空間工房 一級建築事務所

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10.11.05 Friday

日本化

■羽田空港が国際線乗り入れ化して、近隣諸国であれば1泊4日

 も可能になったらしいですね。

 金曜夜に出発して月曜朝に帰ってくるというツアー。会社を休

 まずとも海外旅行に行けるという謳い文句で、OLに人気との

 ことです。本当に人気かどうかは怪しいところですが。

 そんなこともあり、世界はますます身近になってきています。

 さて、今回は世界の中の日本を題材に少し。

 それではどうぞおたのしみください。
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■日本化

 なんとなくだが、「日本化」という題名で書いてみたい。

 富士通のパソコンは全ての部品を含めて、オール日本製品。即
 ち、ザ・メイドインジャパン。だそうである。

 人件費の高いこの国で、そんなことをして他メーカーと競争出
 来るのか?と思ったが、徹底的に生産効率化を図ることで、成
 り立っているらしい。いや、妻からの又聞きなので詳しくは知
 らないのだが、そうらしい。

 正真正銘の日本製品を求める人がいる。今や経済大国となりつ
 つある中国人である。曰く、自国のものは偽者ばかりで信用な
 らない。という理由だそうだ。コケそうになる。

 知らず知らずの内に、生産拠点の多くが中国などの国外に移転
 してしまった、技術立国日本。世界と価格面で闘うために、と
 いうのが主な理由かと思う。恐らく。

 そうこうする内に、一昔前は当たり前だったメイドインジャパ
 ンが身の回りから消え、メイドインチャイナが主流となった。

 ここにきて、「日本製」に価値が出てきているという。それは、
 希少価値という意味ではなく、「ホンモノ」という価値。だと
 思う。ホンモノとは何か?壊れ難いとか、長持ちするとかかと
 思う。この世に長く存在するというだけで、優秀な証拠である。
 と何かの本に書いてあった。

 今の世の中で、その多くというかほぼ100%近くが未だにメ
 イドインジャパンのものがある。そう。建物であり、住宅であ
 り、橋梁であり、ダムである。

 まあ、使われている材料は、完全国産ではないので、オールジ
 ャパンではないが、造られるのは国内である。

 建築業界も海外に進出をしている。その技術力や施工監理能力
 を持って。

 しかし、海外のゼネコンには「価格面」で勝てないとされてい
 る。

 ある一定の技術水準さえクリアすれば良いとされる国が多い中、
 日本企業は100点満点の提案をする。コストを省みず。

 なので技術で勝っても、価格競争で負けるという図式が成り立
 ち、受注に結びつかない。と、建築の専門誌に書いてあった。

 多分それが「日本人魂」なのだと思う。中途半端なところで妥
 協しない。手を抜かない。というか、妥協出来ない。手を抜け
 ない。

 しかし海外企業は、手の抜き方を知っている。いや、手を抜く
 という言葉は悪いが、ボーダーラインのクリアの仕方を知って
 いる。ということだと思う。勿論日本も知っているのだろうが、
 そのやり方では魂に合わないのだと思う。

 日本化すること。それは一部/悪い意味でガラパゴス化とも呼
 ばれる。日本標準が世界標準ではないが故に、国内需要が尽き
 るとお仕舞という現象。世界人口60億人を相手にせず、国内
 人口1億人しか相手に出来ないという勿体無さ。技術は凄いの
 に、である。

 携帯電話然り、新幹線然り。

 しかし、日本化は大事なような気がする。それは私が日本人だ
 からそう思うだけのことかもしれない。世界を知らないから、
 そう思うだけのことかもしれない。

 なぜ日本化が必要か。必要と思うか。

 非常に青い/幼稚な考えであることを自覚しているが、書く。

 競争相手を間違っているんじゃないか?と思うのである。

 今朝、街頭演説をしている人(議員さん)が居た。数十秒でそ
 の人の横を自転車通り抜けたのだが、何か農業について語って
 いた。農業を大企業家したところで、アメリカやオーストラリ
 アの大農業家には太刀打ち出来ない。だから農業を守りましょ
 う的な内容だった。と思う。多分、価格で太刀打ち出来ないと
 言っているのだと思う。ならば、味で勝負すればいいじゃない。
 と思うのである。味がまずくて価格が高ければ話しにならない
 が。

 つまり、日本化とは勝負どころを端から違えているのだろうか
 ら、こちらの勝負どころで競争出来る土壌を造ればいい。と思
 うのである。ホンモノが欲しい中国人相手のように。

 さて、建築/住宅での日本化。実はこれが一番簡単そうで難し
 い話しだったりする。なぜか。

 ハウスメーカーはプレファブリケーションをモットーとしてい
 る。なので、工場で機械が殆どを造る。現場ではプラモデルの
 ように組み立てるだけ。これをホンモノの大工さんは、大工さ
 んと呼ばない。そんな危機的状況に今の日本は、ある。

 図面をいくら描いたところで、それを建ててくれる職人さん/
 大工さんが居なければ、私達なんて何の価値もない。

 少し前、現場で大工さんと話しをしていて思ったことである。

 日本化を進めなければならない。

 そう思った根本は、そこにある。
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■編集後記

 日本のアイデンティティーはどこにあるのでしょう。

 あまり考えたことがありませんので、書くこともできませんが。

 日本建築のアイデンティティーは間違いなく「木」にあると

 思います。そして「木」の特性を理解している人が「大工さん」

 なのだと思います。素材を知る人。素材を活かす術を知る人。

 それも技術の一部です。その技術を継承出来なければ、日本

 建築のアイデンティティも失われるような気がします。

 これは法規制とも大きく関わっていると思います。

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 大工さんから学ぶこともあります。
 大工さんと喧嘩になることもあります。

コラム | by muranishi | comments(0)

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