■季節の変わり目には、お体ご自愛下さい。風邪などひかれませ
んように。という挨拶をよく見かけます。勿論私も使いますが。
そんな季節と季節はダイレクトに繋がっています。明確に「今
日から冬」といった区切りが示されるわけではありませんが、
振り返れば「ああ、あの辺が季節の変わり目ね」と分かる感じ
には、なっています。
春の次は夏。ですよね。春の次は秋。に行きたい人も居るかも
しれませんが。
さて、今回は「繋がり」に関するお話しを少し。
それではどうぞおたのしみください。
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■規模により出現するもの
主に住宅に於いて、規模が大きくなると現れ始めるものがある。
これは一つの仮説である。検証はしていない。
大きくなると出現するもの。それは通路/廊下。
逆に言えば、規模が小さくなるほど、通路的空間は不要になる。
不要に出来る。
一方で、大規模でも廊下を無くす方法もある。単純に部屋同士
を結合させていく方法。昔の住宅でよく見かける間取りかもし
れない。但し、この場合は部屋が通路ともなるので、完全に通
路が消えたかというと微妙である。
さて、それではなぜ規模が大きくなると廊下が現れ始めるのか。
個人的な見解を少し。
部屋数が増えるから。というのが大きな理由として挙げられる。
ある部屋から、部屋を跨いで、若しくはすっ飛ばして、異なる
部屋に移動したい時に廊下が必要となる。部屋は大抵「行き止
まり」「袋小路」的場所にある。さらにその先に行きたいなら、
その部屋を通るしかない。それがイヤなら通路/廊下をつける
しかない。なので部屋数が多くなるほど、廊下が必要になり始
める。
本来、廊下は不要である。言ってしまえば無駄である。そこは
通行/移動の目的以外なんの役割も果たしてくれないので。
例えば美術館。例えば百貨店。
廊下がある場合もあるが、大抵は空間と空間がダイレクトに繋
がれている。百貨店も「通路」は明確に存在するが、展示・販
売の空間とは完全に融合している。仕切りはない。
美術館や百貨店などは、普通の住宅に比べるまでもなく、デカ
イ。でも通路が空間から隔絶されているか?と言えば、そんな
こともない。
例えば学校。例えば旅館・ホテル。
これはもう、廊下なしでは成り立たない。と言っても過言では
ない。なぜ廊下と切っても切れない関係なのか?
それは書くまでもなく、「各空間」の独立性が必要だからであ
る。学校であれば教室。旅館やホテルであれば客室。
教室を他のクラスの生徒が授業中に通リ抜けるなんて有り得な
いし、客室を他の客が通過するなんて「客室」とは呼べない。
少なくとも私は「客室」とは認めないし、泊まりたくない。
公共的な建築であっても通路/廊下が明確に必要ない場合と必
要な場合が混在する。ということが分かる。
その違いは、「プライバシー性」の必要度合いによっている。
と言えるかもしれない。
「プライバシー」が不要な空間の繋がり/連続であれば、通路
など要らない。全てダイレクトに繋がれば済む。
すると、規模が大きな住宅には、プライバシーが必要な空間が
「多く存在し始める」ということが出来るかもしれない。客間
であったり、トイレの箇所数だったり、寝室だったり。
そういった、見せたくない、若しくは見られたくないプライベ
イト空間が、パブリック空間とダイレクトに繋がっていられる
部屋数であるうちは、間仕切りなどで仕切れば済むので、廊下
は不要である。しかし、その個数があふれ出した時、情勢が変
わる。つまり廊下的空間が必要となる。
まあ、そんなことはイチイチ書くまでもない。と言えばそれま
でなのだが。
それまでなのに、なぜ書いたか?
廊下や通路を「通行スペース」という捉え方をするのではなく、
少しアレンジを加えるだけで、余白(ゆとり)の空間になった
り、気分を切り替えるスイッチ空間となったり、誰もが憩える
/使える通路以上の空間になったりする。ということを言いた
かったのである。
どうしても必要ならば、必要最小限に抑える。というのも一つ
の方法である。しかし、一工夫凝らすことで、違った空間にす
ることもできる。と考える。
逆手を取る発想が、時に状況を逆転させる。廊下に限らず。と
思うのである。
そしてもう一つ。本当に廊下が必要なのか?とも一方で思うの
である。本当に規模が大きくなると無くせないのか?と。無く
す方法が実はあるんじゃないか?と。
突き詰めていくという発想も時に必要である。とも思うのであ
る。
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■編集後記
うちの事務所には通路/廊下はありません。非常に急な階段
はありますが。通路が明らかに不要なほどに狭いからです。
リノベーション前は部屋数だけで言えば6部屋ほどありまし
た。今は2部屋。あれ?4部屋はどこに消えたのか?
答えは、土間だったり吹抜けだったりするわけですが、廊下
をなくしたことで、部屋は広くなりました。
用途次第で同じ建物でも廊下は無くせるということです。
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■発 行:空間工房 用舎行蔵 一級建築士事務所
(くうかんこうぼう ようしゃこうぞう)
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E-mail:info@yosyakozo.jp
廊下も巾が広がれば立派な部屋になります。
巾が狭くても立派な部屋と言うこともできます。
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