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10.02.10 Wednesday

エコ住宅

■昔の住宅は全て「エコ住宅」だったような気がします。

 勿論、夏は暑く冬は寒い環境だったことは否めませんが

 夏は窓を開け放したり、冬は一枚多く着込んだりして、人間が

 環境に歩み寄っていたような気がします。

 さて、今回は現代のエコ住宅について少し。

 温故知新という言葉を思い浮かべながら、書いてみました。

 それではどうぞおたのしみください。
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■エコ住宅

 最近話題の住宅エコポイント制度。断熱材を新設したり、断熱
 窓(ペアガラス・内窓など)を施したりすれば、その設置面積
 により、最高30万ポイントまで貰えるという制度。1ポイン
 ト1円なので、平たく言えば30万円分の商品券などと交換で
 きる制度である。

 要は、住宅の熱負荷を軽減させる対策を施せば、冷暖房効率も
 良くなるから地球環境にも優しくなるので、国が支援しますよ
 というものである。と解釈している。

 何もしないよりは効果は上がる。これは確か。でも注意すべき
 点はある。

 新築であれば大きな問題もないと思う。ただ、リフォームとし
 て行なう時、断熱材を入れるだけでは内部結露を起こしかねな
 い。内窓をつける際も既存カーテンとの取合いなどに注意が必
 要だと思う。既存サッシにガラスのみペアガラスを施す場合も、
 効果のある空気層の厚みを確保すべきだが、既存サッシはペア
 ガラスの厚みに対応していないので、アタッチメントをつける
 とか、サッシごと取り替えるといったことまで検討しなければ
 ならない。そうなると、2階窓など高い場所では足場が必要に
 なったりする。思った以上に費用が掛かる場合もあるので、し
 っかりとした施工会社に依頼されることをお勧めする。

 さて、今回の主題は住宅エコポイント制度ではなく、エコ住宅。

 エコ住宅と聞いて、思い浮かべるのは、地産地消・太陽光発電
 ・屋上緑化・外断熱・OMソーラー・自然素材・ペアガラス・
 Low-eペアガラス・断熱サッシ等など多岐に渡る。いつぞ
 やのコラムにも記載したカーボンニュートラルの考え方もその
 一つ。各項目でコラムが書けるほど、その内容・詳細について
 記述するとボリュームが大きくなるので、今回は割愛する。

 様々あるエコ仕様の中で、現在個人的に注目しているのが「地
 熱利用」という考え・システム。今回はこれに焦点を当てて書
 いておくことにする。

 「地熱利用」。実はその概念は古く、アイヌの住居システムに
 も利用されていた。昔の人の知恵や工夫は凄い。

 アイヌと言えば、極寒の地の住人である。冬は氷点下30度位
 まで下がるという。昔は暖房器具などなく、頼れるのは「火」
 のみ。しかし、給気がされない居住で火を使うことは危険であ
 る。だから単に焚き火をすれば良いわけでもない。氷点下30
 度の外気を取込みつつ、焚き火をすることになる。これでは、
 暖めているんだか、冷やしているんだか分からない。

 では、どうしていたのか?不思議である。

 ここに「地熱」の原理が隠されている。地熱と聞いてもピンと
 はこないので、分かりやすく例えるなら「井戸水」や「鍾乳洞」
 夏は冷たく/涼しく感じ、冬は温かく/暖かく感じるアレであ
 る。

 原理は至って簡単。井戸水、即ち地下水を例に取ると、一年中
 その水温に変化が生じない。15度付近で安定している。だか
 ら、夏の外気が30度の時には冷たく感じるし、冬の外気が0
 度の時には温かく感じる。

 鍾乳洞も同様。即ち地熱も同様の理屈である。

 地下5m辺りまでいくと、一年を通して空気も安定している。
 諸説によると、15度~18度付近で推移しているらしい。し
 かも、夏に15度・冬に18度という地上とは逆転現象が起こ
 っているという。温度が、半年ほど遅れて現れていることにな
 る。これは、地上を考えれば、別に不思議なことでもない。夏
 至は6月。太陽が最も長く顔を出す時期。でも、地上で最も暑
 くなるのは、大抵8月。逆に冬至は12月。でも、地上で最も
 寒くなるのは、大抵2月。地上でさえ、2ヶ月の遅れが発生し
 ている。なので、太陽熱が地下深くまで届くには半年掛かると
 言われても、不思議ではない。

