空間工房 一級建築事務所

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10.06.28 Monday

空間を支配する要素

■日頃フト疑問が頭をよぎる時があります。

 「なんとなーく」の答えは想像がついているのですが、結論
 
 は何か?と自分に問い詰めると、案外アヤフヤだったりする

 ことがあります。

 今回はお風呂に入ろうと仕度をしている時に「フッ」と疑問

 に思ったことについて少し。

 何故お風呂に入ろうとしている時に、そんなことを思ったの

 かは全く持って分かりませんが。

 それではどうぞおたのしみください。
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■空間を支配する要素

 空間の成り立ちは通常、床・壁・天井の3面によって構成され
 る。単純な形で言えば、6面体。一面が床。一面が天井。残る
 4面が壁。という構成になっている。

 これは、地球上に重力がかかっているからで、宇宙空間・無重
 力空間では恐らく「床・壁・天井」という概念は、ほぼ無意味
 だろう。まあ、宇宙に行ったことはないので、あくまでも宇宙
 船からの中継画像などを見ての想像に過ぎないのだが。

 無重力空間での建築は(建築に限らないだろうが)、地上の理
 論とは全く違った形状で展開すると思われる。

 まあ私が生きている内に宇宙空間の住設計などは多分主流には
 ならないと思うので、あまり考えないことにする。

 地上での話しとして、空間はどんな要素によって大きく支配さ
 れるのか。そこの所が少し気になった/頭をヨギッタので、書
 いてみたい。

 既成概念(部屋形状が四角形)として、部屋は6面体。若しく
 は、少し変わるとしても、天井形状が三角になったり、ドーム
 になったり、ボールトになったりするくらいである。まあ、壁
 が曲面になっていたりというのもあるが。でも、概ね6面体か
 らの派生であると考えて差し支えないと思う。

 その6面の構成部位が外部に面していたら窓を付けたり、内部
 に面していたら窓(開口)や扉を付けたりしていく。出入の出
 来ない6面体は部屋として機能しないだろうし、真っ暗な部屋
 は居室として機能しない。というか映画館じゃないんだし。と
 いう感じである。そんな開口部位は大概壁面につく。コンセン
 トやスイッチもつくだろう。

 そして視線を上に向けると天井と呼ばれるものが、大抵ついて
 いる。まあ、雨や直射日光や風がバンバン入ってきても良いな
 ら、天井/屋根は不要である。既にその時点で「部屋」とは普
 通呼ばない。ただの「屋外」である。勿論、天窓などの開口が
 つくこともある。照明器具もつくだろう。

 最後に足元に目を移す。そこには床がある。なきゃ落ちる。な
 ので、普通はある。フローリングだったり、タイルだったり、
 畳だったり、カーペットだったりする。たまに、グレーチング
 などで光を通すようなこともある。たまに強化ガラスなどで、
 宙に浮いたような感じにすることもある。

 こう書くと、結構構成要素は意外と少ない気がする。あとは仕
 上げが多岐に亘るくらいである。もう一つ加えるなら、その6
 面体の大きさ/広さや天井高さといったスケールが加わる。こ
 のスケールは空間を支配する要素としては大きいかもしれない。

 スケールの大小は確かに大きな要素の一つであるだろう。

 ワンルームに近い空間ではない場合、その6面体は通常複数存
 在する。複数になった途端に、例えば階段や廊下的なものが必
 要になったり、単体同士の繋げ方/接し方にバリエーションが
 無限に存在し出す。

 単体ではシンプルなのに、複数になった途端、その組合せとい
 うか配置には、レベル差も含めてあらゆる可能性が出てくるの
 である。極めて当然といえば当然のことであるが。

 繋ぎ方によっては、今まで外部に接していた部分が内部になっ
 てしまう。窓を開ける位置も限定され出す。互いの部屋が互い
 に影響を及ぼし始める。

 部屋同士の移動=動線も無限に交錯し始める。

 互いの部屋/領域が有する意味/用途によっては、近い方が良
 かったり、遠い方が良かったりする。その部屋の用途次第では、
 必ず隣り合う必要があったりもする。

 空間を支配する要素は、実は空間同士の繋がり方なのである。
 と強引に結論付ける。

 設計の手法は人それぞれである。そして敷地・建物用途などに
 よっても度ごとに変化する。

 なので一概には言えない。が、敢えて言うとすれば、設計手法
 には「領域を割り振る方法」と、「領域同士を繋げていく方法」
 があると思う。

 領域を割り振らざるを得ないのは、極端な話リノベーションな
 どで外郭が決まっていたり、狭小の土地で敷地一杯建てたい場
 合だったりする。敷地が広い場合、領域同士を繋げる方法にな
 る。

 しかし、割り振る時であっても繋がり方次第で、良くも悪くも
 なる。

 さらに言ってしまえば、敷地が空間を支配するのかもしれない。
 しかし、その支配からは出来るだけ逃れようとする。周辺環境
 も大きく関わる。これは密集地かそうじゃないかで、敷地の大
 きさや形状が同じでも、考える視点は真逆になったりする。

 私達は可能な限り、敷地の「長所」を発見し、敷地が有するポ
 テンシャルを最大限に活かそうとする。そして可能な限り普遍
 的な使いやすさ・美しさを求めてシンプルな空間を目指す。

 外と繋がれるならば、出来る限り繋がりたい。閉ざすべきなら
 ば、どこかに外を感じる余白を持って、外部と繋がりたい。閉
 ざすだけだと窮屈というか息が詰まる気がするので。

 空間を支配するもの。それが分かれば、空間を支配出来る。

 空間が裸になった時、その空間の持つ力が分かる。力のある空
 間は、仕上げ材料の良し悪しに左右されにくい。

 そう思っている。

 そこを目指している。
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■編集後記

 フトよぎった疑問。その時々に取り巻いている状況で気になっ

 たり、全く気にならなかったりします。

 実はもう一つ、疑問というか興味のある事柄があります。

 サッカーの日本代表。試合に出られるのは、日本国民約1億人

 のうち、わずか11人。選ぶ監督によっては変化があるかもし

 れませんが、恐らくその国々で最もサッカーの上手い11人同

 士が試合をしているのだと思います。

 仮に建築で、W杯のような設計コンペを、国を代表する建築家

 11人が集まって行なったとき、日本の実力はどのようなもの

 なのでしょう。個の個性が強烈な気がするので、果たして意見

 がまとまるのか否か?一度見てみたい気がします。

コラム | by muranishi | comments(0)

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