■プランを考える時、ある程度予測が立てやすいカタチだったり
空間構成だったり、配色だったりからスタートします。
いや、私の場合ですが。
なぜなら、いきなり未踏地域に踏み込むことが出来得ないから
です。
そしてその最終到達地点は、自分が見たことのない空間且つ見
てみたい空間です。
結果として、滅茶苦茶シンプルな空間になるのが理想です。
最小で最大の効果を生み出せる空間。
決して予定調和的ではなく、予測不能だった空間がシンプルだ
ったという結末を目指しています。
それでは、どうぞおたのしみください。
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■予定調和
以前のコラムでも書いたが、事務所のある京都市上京区にて区
役所の建替え計画が進められている。
先日もまた、建替えに当って区民の意見を設計に反映するため
のワークショップに、区民側/利用者側の立場として出席して
きた。
先日の主な議題/課題内容は、建物の全体計画・配置・各階の
機能・外構の考え・外観などに関する考察を行なうといったも
の。
勿論参加者の大半は、自治会長や婦人会などの方なので、設計
に関しては素人の方である。いきなり考察は行なえないので、
今回の区役所を設計する組織事務所からA案とB案が提示され
た。
そのA案とB案を見比べながら、良い点・悪い点を洗い出して
いくというのが、今回の目的である。
今まではA案のみが提示されていた。
今回初めてB案が机上に載ってきたことも加えておく。
議論が6班に分かれて行なわれる。
各班で、意見が取りまとめられ、最後に発表が行なわれる。
結果を言ってしまうと、全班が「B案」を推すカタチとなった。
6分の6。100%。である。
もっと言ってしまうと、個人的には最初から結果は目に見えて
いた。
明らかにB案の方が「A案を元に」ブラッシュアップされてい
たからである。
これは予定調和なのか否か。
プラン内容が僅差なら、こうもワンサイドにはならないと思う
のである。仕組んだつもりはないだろうが、なんだか「皆が支
持した」という印象を皆に植え付けるのが目的だったような気
がして腑に落ちない。
いや、プランは良くなっているのだからそれ自体は全く問題は
ない。ただ、B案が「最高案」だと思い込まされるのは良くな
いと思った次第である。
まあそこまで疑心暗鬼になる必要はないのだろうが。
話しは変わって。
コンサートや演劇の終わりに付きものなのが、「拍手」である。
最初はパラパラと言う感じで始まり、次第に大勢が拍手をし、
ある程度で収束する。
まあ、これは一つの曲線グラフに表すことが出来る。
この曲線グラフ。例えば、携帯電話の普及率など群集が行動を
起こす際の色々な現象とほぼ同じカーブを描く。らしい。
誰も指揮を執らずとも、同じカーブが描かれるという不思議。
これまた予定調和的な話しだな~と思った。
まあ、ワークショップの結果が予定調和ではないことを願うが、
誰の目にも「良い」と映るプランは、やはりあるんだな。と思
った次第でもある。決して「正解」はないのだけれども、「よ
り良い」というものは確実にあるということが分かった。なに
せ、6分の6の確率。6人ではなく、1班5人程度の6班。で
ある。
住宅設計の場合、私達が目指すのは、まずはお施主様ご家族か
らの全員の賛同。
そして、地域の人々からの賛同が得られるようなものがベスト
だと思う。
勿論、地域の人々に意見/感想を聴くのはほぼ不可能なのだが、
「正解」はなくとも「良い」と思われるものは確かに存在する
はずなのだから。
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■編集後記
ワークショップは次回で最後です。最後は外観を議論する予定
と聞いております。
最終プランや外観は、それらの意見を交えての内容となります
ので、結局は出来上がるまで分からないということになりそう
です。
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■発 行:空間工房 用舎行蔵 一級建築士事務所
(くうかんこうぼう ようしゃこうぞう)
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E-mail:info@yosyakozo.jp
民主主義的建築(プロセス)が最良の建築を産む
とも限らない。という話しもありますが・・。
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