 それよりも、その事実に注目する方が重要であり、その事実を
 活用することが更に大切だと思う。

 太陽光発電は、夏に生産電力が上がり、冬に下がる。単純に、
 太陽が顔を出している時間に比例する。雨の日は期待出来ない
 ことも事実としてある。が、地熱はあまり天気に左右されない。

 この地熱を利用したシステム。既に商品化されている。別に、
 その商品の回し者でもなんでもないが、愛・地球博覧会の建物
 にも利用されていた代物。当初は体育館など大規模建築を対象
 に、利用されていたらしいが、最近は住宅向けにも開発が進め
 られ、実際に使用されている。

 ただ、この地熱。それオンリーで、真夏を乗り切ったり真冬を
 乗り切ったりは出来ない。と思う。なぜなら、夏15度の地熱
 はともかくとしても、冬18度ではイメージ的に辛い。外気が
 0度とかを考えると、18度でも充分だ。と楽観視してしまう
 が、エアコンを真冬に18度に設定する勇気はない。あくまで
 も個人的な主観・体感が伴っているが。なので、断熱関係も充
 分に施す必要がある。地熱+断熱が原則。

 アイヌの人達は夏場から、冬用住居内に焚き火を施し地表を暖
 めていたそうである。それが、地下深度5m付近の地熱とコラ
 ボレートすることで、冬場でも生活できるレベルまで居住環境
 ・室内温度を上げていたとされている。地熱のことを知ってい
 たかどうかは知らない。しかし恐るべきは先人の知恵である。

 これもいわば、太陽エネルギーの利用である。地中に蓄えられ
 た太陽熱=地熱の利用。因みに地中のもっと深くに存在する地
 球のマグマも地熱と解釈されているが、今回は地表近くの地熱
 の方であることを付け加えておく。

 実際に使用されている地熱システムの会社によれば、標準的な
 木造住宅1件への導入コストは250万円程度らしい。まだま
 だ簡単に手が出せる価格ではない。が、太陽光発電と比べれば
 遜色ないのも事実である。この地熱利用と似ているのが、蓄熱
 式の床暖房システム。ランニングコストが通常の床暖房システ
 ムよりも安いのは魅力だが、蓄熱の際に電気を使用するものも
 あるので、「電気を使う」時点で地球環境には優しくないと思
 っている。家計には優しいが・・。しかも地熱と違い、冬場の
 利用のみである点を考えると軍配は地熱にあがる。そんな気が
 している今現在である。

 因みに冷温環境のみ考えれば、輻射式の冷暖房システムもある。
 しかしエネルギー源が電気である。

 可能な限り自然のエネルギーに頼ること。これが地球規模に行
 なわれれば、温暖化も少しは和らぐように思っている。
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■編集後記

 大学の頃、私が住んでいた下宿先は「エコ住宅」でした。

 エアコンなどといった文明の利器はなく、夏場は窓全開。

 汗をかいてもお風呂などといったオシャレなものはなく

 トイレも勿論、下水など利用しないエコぶり。

 冬は部屋の中でため息をつけば、白くなるので「あれっ?

 ここは外?」と思ったことも日常茶飯事。

 ・・・今考えても悲惨です。

 そんな「エコ」ではなく、快適な「エコ」。それを研究・提案

 しなければいけません。

 因みに、大学時代。友達の下宿先はエアコン率100%でした。

 親も大家さんも「住めば都!」と他人事のようなセリフを

 放っていましたが、私が退居してすぐに大家さんはバリバリの

 新築に建替えていました。勿論エアコン完備・風呂完備・水洗

 トイレ完備のアパートに・・・。(涙)

コラム | by muranishi | comments(0)

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