空間工房 一級建築事務所

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10.02.08 Monday

レイアウトが先か間取りが先か

■新幹線。最近は世界に向けて車体だけではなく、交通システム

 丸ごと輸出する企みをしているという特集を以前TVで見まし

 た。

 それは、システム全体で新幹線の安全性能・安全走行を管理

 しているからという理論。しかし、その目論見は必ずしも世界
 
 に受入れられないらしい。理由はコストがかかりすぎるから。

 最近ではトヨタもリコールを連発し、新幹線もボルトの締め

 忘れによる事故のニュースが流れています。

 思うところは色々ありますが、最終的には人為的ミスが事故に

 繋がるという結論なのかもしれません。

 ヒューマンエラーを如何に抑えるか。それは、永遠の課題かも

 しれません。人間は完璧ではないのですから。

 などというお話しとは全く関係ない今回のコラム。

 それではどうぞおたのしみください。
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■レイアウトが先か間取りが先か

 最近、名古屋に行く機会が多い。名古屋で設計した現場が続い
 ているからなのだが。

 今までは、新幹線で名古屋を往復することが大半だった。新幹
 線で行けば、京都~名古屋は実に36分の距離である。近い。
 というか速い。流石、世界進出を進める新幹線である。

 この36分という魅力で新幹線を移動手段に選んできたのだが、
 実際に事務所~現場の移動内容をみると、事務所~最寄駅。最
 寄駅~京都駅。京都駅~名古屋駅。名古屋駅~現場最寄駅。現
 場最寄駅~現場。という具合。電車の連絡時間も要するので、
 実際には1時間半~2時間を要する内容。36分の恩恵を受け
 ても、掛かるものは掛かる。

 で、新名神が最近(といっても随分前だが)開通したので、試
 しに車で行ってみることにした。すると、ドアtoドアでの時間
 がほぼ同じ!という現実。この新名神。従来の名神高速と比べ
 ると、走行距離は実に30Km短い。速いはずである。しかも道
 幅が広く走りやすい。実は130Km/hを想定して造られたと
 いう噂もある(真偽の程は調べていないが)。名古屋から京都
 観光される際は、この新名神をおすすめする。

 ま、車を運転するという体力的負担は掛かるが、図面・書類・
 サンプルなど時に大量となる荷物を持って移動することを考え
 れば、電車も車も一長一短である。なので、最近は車を移動手
 段として使うことにしている。人数が増えても、掛かるお金は
 一緒だし。という大きなメリットもある。

 今までの電車移動。新幹線以外は大概、地下鉄だった。なので、
 名古屋の街並みは殆ど現場周辺しか見ることがなかった。

 それが、車移動になるとずっと地上を移動するから、名古屋の
 街並みが良く分かる。京都との違いも良く分かる。

 名古屋はトヨタショック・リーマンショックの影響で、流石に
 最近はバンバン建物が建つことはないようだが、ショック以前
 に建ったと見られる新しい建物が目白押し状態であることが、
 見て取れる。マンションやオフィス、ブランド店舗など、目を
 惹く建物も中にはある。

 かなり前置きが長くなったが、そんな建物群を見ていて感じた
 ことを少し。(このコラム。どうでも良い前置きの方が本題よ
 り長い傾向にあるが、お許しを)

 名古屋市内。大通りを走っていることが多いため、見ていると
 オフィスビルが目立つ。このオフィスビル。表層(外装)は其
 々に其々の工夫なりデザインがされている。別に名古屋に限っ
 た話ではなく、そうなのだが。でもカタチは整った直方体とい
 うデザイン。まあ、普通に設計すればそうなるだろうし、施工
 的にもコスト的にもメリットが大きいことは良くわかる。必然
 的に街並みも整然とした感じになるので、別に気にすることも
 ないと思う。

 が、気になった。

 何が?

 多分、その土地の建蔽率や容積率から経済性を考えて設計して
 いけば、オフィスビルは直方体になる。というか、なってしま
 う。のだと思う。必要な広さ・収納人員や機能は、ある程度幅
 があるにせよ、外郭は決まってしまうのだから、それに合わせ
 て内部の間仕切りを調整するとか、レイアウトを工夫するとか
 で、入った人が調整してよ。という感じに受け取れる。箱はつ
 くったから、あとはよろしく。みたいな。

 それが普通なのだろう。あとはエントランス勝負とか、外観勝
 負みたいな感じ。

 いわば間取り優先で、レイアウトは間取りに合わせてやってい
 くという手法に少し引っ掛かりを覚えたのである。

 でも良好なオフィス環境は、レイアウトを優先した方が良いの
 ではないか?レイアウトを優先したカタチにした方が面白くな
 るのではないか?と。

 実際には、オフィスビルと一言で言っても自社ビルとテナント
 ビルでは、レイアウト優先にはできない部分もあると思う。ど
 んな業種・職種にも対応出来る(しやすい)のは、四角い空間
 だろうし、大枠の中でパーテーションによって可変する方が長
 く使える。全ては経済活動と深く連動しているのだから、そこ
 は疑いの余地はない。だから、四角でOKだし、効率的なのだ。
 と。

 効率的が善で、非効率が悪というのは当然である。

 じゃあ、効率的にレイアウト優先にすれば良いのに。と思って
 しまうのは、設計者のエゴだろうか?

 この話し。実は住宅でも考えられる。間取りを優先して、家具
 のレイアウトは、そこに押し込む。というもの。その典型はマ
 ンションかもしれない。どんな人がどんな家具を持って、どん
 な生活スタイルで暮らすのかなんて、マンションの設計段階で
 は誰も予想できない。でも注文住宅は、そうではない。

 私達が設計する。ということはそんなレイアウトも含めてのこ
 とであると思っている。レイアウトが先でも間取りが先でもな
 い、同時並列性。快適に暮らすためには、その辺りも踏まえて
 設計する必要があると考える。あるべき所にあるものがある。
 それは窮屈ではなく、快適に。

 そんなことを想いながら、京都と名古屋を行き来している。
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■編集後記

 もしオフィスビルの設計依頼が来たらどうするか。

 実は独立2年目位に数社による設計コンペに呼ばれたことが

 あります。経験も少ないにも関わらず、全くの初対面の方から

 の依頼でした。

 結果は最優秀!。いきなりの大仕事!と意気込んでましたが

 結局は予算不足により、この話しは白紙となりました。(涙)

 当時は、必要な人数が収容でき、お互い(部署間)の気配が

 感じられ、会議室兼宿泊室としての和室迎賓室を設け、ホール

 には大きなシンボルツリーが植えられ、外部空間のような中で

 執務作業をするといった内容でのご提案でした。

 しかし、あくまでも間取り優先。レイアウトはそのカタチに

 あわせて配置する(でも机の形なども考えて提案しました)

 というものでした。それでも、レイアウトまで提案したのは当

 工房のみだったそうです。(ちっちゃな自慢です)

 今なら、もう少し踏み込んだ提案をするような気がします。

 レイアウトと間取りを同時並列したご提案を。

コラム | by muranishi | comments(0)

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