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10.06.18 Friday

長所を伸ばすか短所をなくすか

■「自分の長所は何ですか?」と聞かれたら皆さんはなんと答え

 られますか?

 「自分の短所は何ですか?」と聞かれたら、なにでしょう?

 たまに「短所のないところが短所」などというわけのわからな

 い答えをする人もいますが、人間誰しも長所や短所は持ってい

 るものだと思います。

 短所をなくす努力をするのか、長所を伸ばす努力をするのか。

 それは人それぞれだったりします。

 さて今回はそんなお話しを少し。

 それではどうぞおたのしみください。
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■長所を伸ばすか短所をなくすか

 サッカー日本代表の本田圭佑が少年だった頃、父親から「右足
 も練習しなさい」と言われた時、本田は「左足だけでいけるね
 ん」と応えたらしい。

 その左足で、W杯南アフリカ大会初戦のカメルーン戦で、見事
 にゴールを決めた。落着いて。ワンチャンスをものにした。世
 界の舞台で。

 本田にとって「左足」は、誰にも負けない武器であり、長所で
 ある。逆から見れば、「右足」は短所となる。しかし、本田は
 自分の長所を伸ばすことに専念した。父親は右足とのバランス
 を取ることで、短所をなくそうとした。果たしてどちらの選択
 が正しいのかは、誰にも分からない。

 これは何もサッカーに限った話しではなく、子育て全般に言え
 ることだと思っている。子育てを論ずるほどの経験はまだして
 いないのだが、直感的にそう思う。

 とある番組で「あなたにとって、子育てとは何ですか?」とい
 う質問をやっていたと妻から聞いた。その時の、とある回答者
 は「背」という一文字で答えたそうである。

 「背伸びをしない」「親の背中を見せる・見て育つ」「背一杯
 の愛情を注ぐ」などといった意味を込めての「背」らしい。な
 るほど。

 で、妻から聞かれた。「子育てとは何?って聞かれたらなんと
 答える?」と。

 私は迷わず「建築と一緒」と答えた。

 その心は。

 どちらも愛情を掛ければ掛けるほど、応えてくれる。良い点を
 伸ばすべきか、悪い点をなくしていくべきか考えさせてくれる。
 でも全ては正解のない試行錯誤だと思う。

 設計とは図面を描いて、ハイおしまい。という分けにはいかな
 い。その時点では単なる「二次元」の世界でしかない。三次元
 を二次元で表現したに過ぎない。実際の建築は、言うまでもな
 く、三次元となる。二次元から三次元へと乗り移るとき、監理
 の掛け方で良くも悪くもなる。図面では表現しきれなかった納
 まりやディテールが、現場に入ると噴出する。どのように見せ
 たいのか。どのように性能を確保したいのか。その意図を明確
 に伝えながら、一つ一つ導いていく。この愛情の掛け方次第で、
 出来栄えも変わる。と思っている。そして「意図」しない限り、
 空間は応えてくれない。

 一つの子育てに関する言葉で、印象に残っているものがある。

 「子供は親の言った通りには育たない。親のやった通りに育つ」

 言葉で正しいことを教えるのは簡単だ。でもそれは、親が態度
 で実行しない限り、真には通じない。子供は正確な「眼」を持
 っている。言葉よりも態度を見ている。と思う。

 建築も然り。言葉ではなく、スケッチや図面で表現しないとダ
 メなのである。百の言葉よりも一枚の図面・スケッチが必要だ
 と思っている。

 そして一番難しいのは「長所を伸ばすのか、短所をなくすのか」
 である。これは、設計段階の話しではあるのだが。

 プランに一つの大きな軸=長所を持たせたとする。しかし一方
 で、不都合な点=短所があるとする。本来、短所なんてものは、
 あっちゃいけない。なので短所をなくす方向に持っていけばよ
 い。のであるが、短所をなくすことで長所が打ち消されてもい
 けない。長所は長所として残しておかなければいけない。その
 長所がその空間の軸であるならば、なおさらのことである。

 長所を伸ばすことで、短所が短所でなくなる時がある。少しの
 寸法操作や、少しの逆転の発想で短所だった部分が、実に腑に
 落ちる空間になったりする。

 恐らく、その時点まで持っていくこと。時間を掛けること。思
 考を煮詰めることが、長所と短所を共存させることを可能にす
 る。

 本田は自らの考えで「左足」という長所を伸ばすことを決断し
 た。右足の短所を補って余りあるほどに。世界に通用するほど
 に。

 そこには人知れない努力や苦悩が隠されているはずである。左
 足一本で行くよりも、右足と併用した方が良いに決まっている。
 と大人は思う。しかし結果は、誰もが知るところである。

 短所が「住みにくさ」になるのは論外である。しかし、長所が
 補ってくれる程度の短所であれば、許容するのも一つかと思っ
 たりする。それが「妥協」でなければ。だが。

 そんなことを思いつつ、オランダ戦に臨む。

 いや、私が臨むわけではないのだが。って断らなくても分かる。
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■編集後記

 冒頭の質問は、良く面接試験などで聞いたりする質問です。

 自分の長所や短所に目を向ける機会なんて、正直そんなに

 ありません。私の場合は、ですが。

 長所は良い面も悪い面も兼ね備えていたりもします。

 良く言えば「落着いている」悪く言えば「のんびりしている」

 などという風に。それは見る人の感性や置かれている状況によ

 っても、良く見えたり悪く見えたりするのだと思います。

 私の長所ですか?

 ・・・運が強いと自分で思い込めるところ。です。

 ・・・うーん、微妙。。

コラム | by muranishi | comments(0)

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