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10.02.24 Wednesday

静かな怒りと少しの学び

■人間誰しも、笑うときもあれば、怒るときもあると思います。

 しかし怒りから発せられる負のパワーでは、人も物事もうまく

 運ばないと思っています。

 だから、できるだけ穏やかに笑って過ごしたいと個人的には

 思っています。

 本来であれば、怒りにまつわる文章など誰が読んでも良い気

 はしないので、書く必要などないのですが、今回は敢えて

 書いておきます。お許しください。

 そこから少し学ぶべき点をみつけましたので。

 それではどうぞおたのしみください。
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■静かな怒りと少しの学び

 先日、遠方からお施主様にわざわざ京都までお越し頂いた。

 目的は、キッチンの仕様を決定するためで、大阪と東京にしか
 ショールームを持たない会社のため、比較的近い大阪ショール
 ームをご案内することが目的だった。

 大阪のショールームでは、滞りなくご覧いただくことができた。

 その後、折角だからと京都まで戻り、もう一社ご案内すること
 にした。

 急遽の予定のため、予約を入れていないこちらが悪いと言えば
 悪いのだが、そこで起きた顛末に静かな怒りを覚えた。

 普段なら、比較的親しい担当者の方が、商品の説明を交えてお
 客様のご要望にあったご提案をして頂いている。が、その時は
 生憎不在で、初めての担当者がついた。

 別に初めてだろうが、親しかろうが構わない。

 しかし、その担当者が、あまりにも商品に関する知識がないだ
 けではなく、商品の良さを説明しようとも思わない態度に腹が
 立ったのである。

 少なくとも私は、そのキッチンを10回以上は設計で採用して
 きた。それだけ魅力的だし、使い勝手も良いが故に、お客様に
 推薦し、設計に採用してきたのである。

 が、今回ばかりは、その商品達があまりに可哀相に見えた。普
 段なら意気揚々とした表情を見せているのに、何の説明もされ
 ない商品は、その良さを自分が持つ力だけで伝えざるを得ない
 状況に追いやられてしまったのである。

 別にそのメーカーの回し者でもなんでもないので、採用に至ら
 なくても私は困らない。しかし。遠くから足を運んでいただい
 たお施主さまに申し訳なく思う。なぜなら、その良さを知るこ
 となく、選択肢から外されることもあり得るから。そう、何よ
 りお施主様が可哀相なのである。

 私もメーカーの方ほど、その商品に詳しくない。しかし、知っ
 ている知識(商品に関する知識)の範囲でフォローはしたつも
 りである。が、逐一対応可能な寸法やユニットの詳細までは流
 石に知らない。ので、恐らく何のフォローにもなっていなかっ
 たと思う。

 自社の製品であれば、隅々まで把握した上で、ショールームに
 立つべきである。と私は思う。そして更には、自社製品の良い
 点・優れている点を明確にアピール出来る知識を身につけてお
 くべきである。と思う。お客様は、その製品と他社の違いなん
 ていうのは、全く知らないし、見ただけでは違いなんて分から
 ない。

 物が良いんだから、余計な説明はいらないでしょ。
 じゃあダメでしょっ!

 この顛末で静かな怒りを覚えたのは確かである。そして、少し
 の学びもした。

 その製品は素晴らしい。と思っていた。そして今でもそう思っ
 ている。が、実はその素晴らしさは、ある程度の知識付けをさ
 れて初めて「素晴らしい」と思えるのだということを突きつけ
 られた。そんな気がしている。

 設計も実は同じなのではないか?と思うのである。如何に素晴
 らしい(と自分で思える)設計をしようとも、それをお客様に、
 どの点が秀でているのか・どの点に力を置いたのか・どういう
 使い方を想定しているのか・どんな見え方をするのか・どんな
 工夫が隠されているのか等などといった点を、つまびらかにし
 ていかないと、その魅力は半減するのだと。だからプレゼンは
 大切だし、例え会ってご説明出来ないときも、そういった諸々
 の想いや考えが伝わる図面にしておかないと、ダメなのだと。

 如何に良い設計をしようとも、それ単体では限界がある。まし
 てや図面などは二次元であり、実際の建物は三次元なのである。
 説明し尽くしても説明し切れない部分もあるほどである。

 今まで、図面を渡して「あとは、独自に読み取って下さい」な
 どというやり方をしたことは勿論ない。可能な限りの説明を尽
 くしているつもりである。しかしそれは当然の義務であって、
 威張ることでもなんでもない。

 だから「少し」の学びではあるが、上の一件で説明の大切さを
 再認識できたのである。

 勿論、建ち上がった建物には説明文など実際に貼り付けたりす
 ることは出来ない。だから街行く人々・隣近所の方々には、設
 計で考えた点などは一生分かって貰えないのかもしれない。し
 かし、それでも「説明がつく」のと「説明がつかない」のとで
 は大きな差があるように思うのである。

 そして、驕りではなく、設計した建築物がそこに建っているだ
 けで、「いいな~」と街行く人々に認識して貰えれば、尚良い。

 それは、冒頭の無知・無責任な感覚ではなく、しっかりとした
 裏付けを有して。という大前提での話しであるが・・。
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■編集後記

 「いいな~」と思える建築。思っていただける建築。

 万人受けするというのは難しく、あくまでもお施主様受けする

 ことが基本ですが、それでも奇を衒うのではなく、素直に

 「いいな~」と思える建築を設計したいと思います。

 そこ(建った建築)に説明を施すことはできませんが、心に響

 かせることはできるものと思っています。

 一人でも多くの人の心に響く建築を心掛けて、これからも

 設計に取り組みたいと思っています。

コラム | by muranishi | comments(0)

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