空間工房 一級建築事務所

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10.10.27 Wednesday

最近意識に引っ掛かった言葉

■今、とあるお施主様候補の方から、とある街区の土地を購入

 するにあたって、「どちら」にすべきか相談を受けています。

 数ある街区の中で候補を2つに絞られた段階でのご相談。

 私達は直感で答えるわけにはいきません。その土地の印象で

 答えるわけにもいきません。

 何が判断材料としてあれば、最も有効か?と考えたとき、

 どのような住宅が其々の土地で考えることが出来るか?を

 示すのがベストだと思います。勿論時間は掛かりますますが
 
 「情報の密度/信頼度」は上がると思います。

 ま、そんな前置きとは関係のない今回のコラム。

 それではそうぞおたのしみください。

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■最近意識に引っ掛かった言葉

 建築と何の関係もない話しだが、最近見たり聞いたりした文章
 なり言動で、何か気になる若しくは記録しておきたい内容を羅
 列してみたい。

 まずは、今読んでいる本(小説)より。

 「情報は必ずしも正しいとは限らない。それが国家レベルであ
 ればあるほど疑わしい。」

 小説の中では一例として、アスベスト問題を挙げている。何十
 年も前から「危険性」を指摘されていたが、国はあくまでも「
 安全」として使用を許し続けた。とある。まあその内容は合っ
 ていると思う。アスベスト自体、明治20年代から輸入が始ま
 り、昭和12年の時点で既に有害である報告がなされていたよ
 うである。しかし、実際に吹付けアスベストが使用禁止となっ
 たのは昭和50年。何故それほどまで放置されていたのかは謎
 である。思い返せば小学校の頃、体育館の天井にアスベストが
 吹かれていた記憶がある。そのような中で体育の授業を受けて
 いたということに他ならない。国が使用を認めているというこ
 とが、安全の通行手形ではないということが、この一例だけを
 見ても分かる。

 続いて同じ本より。

 「人は自分が自信のない問題を投げ掛けられると、75%程度
 の割合で、他人の意見に同調する。その問題が重大になるほど、
 正解が明確でない問題ほどその傾向は顕著に現れる」

 考えても分からない問題は、他人に同調するのが一番楽である。
 しかし、それは実は考えることを放棄しているに過ぎない。正
 解と呼べるものがないのなら、自分の意見/考えを見出すべき
 である。

 建築も正解のない問題の連続である。国や自治体が定めた法規
 というルールはあるが、それ以外に正解と呼べるものなど一つ
 もない。一例を建具で見てみると、建具の高さ、巾、厚み、材
 質、色、取っ手の位置、鍵の有無、デザイン、兆番の種類、開
 き方。たったこれだけで10種類の正解のない決断をしなけれ
 ばならない。では一体、私達は何を基準にその一枚の建具を設
 計/決定しているのか。その方法はそれこそ人其々であろうが、
 絶対譲れないのは、トータルのバランスである。何のトータル
 か。それは、内部の仕上げ・雰囲気は勿論のこと、外部の印象
 だったり、トータルコストだったり、その存在を見せたいか見
 せたくないかだったりする。様々な要因によって決定される複
 雑なものとも言える。既製品を使えば、選ぶだけなので楽であ
 る。上記10通りの決断は1回で全てが完結する。しかし、そ
 れは考えの放棄であるよりも何よりも、空間にそぐわないもの
 を無理やり当てはめたような違和感がつきまとうことが容易に
 想像出来るので、既製品という選択肢は持っていない。余程コ
 ストを抑える必要がある場合を除いては。

 そして最後に、ニュースでの一幕から。映画俳優であり、環境
 保護団体の理事でもあるハリソン・フォード氏がCOP10が
 開かれている名古屋で挨拶した一言から。

 「自然は人間を必要としていないが、人間は自然を必要として
 いる。」なので、自然(生物多様性)と協調した歩みを・・云
 々。

 云々以下はよく覚えていない。

 が、始めの一文は「確かに」と思った。人間の英知は優れてい
 るし、それを否定する人はいないと思う。しかし、それ以上に
 自然は畏れるべき存在であり、敬うべき対象である。(と誰か
 が言っていた。)と私も思う。

 現在の建築基準法が想定している地震力の5倍相当のエネルギ
 ーを有する活断層が大阪市の直下で眠っている。とされている。
 これが起きたらどうなるか?考えるまでもなく、都市は崩壊す
 ると思う。基準法とは、これまた安全への免罪符ではないのだ
 と思う。

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■編集後記

 小説の中で書かれていることが事実かどうかは確かめていま

 せん。ですので、ひょっとすると根も葉もない内容かもしれ

 ません。情報を得るのは簡単です。しかし、その情報の真偽
 
 は自分で見極めなければならないという厄介な世の中です。

 事務所の電球を電球型蛍光灯に変えるだけでも、どれが最良

 かを選ぶのに四苦八苦しました。

 情報と共に製品も氾濫する世の中。最後に頼れるのは自分

 です。正解(最適解)かどうかは誰にも分かりませんので。
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 E-mail:info@yosyakozo.jp

 最近の電球型蛍光灯の安さに驚きです。
 安いが故に早く切れないことだけを今は祈っています。

コラム | by muranishi | comments(0)

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