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10.10.22 Friday

住宅に何を求めるか

■今の事務所をリノベーションする際の話しで言えば、現地を

 見たその日にリノベプラン・各仕上げからコンセントの位置

 までを全て手で描き、概算見積りを取りました。

 現地調査から概算着手まで、ほんの数時間。

 まあ予算もなければ、時間もない状態でしたので。

 設計事務所の強みが最も発揮されたシーンかもしれません。

 でもこれは特殊な例。

 普通の住宅では、こうはいきません。

 まず、住宅に何を求めるのか?という問題/課題からじっくり

 と構築していく必要があります。

 というわけで今回のコラムです。
 
 それではどうぞおたのしみください。
_____________________________

■住宅に何を求めるか

 特に正解がある問題ではない。

 恐らく10人居れば10通りの答えがある問題である。

 今回は、私個人の意見/要望を書いてみる。一般論でもなんで
 もなく、個人論。である。なので書く意味があるかどうかすら
 怪しいが、書いてみる。

 住宅に何を求めるか。

 実は意外と考えているようで、考えていないというか、明確で
 はない。

 普段、色々なお施主様若しくはお施主様候補の方から色々なご
 要望を伺って、それをカタチにしていくのが我々の仕事の始ま
 りである。なので、ご要望を聞く分には色々と思いつく。

 求められている住宅の全貌というか、全体のイメージだったり、
 各スペースに求めたい機能や広さだったり、好きな色使いだっ
 たり、素材だったり、ご家族の生活パターンだったり、将来の
 家族像だったり、街並みとの関係性だったり、様々な角度から
 質問を投げかける。それは、これから住宅を建てようとされて
 いるのだから、明確なイメージがあって然るべきだろうという、
 コチラサイドの勝手な思い込みなのかもしれない。

 お施主様によっては、明確な回答が返ってくる場合もあれば、
 白紙状態の方も居られる。

 白紙状態というのも考えてみれば当然のことなのである。私達
 は四六時中、設計を通して住宅なり店舗なり建築にまつわる事
 柄を考えているが、普通の方は考えない。恐らく住宅に何を求
 めるか?なんて、住宅を建てようとする時以外考えないのでは
 ないだろうか?もしそうであれば、一般的には一生に一度考え
 るかどうかのレベルかもしれない。

 日々、設計に携わっている私でさえ、いざ自分がもし自宅を設
 計する機会があるなら、そこに何を求めるか?なんて、細部ま
 でイメージしていないのだから、唐突に思いもしない質問を投
 げかけられたところで、即答は不可能なのである。たぶん。

 ただ、その質問が全くの無駄かというと、そうでもない。ある
 意味、考える視点を持つきっかけにもなるハズなので。と自分
 でフォローしてみる。

 一般的には、自分が現在住んでいる住宅を基準にしたり、過去
 に住んでいた住宅を回想したり、雑誌やTVで紹介されている
 住宅を手掛りにしたりしながら、自分の理想の住宅像を思い描
 き、言葉にしたり雑誌の切り抜きをしたり、家族間で意見交換
 したりしながら、住宅に求めたいものを明確にしていくのだと
 思う。

 そういった作業の積み重ねが、住宅を創っていく上では欠かせ
 ないのかもしれない。

 そして夢と同時に、金銭面という現実にも対峙しなければなら
 ないのが、実際の家創りである。自分の住宅に詰め込みたい想
 いは、最初は手探りだったにも関わらず、時間が経つごとに自
 分でも制御しきれないくらいに膨れ上がる。と同時に予算が膨
 れ上がればよいのだが、普通は予算は据え置きなので、夢と現
 実にギャップが生じ始める。

 そこで初めて、本当に求めるものの姿が見え始める。のだと思
 う。要望の贅肉を削ぎ落とすことで見えてくる本質。若しくは
 苦渋の決断の末、見えてくる本質。または虎の子を出してでも
 手に入れたい本質。

 極端な話しをするなら、「広さを取るか、質を取るか」になる
 かもしれない。仕上げは何でもよいから、とにかく広く。なの
 か、仕上げにはこだわりたいから、予算に見合う広さで。なの
 か。

 まあ、これではあまりにも夢がない話しなので、あくまでも極
 端な例として捉えていただきたいのだが。

 と、ツラツラと書いては見たものの、私個人が住宅に何を求め
 るのか?は何も書けていなかったりする。

 自分が設計したい理想の住宅像と自分が住みたい理想の住宅像
 とは、実は違うのかどうかすら自己認識できない。

 ただ、少なくとも今まで設計してきた住宅は、いずれも「住ん
 でみたい」と思うし、いずれも甲乙付けがたいものである。

 住宅に何を求めるか?

 10人居れば10通りどころか、自分の中でさえ何通りも存在
 している気がする。

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■編集後記

 結局、個人論は一文字も書いていないコラムとなりましたが

 お許しください。

 個人論すら明確に書けない問題なのかもしれません。

 それを一つの「住宅」というカタチにしていく/していかざる
 
 を得ないのも事実です。

 ボンヤリと自分の中に浮かぶ理想像を、カタチにしたいような

 してしまいたくないような、そんな時間が一番楽しいのかも

 しれません。

 ま、結局はカタチにしなければならないのですが。
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 夢は夢のまま?
 いや、夢をカタチに!

コラム | by muranishi | comments(2)

コメント / トラックバック2件

  1. より:

    住宅に何を求めるか?をまさに今、自問自答中のMです。       
    今までのスタイル、将来像など 家創りを通して 様々なことを
    ふりかえったり、想像したり、反省もあったり、夢もみえてきたりと
    家創りって こんなにも 生きかたにも つながっていくものなんだと
    感じています。
    贅肉を削ぎ落として、あるいは苦渋の決断で見えてきた本質、その本質がみつかると自分の中で すごくスッキリした感覚があります。これを積み重ねていくと 自分たちにとっての 住みたい家に近づくような気がします。
    まだまだ 暗中模索です 建築家さんは 先を照らしてくれるライトのような存在です!

  2. muranishi より:

    考えれば考えた分だけ。悩めば悩んだ分だけ、建築は応えてくれると
    思っています。
    ただ、それ以上でもそれ以下でもないのが、建築の正直なところです。
    今の暗中模索状態を大切にしてください。
    道が開ける瞬間のためにも。

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