■たまに、子供と一緒に遊ぶ時があります。親ですから。
室内遊びとしては、絵本であったり、歌であったり、お絵かき
であったり、積み木であったり、パズルであったり、カルタで
あったり、折り紙であったり・・・いっぱいあるものです。
お絵かきなんかの場合は、どさくさに紛れて、その時考えてい
る住宅のスケッチを描いたりします。
で、もうちょっとここをこうして・・・などとやっているうち
に子供が飽きて別の遊びに興じてくれるかと思いきや、意外と
真剣に見てくれていたりします。
そんな時は少し嬉しくなったりします。
今回は、そんな遊びの中でも「積み木」を通して少し。
それではどうぞおたのしみください。
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■バランスofアンバランス
以前のコラムで「バランス」について少し述べた。
今回は、その中でも少し触れた、アンバランスのバランスにつ
いて少し。
子供のつくる積み木を見ていると面白い。普通大人であれば、
上に積んで行くとき、無意識の内にバランスを考えて、落ちな
いように積む。しかし、子供はまだ「重心」とか「重力」とか
「下が平らであること」などの自然の摂理を理解していないた
めか、全て無視した積み方をする。
「ぜったい無理だって!」と思う積み方をして、案の定崩れ落
ちる。
でも10回に1回くらい奇跡が起きる。下が平らでなかろうが、
重心を欠いていようが、見事なまでのアンバランスさで積み上
げる時がある。
そのアンバランスさで崩れないの?!と単純に大人(私)は驚
く。
「この子、天才ではないか?」と単純な大人(私)は思うので
ある。
崩れないということは、バランスが取れているということであ
る。見た目がアンバランスだろうが、その積み木加減には、重
力や重心・摩擦力に釣合いが取れているから崩れない。
まさか建築で、そんな危険なことは余程の構造解析/裏づけが
ないとできない話しではあるが、構造的な観点ではなく、あく
までもデザイン的視点からいくと、アンバランスさもアリだと
思っている。
即ち構造的なバランスを崩すのではなく、見た目のバランスを
崩すという感じ。
一般的に、見た目のキレイさは対称形であることが一つの要素
として挙げられると思う。いわゆるシンメトリーというやつで
ある。が、恐らく世の中の建築物で、シンメトリーというもの
は少ない。大概、非対称形。
しかし、その非対称加減が美しさにはモロに影響するように思
っている。
平面的にキレイな感じでも、建ちあがった時にシックリこない
ものは、大概バランスが悪い。対称形だろうが非対称形だろう
が、関係なく、そう思う。
目指すのは、平面的・立面的・断面的な美しさである。
妙にバランスが取れすぎている場合も、そのプロポーションに
よっては、何か違和感を覚える。つまり一見バランスがよくて
も、実はバランスが悪いに等しい現象が、そこで起こっている
からなのだと思う。
逆に一見アンバランスな感じであっても、均質的ではないが故
に発せられるリズム感であったり、そこに隠された意図/必然
性が引立つ時、それはアンバランスの中にバランスが備わって
いるような気がする。
いわゆる「バランスofアンバランス」である。って、勝手につ
くった標語を「いわゆる」って言うのもおかしいが・・。
そして今、アンバランスに軸をおいた住宅を考え中である。こ
だわりのアンバランス。意味のあるアンバランス。バランスの
取れたアンバランス。
子供のように無意識で。というわけにはいかないが、考えて考
えて。という感じで、取り組み中である。
バランスが似合う住宅もある。アンバランスが似合う住宅もあ
る。それは、内部(平面)から発せられる意図とマッチしてい
るかどうかがキーポイントだと思っている。
内部と外部は乖離していてはいけない。常に一心同体であるべ
きなのである。
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■編集後記
だいたい子供の遊びというのは、親が真剣になりがちです。
私だけかもしれませんが・・・。
もう少し大人になって、子供の遊びを見守りたいものです。
と思いつつ、難しい折り紙の本を見ると、無性にやってみたく
なる近頃です。
「子供には無理だろ~」という勝手な想いが子供の成長の芽
を摘んでいたとしたら「ごめんなさい」です。
でも、「絶対無理だっ」と思うような折り方があるんです。
ゆるしてください。
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