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10.09.20 Monday

建築は主役か脇役か

■ちょっと辛口なコメントで申し訳ございません。と先に謝って

 おきます。

 観ていない人もいるかとは思いますが、NHK大河ドラマの

 「龍馬伝」。私は久々に欠かさず観ています。

 主役は言わずと知れた、福山雅治(龍馬役)。脇役を務める

 のは色々。

 ごく個人的な感想としてですが、この龍馬伝。脇役の名演技に

 よって「魅せる」内容になっている気がしています。

 福山さんファンの方には申し訳ございません。決して福山さん

 が嫌いなわけではありません。嫌いなら観ていませんので。

 そう、脇役の如何によって、主役が食われてしまうときもあっ

 たりしますが、名脇役の存在が「心地良い」ものにしてくれる

 場合もあります。

 今回はそんな感じのお話しを少し。

 それではどうぞおたのしみください。
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■建築は主役か脇役か

 設計を生業にしている者にとって、「建築」を「主役」的扱い
 することは必然だと思う。

 建築を通して何かを見たり、何かを通して建築を見たりといっ
 た具合。設計する空間や形態や概念こそが、着目すべき点の第
 一義であり、そこに心血を注いでナンボという感じ。

 当然、設計事務所に設計を依頼するということは、お施主様と
 のやりとりを進めていく上で、「建築」を媒体に会話や議論が
 構築されていくことは避けられないので、いつの間にか「建築」
 主体で物事が運んでしまう。

 いや、それが決して悪いわけでも間違っているわけでもないと
 は思うのだが。

 ただ、違う見方も存在することは、自分なりに認識しておく必
 要もあるような気がしている。

 住宅に限らず、建物を建てるということは、新築や改装・リノ
 ベーションに関わらず、多くの人にとって、一大イベントであ
 り、一大事業なのだと思う。だからこそ、設計の着手から竣工
 にいたるまでの長い期間、「建築」があたかも主役扱いされる。
 いや、主役なのだろう。

 でも実際の主役は、実は「人間」なのだと思う。あくまでも個
 人的な思いだが。そこに住まう人、そこに訪れる人が主役。

 つまり、人間側がどのように生活し、振る舞い、時間を過ごす
 か。それらを快適にサポートするのが建築なり「場」だったり
 するのだと思う。

 その一人の人。つまり個人は、移動する。そして建築は移動し
 ない。その個人が移動した先に、別の部屋があったり、別の建
 物があったり、広場があったり、山や川がある。

 感じ取るのは、個人。移動するのも個人。その行き先や滞在先
 が、建築なのか自然なのかは目的によって選択されるわけであ
 る。

 自然の中にも、山・川・海・草原など色々と特色を持つように、
 建築の中にも、住宅・オフィス・駅・店舗・美術館など色々と
 特色を有している。

 一つの「場」や建築が、様々な目的を満足することは中々難し
 いが、個人は移動することで、様々な目的を達成することが可
 能となっている。

 その個人という主役を支えるのが、建築という脇役。という構
 図が、実は実際のところだろう。

 いや、これは何も建築に限った話しではないのだが。

 言ってみれば、料理でも服でも音楽でも本でも映画でも車でも、
 主体は人間だと思う。

 その主体である人間に、料理であれば料理人が腕をふるって、
 最高の味付けなり素材選別なり包丁の技術なりで、料理を提供
 する。そこにあるのは、「料理」という主役であるように見え
 るが、実は、食べる人が主役である。服なら、着る人が。音楽
 なら聴く人。本なら読む人。映画なら観る人。車なら乗る人。

 いたって「当然」の帰結ではある。

 でも、それらを創る側が、そこを忘れるといけない。

 設計も然り。「建築」が如何に名脇役になれるか。が大事だと
 思う。空間的雑音を発しないことだったり、主役然としないこ
 とが、結果的に心地良さや寛ぎといった「個人(主役)」の印
 象を引き出すことに繋がるのではないかと。

 まあ実際は、なかなか難しいのだが、そう思っている。
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■編集後記

 先日NHK特集で、京都東山の別荘地の話題を再編集で放送

 していました。またもや見入ってしまいました。その建築の

 佇まいというよりも、中からの眺めの素晴らしさに。

 これは、庭や景色を主役と捉えた建築の脇役ぶりの勝利だと

 思いました。いや、決して建物が優れていないわけではなく

 素晴らしいのですが、それを主張しない/感じさせない所が

 最も優れている気がしました。

 この別荘地。自宅から自転車で数分の場所にあるはずなので

 すが、まるで別世界。「おっかしいな~」「うちから見える

 風景と全然違うぞ」「本当に京都?」と思いながら観ていま

 した。

 中でも野村財閥の碧雲荘(へきうんそう)は11年の歳月を
 
 掛けて完成したそうです。脱帽です。
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 京都は狭い。でも奥が深い。まるで町家の構造。

コラム | by muranishi | comments(0)

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