■昔の住宅は全て「エコ住宅」だったような気がします。
勿論、夏は暑く冬は寒い環境だったことは否めませんが
夏は窓を開け放したり、冬は一枚多く着込んだりして、人間が
環境に歩み寄っていたような気がします。
さて、今回は現代のエコ住宅について少し。
温故知新という言葉を思い浮かべながら、書いてみました。
それではどうぞおたのしみください。
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■エコ住宅
最近話題の住宅エコポイント制度。断熱材を新設したり、断熱
窓(ペアガラス・内窓など)を施したりすれば、その設置面積
により、最高30万ポイントまで貰えるという制度。1ポイン
ト1円なので、平たく言えば30万円分の商品券などと交換で
きる制度である。
要は、住宅の熱負荷を軽減させる対策を施せば、冷暖房効率も
良くなるから地球環境にも優しくなるので、国が支援しますよ
というものである。と解釈している。
何もしないよりは効果は上がる。これは確か。でも注意すべき
点はある。
新築であれば大きな問題もないと思う。ただ、リフォームとし
て行なう時、断熱材を入れるだけでは内部結露を起こしかねな
い。内窓をつける際も既存カーテンとの取合いなどに注意が必
要だと思う。既存サッシにガラスのみペアガラスを施す場合も、
効果のある空気層の厚みを確保すべきだが、既存サッシはペア
ガラスの厚みに対応していないので、アタッチメントをつける
とか、サッシごと取り替えるといったことまで検討しなければ
ならない。そうなると、2階窓など高い場所では足場が必要に
なったりする。思った以上に費用が掛かる場合もあるので、し
っかりとした施工会社に依頼されることをお勧めする。
さて、今回の主題は住宅エコポイント制度ではなく、エコ住宅。
エコ住宅と聞いて、思い浮かべるのは、地産地消・太陽光発電
・屋上緑化・外断熱・OMソーラー・自然素材・ペアガラス・
Low-eペアガラス・断熱サッシ等など多岐に渡る。いつぞ
やのコラムにも記載したカーボンニュートラルの考え方もその
一つ。各項目でコラムが書けるほど、その内容・詳細について
記述するとボリュームが大きくなるので、今回は割愛する。
様々あるエコ仕様の中で、現在個人的に注目しているのが「地
熱利用」という考え・システム。今回はこれに焦点を当てて書
いておくことにする。
「地熱利用」。実はその概念は古く、アイヌの住居システムに
も利用されていた。昔の人の知恵や工夫は凄い。
アイヌと言えば、極寒の地の住人である。冬は氷点下30度位
まで下がるという。昔は暖房器具などなく、頼れるのは「火」
のみ。しかし、給気がされない居住で火を使うことは危険であ
る。だから単に焚き火をすれば良いわけでもない。氷点下30
度の外気を取込みつつ、焚き火をすることになる。これでは、
暖めているんだか、冷やしているんだか分からない。
では、どうしていたのか?不思議である。
ここに「地熱」の原理が隠されている。地熱と聞いてもピンと
はこないので、分かりやすく例えるなら「井戸水」や「鍾乳洞」
夏は冷たく/涼しく感じ、冬は温かく/暖かく感じるアレであ
る。
原理は至って簡単。井戸水、即ち地下水を例に取ると、一年中
その水温に変化が生じない。15度付近で安定している。だか
ら、夏の外気が30度の時には冷たく感じるし、冬の外気が0
度の時には温かく感じる。
鍾乳洞も同様。即ち地熱も同様の理屈である。
地下5m辺りまでいくと、一年を通して空気も安定している。
諸説によると、15度~18度付近で推移しているらしい。し
かも、夏に15度・冬に18度という地上とは逆転現象が起こ
っているという。温度が、半年ほど遅れて現れていることにな
る。これは、地上を考えれば、別に不思議なことでもない。夏
至は6月。太陽が最も長く顔を出す時期。でも、地上で最も暑
くなるのは、大抵8月。逆に冬至は12月。でも、地上で最も
寒くなるのは、大抵2月。地上でさえ、2ヶ月の遅れが発生し
ている。なので、太陽熱が地下深くまで届くには半年掛かると
言われても、不思議ではない。
それよりも、その事実に注目する方が重要であり、その事実を
活用することが更に大切だと思う。
太陽光発電は、夏に生産電力が上がり、冬に下がる。単純に、
太陽が顔を出している時間に比例する。雨の日は期待出来ない
ことも事実としてある。が、地熱はあまり天気に左右されない。
この地熱を利用したシステム。既に商品化されている。別に、
その商品の回し者でもなんでもないが、愛・地球博覧会の建物
にも利用されていた代物。当初は体育館など大規模建築を対象
に、利用されていたらしいが、最近は住宅向けにも開発が進め
られ、実際に使用されている。
ただ、この地熱。それオンリーで、真夏を乗り切ったり真冬を
乗り切ったりは出来ない。と思う。なぜなら、夏15度の地熱
はともかくとしても、冬18度ではイメージ的に辛い。外気が
0度とかを考えると、18度でも充分だ。と楽観視してしまう
が、エアコンを真冬に18度に設定する勇気はない。あくまで
も個人的な主観・体感が伴っているが。なので、断熱関係も充
分に施す必要がある。地熱+断熱が原則。
アイヌの人達は夏場から、冬用住居内に焚き火を施し地表を暖
めていたそうである。それが、地下深度5m付近の地熱とコラ
ボレートすることで、冬場でも生活できるレベルまで居住環境
・室内温度を上げていたとされている。地熱のことを知ってい
たかどうかは知らない。しかし恐るべきは先人の知恵である。
これもいわば、太陽エネルギーの利用である。地中に蓄えられ
た太陽熱=地熱の利用。因みに地中のもっと深くに存在する地
球のマグマも地熱と解釈されているが、今回は地表近くの地熱
の方であることを付け加えておく。
実際に使用されている地熱システムの会社によれば、標準的な
木造住宅1件への導入コストは250万円程度らしい。まだま
だ簡単に手が出せる価格ではない。が、太陽光発電と比べれば
遜色ないのも事実である。この地熱利用と似ているのが、蓄熱
式の床暖房システム。ランニングコストが通常の床暖房システ
ムよりも安いのは魅力だが、蓄熱の際に電気を使用するものも
あるので、「電気を使う」時点で地球環境には優しくないと思
っている。家計には優しいが・・。しかも地熱と違い、冬場の
利用のみである点を考えると軍配は地熱にあがる。そんな気が
している今現在である。
因みに冷温環境のみ考えれば、輻射式の冷暖房システムもある。
しかしエネルギー源が電気である。
可能な限り自然のエネルギーに頼ること。これが地球規模に行
なわれれば、温暖化も少しは和らぐように思っている。
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■編集後記
大学の頃、私が住んでいた下宿先は「エコ住宅」でした。
エアコンなどといった文明の利器はなく、夏場は窓全開。
汗をかいてもお風呂などといったオシャレなものはなく
トイレも勿論、下水など利用しないエコぶり。
冬は部屋の中でため息をつけば、白くなるので「あれっ?
ここは外?」と思ったことも日常茶飯事。
・・・今考えても悲惨です。
そんな「エコ」ではなく、快適な「エコ」。それを研究・提案
しなければいけません。
因みに、大学時代。友達の下宿先はエアコン率100%でした。
親も大家さんも「住めば都!」と他人事のようなセリフを
放っていましたが、私が退居してすぐに大家さんはバリバリの
新築に建替えていました。勿論エアコン完備・風呂完備・水洗
トイレ完備のアパートに・・・。(涙)
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