■映画館などの特殊な建物でない限り、どのような建物にも大概
窓はついています。
建築基準法でも、窓に関する基準が設けられています。
例えば住宅であれば、居室(長く居る場所)の床面積の1/7
以上の採光と1/20以上の換気を確保するといった具合。
学校や病院ではまた基準が変わったりもします。
しかし、採光と換気・排煙さえクリアすれば良いというもので
もありません。
どういうことか?
今回は窓について少し。
それではどうぞおたのしみください。
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■窓を考える
窓は大切である。
窓の役割を考えると、光を入れる・風を通す・風景を切取ると
いったことが挙げられると思う。
その開閉方法も様々ある。引違い・片開き・上げ下げ・滑り出
し・フルオープン・FIX(嵌め殺し)・平行突き出し・ジャ
ロジーなどなど。
さらに材種も様々。アルミ・樹脂・その複合・木製・スチール
製などなど。
一概に窓と言っても、役割・開閉方法・材種をざっと挙げただ
けでも数は多く、それらの組合せを計算すると凄い数になる。
窓は大切なのである。
何が大切か?そこに焦点を当てて、今回のコラムを書き進めた
い。
窓は付ければ付けるほど、室内は単純に明るくなる。周辺環境
にもよるが、余程密集した地域でない限り、明るくなる。
その代わり、廻りからの視線も気になるし、耐震壁が少なくな
るので、木造の場合は構造耐力的にも弱くなる。
だから単純に付ければ良いというものではない。
外観を考える時、窓の大きさや位置は大変重要なポイントとな
る。出来る限りスッキリ見せたい時などは、極端な話し、窓な
どない方が良い時もある。ただ、閉鎖的にもなるし、室内が暗
くもなるので、それらの対策は必要である。
窓の位置一つで、部屋の印象が変わる。例えば「地窓」といっ
て、床付近に低い開口を付けると、外部との連続性が生まれた
り、下からの光が幻想的な印象をもたらしたり、部屋全体の重
心が落着いたりする。
逆に、天窓やハイサイドライト(天井付近に設けられた窓)は
部屋全体が非常に明るくなり、開放的な空間を演出し、空との
繋がりを感じられ、季節や天気の移り変わりを楽しめる。
地窓や天窓は、その効果が分かりやすく、且つ印象的な空間を
創出できると思う。
では、そのような特殊な位置に付ける窓以外の一般的な窓につ
いて、どうすれば効果的に配置出来るのかを考える。
窓の単体価格はどれも同じである。開閉方法による違いは勿論
あるが、同一素材・同一開閉方法ならば当然価格に違いは生ま
れない。
であれば、その取り付ける位置を徹底的に考えるべきである。
と私は思う。同じ値段なら、より効果のある配置・バランスの
良い配置に拘るべきだし、その位置一つで見えてくる風景の良
し悪しも決まってしまうのだから。
費用対効果の費用部分は一定。ならば効果を上げることを追究
したい。
その窓が、出入りも兼ねる掃き出し窓なのか否か。掃き出し窓
なら前に物は置けないが、腰窓ならば家具などを設置すること
も可能となる。横長にすべきか、縦長にすべきか。引き違いで
良いのか、片開き/滑り出しの方が良いのか。ガラスは透明か
否か。
考えるべき要素は多くある。引き違いは、方立て(窓枠の縦ラ
イン)が出るし、網戸も常に見える状態になる。なのであまり
多様するのは避けたい。空間に雑音が混じる気がするので。
横長にする必要性は本当にあるのか。パノラマで見せたい風景
が外に存在するのか。縦長である必要はあるのか。部屋とのバ
ランスは良いか。などなど。
一般解はない。だから単に引き違い窓を選択するのも、あり得
ない。その状況・その外観・その方角などの要因によって、つ
けるべき窓は決まってくるのだと思う。
単に印象的な空間を求めるための窓では、デザイン優先となる
ので避けたい。
意味のある大きさ。意味のある高さ。窓一つと侮ることなく、
窓の持つ意味/持たせたい意味を追究していくことが、大切な
のだと思う。
その位置や大きさが決まったならば、そこにつけるべきウィン
ドウトリートメントや額縁の寸法などが決める要素として待っ
ている。
窓が大切なのは、採光や換気のためだけではないということを、
少しはご理解いただけただろうか?
もっと述べるべき点は、ある。が、これ以上書くと消化不良に
なりそうなので次の機会としたい。
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■編集後記
窓を付けることで、暗い印象になる場合もあり得ます。
密集地に設ける窓などは特にそうなると思います。
なぜなら、窓から光が入ってくることがなく、見えるのは
隣の建物の壁だけ。といった状態も考えられるからです。
なので、付ければよいというものではないのです。
周辺環境は窓にとっても大事です。
そんなことを考えながら、効果的な窓の位置を探しつつ
設計に取組んでいます。
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