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10.11.17 Wednesday

ある住宅の思考過程(8)

■少し前にも書いたかもしれませんが、「自由に行動してよい」

 と言われた途端、殆どの人間は「不自由」に感じるそうです。

 「自由」ってどうすれば良いの?と廻りの人を見るそうです。

 なんとなく想像はつきますが、それ位普段は色々な制約に縛

 られているのかも知れません。

 さて、設計に於いて「自由に設計してよい」と言われた途端

 どうなるのでしょう?

 今回はそんな感じに近いお話しを少し。

 それではどうそおたのしみください。
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■ある住宅の思考過程(8)

 今、ひとつのちっちゃな住宅を考えている。

 延べ床面積は17坪(55平米)程度になるかと思う。

 増築である。なので必要な機能は限られている。広間と寝室に
 加えて、仕事部屋。仕事部屋を除けば12坪程度である。

 小さい。非常に小さい。が、狭いということはない。いや、狭
 いのかもしれないが、設計していて狭くは感じない。なぜなら、
 その12坪の殆どが広間(LDK)だから。

 小さいが故に色々と考えることもある。

 小さければ、そんなに考える箇所がないんじゃないの?と思わ
 れるだろうが、そんなことはない。そこが建築の不思議なとこ
 ろでもある。

 何を考えるか。

 床がフラットで良いか。という普段ならあまり気にしない所か
 ら始まり、天井高さで悩み、建具高さで悩み、天井勾配を付け
 るか否かで葛藤する。

 普段であれば、動線や窓の位置、各部屋のバランスや繋がりな
 ど悩みどころ満載なため、そちらに眼がいく。

 しかし、そういった「部屋の繋がり」といったプログラム的な
 複雑さが全くない時、上述のような純粋な「空間」としての素
 因が非常に気になり始める。

 こう書くと、なんだか普段は気にしていない、みたいな感じに
 聞こえるが、決してそんなことはない。ただ、「非常に」気に
 なるのである。

 果たしてバランス的に、この天井高さで良いのか。寝室と広間
 の繋がり方はもっと良い方法があるんじゃないか。開口の位置
 はここがベストなのか。

 そう、欲張りになるのだと思う。内包する制約要因・因子が少
 ないから、自由度が大きい。が故に、決定に至るプロセスが極
 端に短くなり、不安になる。もっと良い方法があるんじゃない
 か?と欲張りになる。

 普通なら、一つの開口位置は他の諸室や開口の用途など決定因
 子が多数存在若しくは複雑に絡み合ったりしているので、自分
 の中でも「ココしかない!」と安心できる場合が多い。

 それが、「ココしかない」理由がどこにも見つからない場合、
 気になり始めるわけである。

 理由がなければ、あとは「感覚」に頼るしかない。

 バランス感覚。美しいと感じるプロポーション。その空間に持
 たせたい雰囲気。重心を低くしたいのかどうか。などなど。

 いずれも、ほぼ主観である。

 なので自分の好みが出てしまう。が、そこはグッとこらえて、
 お施主様の好みを思い出す。

 そんな作業を、ちっちゃな空間相手に格闘している。

 収斂しつつあるのは、5.4m角の空間。(コンパクト)
 3.8m程度の天井。(かなり高い)
 中心に直径15cmの丸柱がどーん。と通る。(象徴的に)

 なーんにもない。でも、気持ちいい。

 そんな空間を目指している。
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■編集後記

 篠原一男氏の「白の家」や、前川國男氏の「前川邸(自邸)」

 が好きです。増沢洵氏の「増沢邸(自邸)」も好きだったり

 します。

 時代を超えて存在する美しい空間や空間構成。そこが好きな

 理由かもしれません。美しく感じるのには理由などありませ

 んが、美しく感じさせるには徹底的な検証/検討がその設計

 の裏には潜んでいるのだと思います。

 そんな設計を目指していきたいですし、実現していきたいと

 思います。
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 時代に流されない普遍性が大切です。
 時代に乗り遅れない柔軟性も大切です。

コラム | by muranishi | comments(0)

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