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10.02.26 Friday

エゴからセコへそしてエコへ

■最近「住宅版エコポイント」制度の講習会や「長期優良住宅」

 のセミナーが頻繁に開催されています。

 それだけ、「省エネルギー」を真剣に考える時代に入ってきて

 いるのだと思います。

 私もそれら講習会には参加し、知識として蓄積していっており

 ます。

 ただ、それを実践しないと全く意味がありませんので、少なく

 とも「省エネ」を念頭に置いた設計を心掛けています。

 今回はそんなお話しを少し。

 それではどうぞおたのしみください。
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■エゴからセコへそしてエコへ

 今回書きたいことは、だいたい題名をご覧いただければ想像が
 ついてしまうかと思います。

 恐らくご想像通りに、話しは進む予定ですが、最後までお読み
 いただけましたら幸いです。

 1997年12月に京都議定書が採択された。今から約12~13年前の
 話しである。発効されたのは今から約5年前。2005年である。
 概要は、6種類の温室効果ガス(二酸化炭素・メタン・一酸化
 ニ窒素・ハイドロフルオロカーボン・パーフルオーカーボン・
 六フッ化硫黄)の排出を、2008年~2012年の5年間で6%削減す
 る。というものである。

 メタンよりあとの4種類の温室効果ガスは、呪文のようでピン
 とこない。舌を噛みそうなガス名である。ということだけは分
 かる。知識がないだけなのだが。

 最も分かりやすいのが、二酸化炭素。CO2である。多分、6
 種類とも人間が排出する要因・原因を作っているはずである。
 じゃないと、削減目標を立てたところで手の打ちようがない。

 さて、地球温暖化。これらの温室効果ガスが影響している。と
 されている。原因の全てではないが、原因の一部であることは
 間違いないようである。

 地球の温度変移。どのポイントをもって地球の平均気温とする
 かは不明だが、一説によると「1880年頃から上り始めて、1940
 年位まで上昇し続け、一時的に1970年位までは一旦下降。それ
 以降、また上昇に転換している」らしい。

 大政奉還が成されたのが1867年だから、ざっと明治時代の初期
 頃から温暖化は始まっていると考えられる。因みに、大河ドラ
 マでもおなじみの坂本龍馬が没したのも1867年。大政奉還に貢
 献した後に31歳で暗殺された。

 もっと因みに、龍馬は1月3日が誕生日。我が息子が1月4日生ま
 れだから一日違いである。(全く関係ない話しです)

 だから坂本龍馬は地球温暖化を体験していない。

 話しが脱線し過ぎて、何を書こうと思っていたか忘れそうであ
 る。気を取り直して・・・。

 白熱電球が発明されたのが、1879年。これだけを見るとなんと
 なく、リンクしている。電気の普及と温暖化。でも実際は、温
 暖化には太陽活動周期の影響も指摘されているので、一概には
 言えないのだが。

 平たく考えると、人間の生活の便利さを優先していった代償と
 しての地球温暖化というストーリーが最も馴染みやすいかもし
 れない。実際は全く関係なかったとしても。だ。

 人間のエゴ。それが実は引き金になっていると考えられる。純
 粋に「より便利に」「より快適に」を追究していった結果が、
 地球規模の問題に発展するなど、恐らく誰も予想していなかっ
 たと思う。

 地球シュミレーターという超スーパーコンピューターの出現と
 いうか創出により、今後の地球温度上昇が、ある程度明確に把
 握されるようになった。といっても、まだ200Km程度のメ
 ッシュを切ってのシュミレーションなので、改良の余地がある
 ようだが。

 住宅に関して言えば、日本で省エネ基準が初めて設けられたの
 が、1980年。昭和55年のことである。主に断熱性能が謳われて
 いるのだが、住宅品確法でいうところの「等級2」がこの基準
 に相当する。

 それから、度々基準の見直しが図られている。ざっと紹介する
 と・・・。

 1980年(昭和55年):旧省エネ基準:等級2レベル
 1992年(平成4年):新省エネ基準:等級3レベル
 1999年(平成11年):次世代省エネ基準:等級4レベル

 今、長期優良住宅に課せられているのは、等級4レベル。さら
 に現在、トップランナー基準という省エネ基準が制定されてい
 る。

 等級4でもかなりのレベルである。詳細は次の機会に述べたい
 が、初期コストもかかる。その代わりランニングコストは下が
 る。(というか下がって貰わなければ意味がない)

 次世代省エネ基準4が既に古くなり、トップランナー基準が省
 エネ基準の最新バージョンになろうとしている。因みに住宅版
 エコポイントを活用するためには、この「トップランナー基準」
 をクリアする必要がある。初期投資も相当なものだから、ポイ
 ントを取得したからといって、特するわけではない。

 「省エネ」という観点から活用するというアプローチが大前提
 であって、損得の観点から活用するというのはお勧めしない。

 できることからする。これが鉄則である。それがたとえ「セコ」
 い感じであっても、しないよりはマシである。使わない電気は
 消す。エアコンの使用温度を下げる。米のとぎ汁を洗い物に再
 利用する。お風呂の残り湯を洗濯に使う。等など、簡単にでき
 ることが、実はある。エゴからセコへ。(ただ、実際は煩わし
 いのだが・・。)

 そんな意識の延長線上にあるのが、エコだと思う。出来ること
 をせずに、快適にエコ暮らし。ではやはり、エゴに舞い戻るよ
 うな気がしている。

 エコを考えるのは設計者の大きな役割の一つになってきている。
 だから、考えて設計するのは普通のことだと思う。が、実際に
 住まわれる方々にも、エコの意識を有していただければ幸いで
 ある。

 そんな一人一人の意識改革が、最終的には地球を温暖化から救
 うのであれば、それは絶対に避けて通れない道なのだから。
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■編集後記

 住宅の温熱環境に関する算出の仕方は大きく二つあります。

 計算による算出方法と仕様による算定方法。

 計算による場合は相当な時間が掛かりますので、一般的には

 仕様(断熱材の厚みなど)による基準を参考に設計しています。

 厚みを厚くすればコストも比例して高くなりますので、一概に
 
 厚くすればOKという話しでもありませんので、その辺りの

 コストバランスも大切です。

 断熱材にも種類が多数あります。全ては費用対効果の中で

 考えて設計に反映しています。

 機会があれば、その辺りもいつか書いてみたいと思います。

コラム | by muranishi | comments(0)

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