空間工房 一級建築事務所

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10.02.15 Monday

理想の子供部屋

■主に住宅を設計することを生業としています。
 
 しかし、自分の家を設計した経験はありません。

 まさに紺屋の白袴状態です。

 そんな紺屋も、自分の理想の住宅に思いを馳せる時があります。

 想像するのはタダですから。

 今回はそんな想像の中から少し。

 それではどうぞおたのしみください。
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■理想の子供部屋

 今回は至って個人的なメモである。

 なので、全く参考にはならないことをお断りしておく。

 前回のコラムで、子供部屋の広さについては大小様々あり、尚
 且つそれは教育方針などとも絡む。と書いた。少し自分の中で、
 不完全燃焼気味なので、今回のコラムで書き足しておく。個人
 的なメモとして。

 子供部屋。ある程度(思慮判別が社会的常識に照らして、大き
 く狂っていない程度)子供が大きい場合は、恐らく子供の意見
 ・想い・理想といったものが反映された/汲み込まれた空間・
 大きさに収斂していくのだろうな・・と、ぼんやりと思ってい
 る。でも、もし子供がまだ幼い頃に設計を進めていく場合、子
 供が意見を言える立場/状況でもなく、必然的に親の考え方や
 嗜好が子供部屋を構成して行くんだろうな・・とも思っている。

 自分が子供だった記憶を辿り、狭かったから広くしてやりたい。
 とか。勉強は茶の間/リビングでしていたから、別に子供部屋
 なんて狭くても良いや。とか。それは人其々だと思うし、場合
 によっては夫婦間でも考え方が違っていたりもすると思う。

 子供部屋とはなんぞや?という根本をハッキリさせておく必要
 があると思っている。冒頭に述べた通り、個人的メモなので、
 個人的見解を遠慮なく書き連ねる。

 子供部屋とはなんぞや?と考えると、「勉強する」「寝る」「
 遊ぶ」「友達と遊ぶ」「着替える」「趣味に興じる」「音楽を
 聴く」「電話をする(昔だったらあり得ないが)」「こもる」
 「一人になる」「自立する準備」などが考えられる。

 「料理する」「お風呂に入る」ということは、恐らくまず、し
 ないと思う。

 プライバシーという概念で括ると。「着替える」「電話をする」
 位なものか。携帯電話などない時代は電話は一家に一台だった
 のに。今や一人に一台の時代である。やっかいなことだ。まあ、
 嘆いても仕方ないので、我が子には持たせない。という選択肢
 も残しておく。

 となると「着替える」位のもの。別に子供部屋である必要など
 なさそうである。

 話しは飛ぶが、大学時代の製図授業の講師に、今や「箱の家」
 で有名な難波和彦先生がいた。難波先生の自宅は、お風呂もガ
 ラス張りで、年頃の娘さんからは大ブーイングだったと聞いた
 ことがある。そりゃ駄目でしょ。と思った。お風呂を使わない
 時は良いかもだが、使いはじめた瞬間にお互い気まずい空間に
 なってしまう。

 閑話休題。

 自分が子供だったころの子供部屋。いつぞやのコラムでも書い
 た通り、プライバシーなどどこ吹く風的なものだった。兄弟と
 は可動間仕切りを仕切っただけ。といっても完全には仕切られ
 ておらず、お互いの声は筒抜け。可動間仕切りと言えば聞こえ
 は良いが、平たく言えば襖と同じである。しかも天井は「つう
 つう」である。

 勉強する時、特に暗記ものなどの場合、兄は声を出して覚える
 習慣があった。なのでこちらもそれを真似て、声を出す。お互
 いがお互いの声よりも大きく張り上げていくものだから、勉強
 しているんだか読経を唱えているんだか分からない状況に陥る。
 そんな状況。で、「静かになったな~」と思って覗いて見ると、
 寝ていたりするのである・・・。

 子供が子供部屋で勉強している。時もある。が、大概は別のこ
 とをしている。と思う。親の目が届かない子供部屋は自由なの
 である。

 それが自立を促し、独立心を育てる。親離れをする。というの
 も一理ある。

 だから一般的には子供部屋がどこの家庭にもある。

 で、個人的にはこう思う。

 子供部屋を充実させるのではなく、親の居場所(主寝室)を充
 実させてはどうか?と。着替えなどはワードローブを造って家
 族で共有すれば良い。勉強はリビングなど共有空間ですれば良
 い。共有空間で、親が家事や仕事や読書をすれば良い。よほど
 集中したい時は、親が自分の部屋にこもれば良い。こもるとい
 うと、なんだか狭い空間をイメージするが、10帖以上のゆっ
 たりとした空間にすれば。若しくはセカンドリビング的空間に
 すればと思ったりする。

 あくまでも、空間自体は限りなくワンルームに近く、どこで何
 をするという縛りを設けない。お気に入りの場所で、各々がや
 りたいこと/すべきことをして過ごす。

 nLDKという考え。部屋数が多ければ良いという考えは、あ
 まり好まない。勿論、必要な場合もあるので一概には言えない
 が。nLDKではなく、お互いの空間が侵食し合う空間創りが
 個人的には好きである。なぜなら、その方が気持ち良いと思う
 からである。使わない時に生じる無駄な領域が減るような気が
 するからである。可変性というよりも、常に流動的な空間の方
 が自由な気がするからである。

 大きな空間があれば、それで良い。そういってしまうと語弊が
 あるが、体育館のようなイメージではなく、しっかりと裏打ち
 /設計された大きな空間。

 もし自分の家を設計する機会に恵まれた時は、そんな家にする
 ような気がしている。

 あとは、妻を始め、家族が納得するかどうかである・・。

 理想の子供部屋は、子供部屋という概念がないこと。である。
 家のどの場所に居ても、そこが子供部屋、というのが私の理想
 である。
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■編集後記

 いつになったら自分の家を設計出来るのかは不明です。

 もしかしたら、一生そんな機会には恵まれないことも考えられ

 ます。

 でも、それでは夢がないので、たまに夢を描いています。

 恐らく、というか絶対、ご依頼いただいているお施主様も

 そんな自分独自の夢を描いておられるのだと思うと、やはり

 その夢をなんとか実現したいと思います。

 餅は餅屋という言葉のように、設計を本業としているのですか

 ら。

コラム | by muranishi | comments(0)

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