空間工房 一級建築事務所

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10.11.01 Monday

一つの山

■25年後に東京~名古屋間が40分となるそうです。

 飛行機ではなく、リニアモーターカーによって。

 そのルートは南アルプスという「日本の屋根」とも呼ばれる

 山脈を突っ切っていくそうです。

 「狭い日本、そんなに急いで何処に行く?」という交通標語

 が昔ありましたが、まさにそんな感じになりそうです。

 今回は「山」繋がりで本文に突入です。
 
 それではどうぞおたのしみください。
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■一つの山

 非常に下らないコラムになることが予想されます。

 と自分をセーフティーゾーンに持っていったりして。

 さて、今回は「一つの山」。というお題。

 比喩ではよく使うかもしれない。仕事の流れの中で、ココが一
 つの山。これを乗越えれば少しは先が見えてくる。といった感
 じ。

 しかし今回の「一つの山」は、比喩でもなんでもなく、直喩。
 まさに「山」を指している。という前提でお読み頂きたい。

 京都はどこから京都なのだろう?県境というか府境というか、
 その境界をもって「京都府」と例えば滋賀県だったり、奈良県
 だったり、大阪府、福井県、兵庫県、三重県だったりする。

 え?京都府って1府5県にも接していたの?いつから?相当昔
 から。

 その県境を超えた途端に住所は大きく変わる。頭文字が変わる。
 ガラッと変わる。

 しかし、風景が大きく変わるかというと、ご想像の通りそんな
 に急激には変わらない。

 しかししかし、(むかしむかしみたい。いや、そんなことはど
 うでも良い)京都と高山ではその土地に建つ家の形式ごと変わ
 る。まあ、高山は岐阜なので、なぜいきなり隣の県でもない例
 を引っ張り出してきたのか自分でも疑問だが、とにかく変わる。

 暴論だが、一つの山が風景を変える要因を作り出す気がする。
 というか、そういうことにして話しを進める。トンネルを抜け
 るとそこは雪国だった的なイメージで。

 海で隔てられているわけでもない地続きの土地なのに、風景が
 変わる。それは恐らく気候が大きく影響している。そして気候
 が変わる原因が一つの山なのだと思う。

 京都市と美山町(京都府で京都市のすぐ近く)でさえ、風景が
 違う。住んでいる人口が違うから風景が違うのは当たり前なの
 だが、それ以前に建物の形式ごと違う。京都は町家。美山町は
 萱葺きの里。見た目も大きく違う。まさに京都市内から一山超
 えたところにある。

 そこでフト思ったわけである。

 日本は国土の7割近くを山林が占めている。だから、一山など
 超えることは日常茶飯事であるし、その山の存在により、昔は
 情報伝達も阻まれたりしたことだろうし、気候も実際に変わっ
 たりする。

 これがもし、国土の全てが平野だったら、風景はどうなってい
 たのだろう?

 いや、考えても仕方のない話しだし、何の意味もない話しであ
 ることは分かっている。が、そんな疑問が浮かんだ。

 なぜか?

 「京都らしさ」とか「和的な空間」とか「和の趣」とかは何に
 よって決まるのかな~と考えていたからである。

 まあ京都中心的な発想の是非は置いておくとして、その国土固
 有の風景が発生した土地が仮にA県だとすれば、そのA県らし
 さとかB国らしさを決定する要因は何かな、と。

 たまたま発生した気候風土に対し、たまたまその土地で採取さ
 れる材料をもって、たまたま構築された架構方式によって形成
 されたものが「~らしさ」をかもし出すという理屈。

 その土地で採取されるものは、その土地の気候風土に大きく影
 響を受けているだろうから、もし日本がだだっ広い平野で、南
 北に長いんじゃなくて東西に長い国だったとして、いずこも同
 じ気候風土だったとしたなら、いずこも同じ風景が広がってい
 たのだろうか?

 そろそろ強引なまとめをする。

 生物多様性とは、そういうことなのだと思う。

 いずこも同じ気候風土ではないからこそ、様々な環境の下、よ
 り適応できる形に進化したり、或いは衰退したりしながら、様
 々な形態が出来上がった結果なのだと思う。

 それは生物に限らず、建築物でも同様のことが言えるような気
 がする。「~らしさ」に捉われる必要はなく、自然に身を任せ
 ていれば「~らしく」なるのだと思う。そして、その「~らし
 さ」からの脱却を目指したり、新しい進化/変異を求めたりし
 ながら、歴史が繰り返されるように、ある一定のカタチという
 か形式が定着していくのだと思う。

 私達の設計する建築には、どこか「和」的な要素が含まれてい
 る。と自覚している。それを意識しているわけではない場合で
 も、結果としてそうなっている。「それ」とか「そう」とか指
 示語ばかりで不躾な文章だが、「そう」思う。

 恐らく、「和」の遺伝子を無意識下に有しているからなのだろ
 う。

 何が「和」を想起させるのか。色合いなのか、材料/素材なの
 か、形態なのか、縦横のバランスなのか。

 その辺り。「和」の根本をもう少し探ってみたい。
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■編集後記

 リニア構想はまさに、都市を「点」と「点」で結ぶことに

 なります。その間に存在する地方があってこそ「線」となり

 「面」となるハズなのですが。

 その結ばれる「点」同士に風景の違いはあるのでしょうか?

 なんとなく、違いなど無い気がします。

 気候風土はもはや過去のもの。とも言えそうです。

 一つの山どころか、いくつもの山を越えるハズなのに。
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 それでも乗りたいリニアモーターカー。
 25年は、長い。

コラム | by muranishi | comments(0)

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