■今、とあるお施主様候補の方から、とある街区の土地を購入
するにあたって、「どちら」にすべきか相談を受けています。
数ある街区の中で候補を2つに絞られた段階でのご相談。
私達は直感で答えるわけにはいきません。その土地の印象で
答えるわけにもいきません。
何が判断材料としてあれば、最も有効か?と考えたとき、
どのような住宅が其々の土地で考えることが出来るか?を
示すのがベストだと思います。勿論時間は掛かりますますが
「情報の密度/信頼度」は上がると思います。
ま、そんな前置きとは関係のない今回のコラム。
それではそうぞおたのしみください。
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■最近意識に引っ掛かった言葉
建築と何の関係もない話しだが、最近見たり聞いたりした文章
なり言動で、何か気になる若しくは記録しておきたい内容を羅
列してみたい。
まずは、今読んでいる本(小説)より。
「情報は必ずしも正しいとは限らない。それが国家レベルであ
ればあるほど疑わしい。」
小説の中では一例として、アスベスト問題を挙げている。何十
年も前から「危険性」を指摘されていたが、国はあくまでも「
安全」として使用を許し続けた。とある。まあその内容は合っ
ていると思う。アスベスト自体、明治20年代から輸入が始ま
り、昭和12年の時点で既に有害である報告がなされていたよ
うである。しかし、実際に吹付けアスベストが使用禁止となっ
たのは昭和50年。何故それほどまで放置されていたのかは謎
である。思い返せば小学校の頃、体育館の天井にアスベストが
吹かれていた記憶がある。そのような中で体育の授業を受けて
いたということに他ならない。国が使用を認めているというこ
とが、安全の通行手形ではないということが、この一例だけを
見ても分かる。
続いて同じ本より。
「人は自分が自信のない問題を投げ掛けられると、75%程度
の割合で、他人の意見に同調する。その問題が重大になるほど、
正解が明確でない問題ほどその傾向は顕著に現れる」
考えても分からない問題は、他人に同調するのが一番楽である。
しかし、それは実は考えることを放棄しているに過ぎない。正
解と呼べるものがないのなら、自分の意見/考えを見出すべき
である。
建築も正解のない問題の連続である。国や自治体が定めた法規
というルールはあるが、それ以外に正解と呼べるものなど一つ
もない。一例を建具で見てみると、建具の高さ、巾、厚み、材
質、色、取っ手の位置、鍵の有無、デザイン、兆番の種類、開
き方。たったこれだけで10種類の正解のない決断をしなけれ
ばならない。では一体、私達は何を基準にその一枚の建具を設
計/決定しているのか。その方法はそれこそ人其々であろうが、
絶対譲れないのは、トータルのバランスである。何のトータル
か。それは、内部の仕上げ・雰囲気は勿論のこと、外部の印象
だったり、トータルコストだったり、その存在を見せたいか見
せたくないかだったりする。様々な要因によって決定される複
雑なものとも言える。既製品を使えば、選ぶだけなので楽であ
る。上記10通りの決断は1回で全てが完結する。しかし、そ
れは考えの放棄であるよりも何よりも、空間にそぐわないもの
を無理やり当てはめたような違和感がつきまとうことが容易に
想像出来るので、既製品という選択肢は持っていない。余程コ
ストを抑える必要がある場合を除いては。
そして最後に、ニュースでの一幕から。映画俳優であり、環境
保護団体の理事でもあるハリソン・フォード氏がCOP10が
開かれている名古屋で挨拶した一言から。
「自然は人間を必要としていないが、人間は自然を必要として
いる。」なので、自然(生物多様性)と協調した歩みを・・云
々。
云々以下はよく覚えていない。
が、始めの一文は「確かに」と思った。人間の英知は優れてい
るし、それを否定する人はいないと思う。しかし、それ以上に
自然は畏れるべき存在であり、敬うべき対象である。(と誰か
が言っていた。)と私も思う。
現在の建築基準法が想定している地震力の5倍相当のエネルギ
ーを有する活断層が大阪市の直下で眠っている。とされている。
これが起きたらどうなるか?考えるまでもなく、都市は崩壊す
ると思う。基準法とは、これまた安全への免罪符ではないのだ
と思う。
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■編集後記
小説の中で書かれていることが事実かどうかは確かめていま
せん。ですので、ひょっとすると根も葉もない内容かもしれ
ません。情報を得るのは簡単です。しかし、その情報の真偽
は自分で見極めなければならないという厄介な世の中です。
事務所の電球を電球型蛍光灯に変えるだけでも、どれが最良
かを選ぶのに四苦八苦しました。
情報と共に製品も氾濫する世の中。最後に頼れるのは自分
です。正解(最適解)かどうかは誰にも分かりませんので。
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■発 行:空間工房 用舎行蔵 一級建築士事務所
(くうかんこうぼう ようしゃこうぞう)
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H P:http://yosyakozo.jp
E-mail:info@yosyakozo.jp
最近の電球型蛍光灯の安さに驚きです。
安いが故に早く切れないことだけを今は祈っています。
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