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10.10.13 Wednesday

便利さの不便さ

■昔の人の一日と現代人の一日を比べると、どちらが密度が濃い

 一日でしょう?

 唐突に何を言い出すのかって感じですが、先日新幹線で東京に

 日帰りをして思ったことです。

 昔は京都~東京間なんて何日も掛けて旅をしたはずです。

 その旅で得られるものと日帰りで得られるものを比べると、

 なんだか昔の方が密度が濃いんじゃないか?という気にもなり

 一方で、一日の移動距離を考えると現代人の方が断然密度が

 濃いと思ったり。

 まあ答えはありませんが、便利な世の中になったことは事実

 だと思います。

 それでは今回のコラム。どうぞおたのしみください。
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■便利さの不便さ

 なんともハッキリしないタイトルで恐縮です。

 いや、単純なことなのです。

 誰でも最初はそうなのだが、例えばパソコン。使いこなせるよ
 うになると、それはもう手放せない位に便利なツールになる。

 しかし思い出して欲しい。初めてパソコンに触れた時のことを。

 まず最初にやっかいなのが、キーボード。ローマ字打ちにしろ、
 ひらがな打ちにしろ、どこに何の文字があるのかをイチイチ探
 さなくてはならなかった経験が誰しもあるはずである。

 こんなことなら、手書きの方が余程早くて物事もはかどるのに。
 なぜワザワザ、キーの位置を覚えてまで文章を書く必要がある
 んだ?と。

 そう、最初は非常に不便な思いをしながらパソコンと向かい合
 っていた時代がある。それが恐いことに、慣れてくると「イチ
 イチ手で書いてなどいられない」状態になるのである。

 それらは、いわばワープロ的なレベルの話しだが、それが私達
 設計事務所が使うCADソフトだろうがCGソフトだろうが、
 最初は同じ道を歩む。操作を一から覚える。最初は不便でも、
 使いこなせれば、断然便利なツールへと変身する。

 習うより慣れろ。とはよく言ったものである。

 インターネットにしても然り。最初は何の役に立つんだか?と
 思っていたのに、今では何でもかんでもインターネットで調べ
 る人が殆どかもしれない。

 さらにクラウドコンピューティング。データベースを保有する
 必要もなく、使いたいモノを使いたい時に使うだけ。

 進化は続く。どこまでも。

 なので一旦置いてけぼりを喰うと、便利さの恩恵にあやかれな
 い事態が待っているかもしれない。

 もう少し「不便さ」を省いた「便利さ」を供給してくれたらい
 いのにと思ってしまうのは私だけだろうか?

 まあ、便利さを手に入れるためには何らかの代償を払わなけれ
 ばならないということなのだと諦める。

 さて、そろそろ建築のお話し。

 建築にそんなニュアンスのものってあるかな?と考える。そん
 なものとは、不便さを克服した後に待っている便利さ的なもの。

 ここにコンセントがあったら便利なのに~。と思い続けていた
 ら、いつの日かそこにコンセントがないことが快適に便利にな
 るという類のもの。

 多分、ない。

 そう、建築の場合、最初に不便だな~と感じたことはズーっと
 不便なのである。たかだか(と言うのは、実はダメだが)コン
 セント一つ。なのだが、簡単にはどうにもできない。のである。

 便利さを担保するのは難しい。しかし、建築に於いてそれを実
 現していくのが、私達設計者の役目であると思う。

 建築に於いて「不便さ」を省いた「便利さ」を供給出来るのは、
 実は設計者だったりするのかも知れない。

 責任は重大である。
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■編集後記

 住宅設備関係は日々大きく進歩していると思います。

 不便なものをドンドン便利にすり替えていっている気がします。

 そう思うと、建築の便利さって何だろう?とフト思います。

 性能や機能以外の便利さ。まあ、快適さという言葉に置き換えた

 方が良いのかもしれませんが、便利さと快適さは根本的に違う

 ようにも思います。

 ただ、「不便さ」と聞くと、色々と思いつきそうです。

 ドアの開き勝手然り、スイッチの位置然り、家事動線然り。

 便利さを求めるには不便さを思い描くと分かりやすいかもしれ

 ません。
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 全てが手に届く範囲にあるというのは、便利というより
 ただ狭いだけ・・。

コラム | by muranishi | comments(0)

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