空間工房 一級建築事務所

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10.11.15 Monday

単純化/純粋化

■今、ネット上の地図では昔の地図/地形を重ね合わせて見る

 ことができるようです。

 昔を重ね合わせることで「変化」も分かれば「不変」も分か

 ります。

 まあ、こんなことを書いておきながら、使ったことは一度も
 
 ないのですが・・。

 というわけで、今回は地図を交えてのお話し。
 
 それではどうぞおたのしみください。
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■単純化/純粋化

 例えば、遠くの友人を自分の家に招待するとする。

 自分の家が、駅の目の前だったり、誰もが知っている名勝の近
 くだったりすると説明は早い。極端な話し、口頭で済む。

 しかし、駅から遠かったり、入り組んだ奥の方にあったりする
 と、口頭での説明だけでは、ほぼ辿りつけない。

 そこで必要になってくるのが、案内図的な地図である。

 最近では、インターネット上の地図をメールすれば良いし、GP
 S情報を送ればそれだけでも事足りる。

 が、それを昔ながらの紙媒体で且つ手書きで伝えようとした瞬
 間、結構手間取ったりする。

 普段生活していて、そういう作業が必要なことは殆どないが、
 そういう作業の必要に迫られた時、100人居れば100通り
 の「地図」が出来るような気がする。

 ある人は道路を単線で描いたり、ある人は目印にコンビニを描
 いたり、またある人は北の方角を下向きに描いたりすると思う。

 手書きになった瞬間、縮尺はその人の手で歪められ、細い道路
 は省略され、目印は記号化される。恐らく殆どの場合。

 これは、都市を単純化する作業とも言える。都市の記号化でも
 あるし、自分の記憶を辿るので、記憶の中の都市でもある。

 人に自分の家を伝える時、恐らくかなりの確率で表現/表出す
 るのは「道路」である。又は「線路」や「川」である。

 つまり、都市を構成しているのは、そういった基幹であると言
 える。道路なしに、唐突に建物が現れることはない。これは基
 準法でも「接道の義務」が謳われていることからも、現在の日
 本国内では、道に2m以上接していないければ建物を建てられ
 る敷地とはならない。

 そして、全国的な共通言語/記号としてガソリンスタンドやコ
 ンビニ・学校・銀行などが記載される。誰にでも分かる目印と
 して。

 そういった記号の中に、建物や住宅は埋もれているのである。

 歴史ある建物などは、それだけでその地域の「目印」=記号と
 なる。というかなり得る。なので、埋もれることはない。

 と、一つの案内図を描くだけでも色々なことが判明する。

 そして最も重要なのは、その案内図的な地図が、的確に第三者
 を誘導してくれるかどうかである。

 何かの落語か笑い話に、カラスを目印にするという話しがある。
 まあご想像の通り、カラスなどすぐに飛んで居なくなってしま
 うので、目印がなくなり迷うというオチなのだが、今の都市を
 見ていると、建物すらカラス的存在になっている気がしないで
 もない。

 カーナビなど数年前のものを使うと、そこにあるはずのコンビ
 ニが消えている。というのはしょっちゅうである。

 都市の新陳代謝なのか、建物の使い捨て化なのか良く分からな
 いが、経済事情による風景の移り変わりであることは間違いな
 く、それをどうこう言えないのも確かである。

 まあ、そんな事象も乗越え、無事に第三者を誘導できる地図が
 完成したとする。

 それこそが、単純化/純粋化の結晶である。と思う。

 複雑に入り組んだ都市を単純化すること。やってみると、これ
 が簡単なようで、なかなか難しい。A地点からB地点に誘導す
 るだけなのだが。

 さて、つらつらと書いてきたが、今回のコラムで最も言いたか
 ったのは、案内図の話しでも都市の話しでも何でもない。

 然るべきもの(記号)を然るべき場所に落とし込むことが出来
 れば、それは立派に目的を達成させることが出来る。というこ
 と。つまり、建築単体を考える時も、そんな単純化が結構重要
 だったりすると思った次第である。

 それがシンプルな空間として表出すれば、それは私達の望む空
 間であり、目指している到達点である。

 そんなことを、とあるオープンハウスの案内図を描いていて思
 った。

 とあるオープンハウスの案内は間もなくHP上で公開予定であ
 る。

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■編集後記

 どさくさに紛れて、最後に宣伝をしております。

 今月末は少し厳しそうですが、来月頭に名古屋で内覧会を

 行なわせていただく予定です。

 お施主様のご厚意によりまして、実現できる運びです。

 このコラムを書いているヤツが一体どんな設計をしているのか

 とご興味のある方は、是非足をお運びください。
 
 詳しくは追って告知いたします。

 下記より直接メールいただいても結構です。
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 オモヤとハナレとコリドールで構成された住宅は
 近日体感が可能となります。

コラム | by muranishi | comments(0)

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