空間工房 一級建築事務所

HOME > MESSAGE コラム > 場所と時間
10.07.23 Friday

場所と時間

■便利な世の中です。その一例は本文に譲りますが。

 どこまで便利になれば、人間は満足するのでしょうか?

 などと思ってしまいますが、先日の新聞で「グリーンキー」

 という宿泊施設に与えられるエコの称号のようなものが掲載

 されていました。グリーンキーを取得している宿泊施設は

 国内ではまだ4軒。「不便さをあるがままに」という見出し
 
 だったと思います。エコと便利さは共存できるか否か。

 その辺も考えさせられる内容でした。

 さて、今回はそんなエコとは全く関係のないお話し。

 それではどうぞおたのしみください。
_____________________________

■場所と時間

 なんとも次回の打合せを決めるようなタイトルだが、とりあえ
 ず書き進める。

 何を思ってこのタイトルにしたか?

 その辺りから話しを始めたい。

 今さらではあるが、「スカイプ」をご存知だろうか?お互いに
 インターネットの環境が整っていて、マイクとスピーカーの設
 備がありさえすれば、通話が無料で出来るというシステムであ
 る。ここにカメラがあればTV電話のようにお互いの顔を見て
 会話を進めることができる。まあ、通常はカメラもそろえる。

 会社で言えば、TV会議のようなもの。相手が国内だろうが、
 海外だろうがお構いなく、無料で会話が出来るスグレモノ。大
 掛かりな設備投資は要らない。

 今となっては、使っている人も多いかと思う。無料という大き
 なメリットもあるが、お互いの顔を見て、複数人数で会話が出
 来る点が、電話にはない大きなメリットだと思っている。

 私達も遅まきながら、昨年からこのシステムを使っている。使
 用目的は遠方の方との打合せ。移動に掛かる交通費と時間が節
 約される。場所は双方のホーム。アウェイではなく、ホーム。

 デメリットを上げるとすれば、カメラに写る周辺が片付いてい
 ないと、「もうちょっと掃除したら?」と思われる位のもので
 ある。要するに大きなデメリットはない。

 何故このような便利なツールが無料で使えるのか?マイクやス
 ピーカー・カメラなどの初期投資は要るにせよ、それらさえ整
 えば無料。その仕組みを少し前にTVで解説していた。100
 人が使ったとして、その内、数人でも有料のオプションを使う
 人がいれば成り立つそうである。広告料で賄っているのかと思
 っていたが、そうではないらしい。有料のオプションが何なの
 か、そんなに使いこなしていないので知らないが、その人たち
 に感謝のシステムであることは間違いない。

 そんなスカイプ。最初は眉唾ものだった。なぜなら、明らかに
 メリットが大きすぎる。そんな上手い話しは世の中にそうそう
 転がっているものではない。一番最初にこのシステムの存在を
 教えて頂いたのは、「通信業界」のプロだった。その道のプロ
 が仰るのだから、ウソであるはずはないのだが、俄かには信じ
 難かったのも事実である。最初に知ってから、それほど必要性
 に迫られることもなく、数年が過ぎ、漸く昨年からユーザーと
 なった次第である。

 百聞は一見に如かずなので、これ以上説明は止めておく。

 そんなスカイプを使っていて、フト思った。場所は時間と共に
 存在していると。

 もっと言えば、場所は気温や陽射し・気候や天候といった周辺
 環境と共にあると言える。

 スカイプを使うまでもなく、TVの生中継を見れば分かる話し
 ではある。しかし、スカイプを通すと、もっとダイレクトにそ
 う感じる。なぜなら、例えば国内同士の場合、時差は殆どない。
 というか、全くない。なので同じ時間を共有しているはずであ
 る。が、少し離れているだけで、相手は日没間近の雰囲気でも
 こちらはまだ太陽が高かったり、相手は土砂降りの雰囲気でも
 こちらは晴天だったり、というのを画面を通して分かるのであ
 る。実体験として。

 その場所は、その場所固有の時間を刻んでいる。外部環境も含
 めて。確かに画面を通してしまえば、世界が隣にあるという感
 覚にならなくもない。そういう意味では、世界が狭くなった感
 はある。いや、決して海外の人とスカイプで打合せをしたこと
 はないので、あくまでイメージで書いているが。多分当らずと
 も遠からずだろうと思う。

 そんなこんなを考えてみると、その場所の固有性は時間の流れ
 と共に存在すると思うのである。

 私達が設計をする時、その土地の場所性や周辺環境・立地条件
 などに目が行く。というか、そこに目が行かないといけない。
 それと同時に「時間」も包含して見る眼が必要だと思った。時
 間はその土地の周辺だけに流れるわけでも何でもなく、その土
 地にも同じ様に流れ、建物が建った後は、その内部空間にも同
 じ様に流れるという当たり前の事実。しかし、それは「他の土
 地」とは決して同じ時間ではないという事実。

 場所(空間)は設計出来るが、まさか時間までは設計出来ない。
 と考えがちであるが。というか時間の設計など考えたこともな
 いが、実は時間までをも設計することが、実は重要なのだと思
 った。住宅であれば、家族の成長に合せて/家族の将来に合せ
 て設計を考える。店舗であれば、設備の入替えを考慮したり、
 レイアウトの変更も考えて設計をする。場所と共に時間が存在
 することを意識に入れて設計するとは、そういうことだと思う。
 特筆すべき事項でもないが。

 ある人は言った。コルビジェのロンシャンの教会の光は、どこ
 にでもある光ではなく、そこにしかない固有の光だ。と。それ
 は正に、その場所と時間を一緒に設計しているからなのではな
 いだろうか。「固有の光」なんて、実際は存在しない。と思う。
 しかし、そう思わせる光の入れ方とは、単に開口を開ければ良
 い類の話しではなく、意図的に入れることで実現するものだと
 私は思う。それが、その場所に流れる固有の時間を考慮した結
 果であることは間違いない。
_____________________________

■編集後記

 話しは冒頭に戻りますが、グリーンキーを取得するためには

 約80の必須項目+約20の任意項目をクリアする必要があ

 るそうです。どんな項目があるのか?と興味をひかれたので

 サイトを覗いてみました。色々ありました。(え?それで終

 わり?!・・・そうです。滅茶苦茶色々ありました。)

 住宅にも応用が効く項目もあれば、宿泊施設ならではの項目

 もあります。何を得るか?と同時に、何を諦めるか?を考え

 させられました。地球温暖化で人間が得たものは、結局手放

 さなければいけないものだったのかもしれません。

 私?エアコンを手放す勇気がまだ湧きません・・・。

コラム | by muranishi | comments(0)

コメントをどうぞ

空間工房 用舎行蔵 一級建築士事務所
住所:〒602-0914京都市上京区室町通り中立売下がる花立町486
TEL:075-432-3883
FAX:075-334-8051
ALL CONTENT COPYRIGHT 2012(C) KUKANKOBO YOSYAKOZO ARCHITECYS OFFICE ALL RIGHTS RESERVED