空間工房 一級建築事務所

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10.10.25 Monday

こもる、ということ

■無音じゃないと集中できない人。無音だと集中できない人。

 喫茶店のようなザワザワした所でも集中できる人もいれば

 図書館のように静かな場所でも周りに人がいると集中でき

 ない人もいると思います。

 その時の心理状態や集中すべき対象によっても異なるかも

 しれません。

 安心して集中できる場所。それは実は、自分が単に慣れた

 場所かもしれません。いや、知りませんが。

 今回はそんな集中力に微妙に絡むお話し。

 それではどうぞおたのしみください。
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■こもる、ということ

 設計をしていると、結構頻繁に直面する課題というか命題みた
 いなものがある。

 今回はそのうちの一つ。「篭る(こもる)」ということに焦点
 を当てて書いてみたい。

 まずは、こもる必要が生じる場面を想定してみる。

 一つ。子供が受験勉強や試験前で集中するとき。

 これは、恐らく家族ぐるみで「こもらせる」感じかもしれない。
 TVの音量も極力抑え気味で、勉強している子供の気が散らな
 いように、静かに静かに。という感じを想像する。

 一つ。仕事を持ち帰って、夜中や休日に自宅でするとき。

 夜中なら家族も寝静まり、ほぼ自由な場所でこもれる。極端な
 話し、リビングなどの広い部屋でだってこもれる。こもってい
 るという意識すら必要ない状態である。ただ、休日の昼間など
 であれば、子供が騒いでいる横で書類を広げるのはほぼ不可能
 である。書類を散らかす、若しくは「遊んで~」とまとわりつ
 いてくることが予想できるので。この場合は確固たる「居場所」
 というか、領域を確保していないと何も進まないと思う。

 一つ。映画や読書など一人で趣味に没頭したいとき。

 これまた夜中は自由だが、休日昼間なら家庭によっては、そも
 そも許されない行為かもしれない。

 まあ要するに、用事の如何に関わらず、一人で何かに集中した
 いとき。若しくは単に一人になりたいとき。と括れるかもしれ
 ないが、その目的/状態により、家族の協力が得られたり、家
 族から阻止が試みられたりする。

 では次に、こもっている時の状態を想定してみる。

 一つ。何も見えない・聞こえない部屋でこもる。

 こんな部屋ではあまりこもりたくない。何も聞こえないのは逆
 に集中できないかも。私の場合だが。ましてや、何も見えない
 なんてイヤだ。何か見えたい。

 一つ。景色は見えるが、雑音の届かない場所でこもる。

 いいかもしれない。寝てしまいそうだが、いいかもしれない。

 一つ。家族の気配を感じつつ、騒々しさは感じない所でこもる。

 まあ余程広い家でない限り、若しくは家族全員外出中でない限
 り、恐らく家族の気配は感じる。1階と3階くらい離れている
 と流石に気配も感じないかもだが、大抵感じる。ということは
 騒々しさも感じる。

 一つ。家族の気配も感じ、話し声までハッキリ届く所でこもる。

 もう、これはこもっているという定義にすら当てはまらないか
 もしれない。何か壁に向かって精神統一をしている状態を思い
 浮かべてしまう。

 上記はほんの一例を数個並べただけだが、こもると言っても、
 その目的や状態で色々と想定できることがわかる。

 恐らく一般的には「こもる」イコール「静か」というのを想像
 されることと思う。そして家庭/家族の考え方にもよるが、最
 も重要なシーンは、子供が勉強(受験)をする時の「こもれる
 度」のような気がする。

 建築的に出来ることと言えば、子供部屋を出来るだけリビング
 など家族が集まる場所から遠ざける/離すこと。若しくは、部
 屋を防音仕様にする。こと位なものである。

 ただ、これの大きな弱点は、子供が勉強していようがいまいが、
 家族には分からない。という点である。

 親の思い子知らず。という感じになると辛い。

 個人的には、こもれるのは一部屋で良い。と思う。余程の時の
 場所としての一部屋。全ての部屋がこもれるようになったら、
 それはもう「家」ではなく、「寮」みたいな感じに思える。

 お風呂場が普段は部屋として機能してくれれば一番良いのだが。
 と思うのは私だけだろうか?

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■編集後記

 仕事を屋外でするノマド族がいるという話題を以前にも書いた

 記憶があります。ノマド族にとってみれば、街が仕事場であり
 
 集中できる場所なのかもしれません。

 ところで、皆さんにとって落ち着く場所はどこですか?

 私達はそんな落ち着く場所を設計できればと思っています。
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 もうすぐ驚異的なトイレ空間が出来上がります。
 落ち着くかどうかは怪しいトイレですが・・。

コラム | by muranishi | comments(0)

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