空間工房 一級建築事務所

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10.07.12 Monday

ある建築家の言葉(13)

■今回も「ある建築家の言葉」を通して考えてみたことをお送り

 します。が、話しは思わぬところへ飛んで行きます。どこへ

 飛ぶかは、読んでみてのおたのしみですが・・・。

 建築と関係あるようなないような・・・。でもやっぱり関係

 ある。みたいな感じです。

 それではどうぞおたのしみください。
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■ある建築家の言葉(13)

 前回に引き続き「ある建築家の言葉」シリーズ。立て続けであ
 る。

 今回の建築家は、バックミンスター・フラー氏。

 フラー・ドームが有名と言えば有名。昔の富士山レーダーもフ
 ラー・ドームの理論によって構築されていた。三角形を寄せ集
 めて創ったドームを思い描いていただければ良いかと思う。

 このフラー氏。建築家でもあり哲学者でもあり、構造家でもあ
 った。モノの見方が多角的というか、俯瞰的だと個人的には思
 っている。

 有名な言葉。「宇宙船地球号」もこのフラー氏の発言である。
 考えが宇宙的であることがお分かりいただけると思う。

 そんなフラー氏の言葉に「小さな行為が集まって、驚くような
 結果を生む。これをプリセッション(前進)と呼ぶ」というも
 のがある。

 驚いたことにイチローも似たようなことを言っている。

 「遠くの目標に到達するには、近くの成果を積み重ねていくし
 かないと思います。」

 そう。いきなり遠くに飛び移ることは出来ないのである。

 なぜ今この言葉が頭に引っ掛かったのか。理由は色々ある。

 逆説的に言う。

 ほんの20年前、いや10年前位の理科年表を思い返す。そこ
 には月の満ち欠けから、大潮の時期/時間、場所ごとの年間平
 均気温・風速などがデータとして記載されていた。まあ、今で
 も勿論記載されているのだが。独立前には大規模な建築の設計
 にも携わっていた。なので、地下ピットなども設計する機会が
 あった。理科年表と建築なんて関係ないじゃないか?と思われ
 るかもしれない。しかし、実は少しは関係がある。地下ピット
 には雨水が流れ込む。それを排出できる能力を持つ「排水ポン
 プ」を選定しなければならない。まあ、実際に選定するのは設
 備設計者であるのだが、意匠設計者である私も少しは興味があ
 るので、一緒に降水量などを調べていた。場所は東京。単位時
 間当りの過去最高降水量を基に、地下ピットに流れ込む雨量を
 算定し、流れ込む雨量以上のポンプアップ能力を持つ排水ポン
 プを選定する。計算は単純である。

 ただし、最高の降水量さえ分かれば。・・・

 10年程度前。当時の1時間当りの最高降水量(東京)は、デ
 ータによれば60mm/時間程度だったと記憶している。

 これがもし24時間降り続けば、一日の降水量は実に1440
 mmとなる。莫大な水量であることがお分かりいただけるかと
 思う。

 が、先日7月5日。東京の板橋区で記録した水量に目が飛び出
 た。1時間当りの降水量が107mm!である。

 ニュースで映像を見られた方も多いかと思う。車はドップリ水
 浸し状態。道路を横断する歩行所は、まるで川を横切るかのよ
 うだった。

 なぜそんなに最近の雨はゲリラ的なのか?

 ある説によると、年がら年中地球の北半球上空に吹いている偏
 西風の位置が影響しているという。例年であれば日本の北海道
 より北辺りを流れている偏西風が、最近では本州上空辺りにま
 で南下していきているらしい。これによって、北からの寒気と
 南からの湿り気を帯びた空気が本州上空でぶつかり、ゲリラ雷
 雨を発生させるという。

 理由は何であれ、「地球温暖化」が原因であることは間違いな
 いと思う。決して「異常気象」などではない。あくまで「温暖
 化」が原因だと思う。

 僅か、この10年。地球の誕生からを数えれば50億年だった
 か?それに対する10年など「屁」みたいなものである。(お
 っと。下品な表現になってしまった。)10年など「オナラ」
 みたいなものである。(一緒か・・)

 夏は暑いから、北海道へ。などという思いも今では半ば怪しい。
 先日の北海道の最高気温は37度である。熱を出した人の体温
 並みである。涼しさを求めて北海道へ行ったら、帰ってこなく
 てはいけない気温である。

 異常が通常になりつつある。中国では40度を記録した。病人
 なら救急病院へ直行の温度である。

 昔、オゾン層の破壊が問題になり、フロンガス規制が始まった
 のが1989年。およそ20年前の話しである。当時は「オゾ
 ン層の破壊?それが何か自分の人生と関係ある?」などと悠長
 なことを考えていた。青春を謳歌していた大学生の頃である。

 あれから20年。見事に自分の人生と関係があることを知った。

 何事も「いきなり」起こるのではない。「小さな行為が集まっ
 て、驚くような結果をもたらす」のである。「宇宙船地球号」
 と言っていた人が言っていた言葉である。

 前向きな言葉である。が、捉え方によっては「地球温暖化」に
 も通じる言葉でもある。

 これからの雨水排出能力は、100mm/時間を標準として捉
 えなければいけない。下水処理能力も自治体が考え直す必要が
 あると思う。そして、最も重要なことは「地球温暖化」の進行
 をいち早く止めることである。

 今まで地球上で最も長く「繁栄」を極めたのは、恐竜だとされ
 ている。その「繁栄期間」は実に1億6千万年。人間の繁栄を
 「紀元後」とするなら、実に8万倍。まだまだ恐竜には追いつ
 けない人間/文明社会である。
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■編集後記

 「チームマイナス6%」というプロジェクト。コレはもう古い

 のです。鳩山さんがニューヨークの国連気候変動サミットにて

 日本の目標として、温室効果ガス排出量を2020年までに1990年

 比で25%削減することを表明されましので、今は「チャレンジ

 25」に名前が変わっています。なんだか「アタック25」み

 たいですが、私達もチャレンジャー登録をしました。建築の設

 計にできることは色々あると思っての登録です。

 個人でも企業・団体でもチャレンジャーになることは可能です

 ので、皆さんもどうぞチャレンジャーにチャレンジしてみては

 いかがでしょう?手遅れになる前に。

コラム | by muranishi | comments(0)

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