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10.03.05 Friday

バランスofアンバランス

■たまに、子供と一緒に遊ぶ時があります。親ですから。

 室内遊びとしては、絵本であったり、歌であったり、お絵かき

 であったり、積み木であったり、パズルであったり、カルタで

 あったり、折り紙であったり・・・いっぱいあるものです。

 お絵かきなんかの場合は、どさくさに紛れて、その時考えてい

 る住宅のスケッチを描いたりします。

 で、もうちょっとここをこうして・・・などとやっているうち

 に子供が飽きて別の遊びに興じてくれるかと思いきや、意外と

 真剣に見てくれていたりします。

 そんな時は少し嬉しくなったりします。

 今回は、そんな遊びの中でも「積み木」を通して少し。

 それではどうぞおたのしみください。
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■バランスofアンバランス

 以前のコラムで「バランス」について少し述べた。

 今回は、その中でも少し触れた、アンバランスのバランスにつ
 いて少し。

 子供のつくる積み木を見ていると面白い。普通大人であれば、
 上に積んで行くとき、無意識の内にバランスを考えて、落ちな
 いように積む。しかし、子供はまだ「重心」とか「重力」とか
 「下が平らであること」などの自然の摂理を理解していないた
 めか、全て無視した積み方をする。

 「ぜったい無理だって!」と思う積み方をして、案の定崩れ落
 ちる。

 でも10回に1回くらい奇跡が起きる。下が平らでなかろうが、
 重心を欠いていようが、見事なまでのアンバランスさで積み上
 げる時がある。

 そのアンバランスさで崩れないの?!と単純に大人(私)は驚
 く。

 「この子、天才ではないか?」と単純な大人(私)は思うので
 ある。

 崩れないということは、バランスが取れているということであ
 る。見た目がアンバランスだろうが、その積み木加減には、重
 力や重心・摩擦力に釣合いが取れているから崩れない。

 まさか建築で、そんな危険なことは余程の構造解析/裏づけが
 ないとできない話しではあるが、構造的な観点ではなく、あく
 までもデザイン的視点からいくと、アンバランスさもアリだと
 思っている。

 即ち構造的なバランスを崩すのではなく、見た目のバランスを
 崩すという感じ。

 一般的に、見た目のキレイさは対称形であることが一つの要素
 として挙げられると思う。いわゆるシンメトリーというやつで
 ある。が、恐らく世の中の建築物で、シンメトリーというもの
 は少ない。大概、非対称形。

 しかし、その非対称加減が美しさにはモロに影響するように思
 っている。

 平面的にキレイな感じでも、建ちあがった時にシックリこない
 ものは、大概バランスが悪い。対称形だろうが非対称形だろう
 が、関係なく、そう思う。

 目指すのは、平面的・立面的・断面的な美しさである。

 妙にバランスが取れすぎている場合も、そのプロポーションに
 よっては、何か違和感を覚える。つまり一見バランスがよくて
 も、実はバランスが悪いに等しい現象が、そこで起こっている
 からなのだと思う。

 逆に一見アンバランスな感じであっても、均質的ではないが故
 に発せられるリズム感であったり、そこに隠された意図/必然
 性が引立つ時、それはアンバランスの中にバランスが備わって
 いるような気がする。

 いわゆる「バランスofアンバランス」である。って、勝手につ
 くった標語を「いわゆる」って言うのもおかしいが・・。

 そして今、アンバランスに軸をおいた住宅を考え中である。こ
 だわりのアンバランス。意味のあるアンバランス。バランスの
 取れたアンバランス。

 子供のように無意識で。というわけにはいかないが、考えて考
 えて。という感じで、取り組み中である。

 バランスが似合う住宅もある。アンバランスが似合う住宅もあ
 る。それは、内部(平面)から発せられる意図とマッチしてい
 るかどうかがキーポイントだと思っている。

 内部と外部は乖離していてはいけない。常に一心同体であるべ
 きなのである。
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■編集後記

 だいたい子供の遊びというのは、親が真剣になりがちです。

 私だけかもしれませんが・・・。

 もう少し大人になって、子供の遊びを見守りたいものです。

 と思いつつ、難しい折り紙の本を見ると、無性にやってみたく

 なる近頃です。

 「子供には無理だろ~」という勝手な想いが子供の成長の芽

 を摘んでいたとしたら「ごめんなさい」です。

 でも、「絶対無理だっ」と思うような折り方があるんです。

 ゆるしてください。

コラム | by muranishi | comments(0)

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