、師範クラスと初心者とでは明らかに出来栄
えが違ってくる。
まあ、バランスや色使いといった諸要素も絡んでくるのだろう
が、基本的にレイアウトの美学が働くか否かで結果に差が生じ
るのだと思う。
長年の修行で体得出来る「感」というか、イマジネーションと
いうか、そんな「ニュアンス」のものが、その道の達人には備
わっているのだろう。
また例えばコンビニの商品棚の陳列にも「売れる」陳列法則が
ある。どのコンビニに行っても、殆ど同じ商品レイアウトなの
は、そうした理由からであるし、書店の本の並べ方にしても「
売りたい」本のレイアウトというのは決まっていたりする。
新聞の折込チラシ一つ取ってみても、「見せ方」の配列は決ま
っているし、ホームページだってそうである。
このように、レイアウトというのは身近な出来事であり、「自
然界」と対極の存在かもしれない。まあ、自然界は自然界で必
然的なレイアウトが、ある意味人間の意図的なものよりもっと
深い理由を持って存在しているような気もするが。
同じ要素もレイアウト次第で見え方が変わるという事実は揺る
ぎないと思う。
「同じ要素」をどう配置するか。どう見せるか。
そこに意思と意図を持って設計に取組むことで、到達地点が遠
くまで行けるような気がする。
「同じ要素」というのは、レイアウトという視点だけでなく、
仕上げ素材などにも波及していくので。
「同じ要素」を最も効果的に見せる。これは、空間を最も効果
的に見せることに繋がる。
効果的とは何か。
それは、目指す「意図」に対しての意味である。なので、全て
は目指すべき方向性が最も重要でもある。
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■編集後記
試行錯誤を繰り返していますと、フっと腑に落ちる瞬間が
やってきます。その瞬間が来ない場合は、単純に試行錯誤
が足りないということです。
腑に落ちた瞬間からもう一頑張りすると、思いもしなかった
思考に辿りつくことがあります。
まあそれが素晴らしいかどうかは別物ですが・・。
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■発 行:空間工房 用舎行蔵 一級建築士事務所
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思考の打率って何割くらいでしょう?
1割でも多い気がします。
野球選手ならクビですが。
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