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10.02.03 Wednesday

可変性(2)

■物事を一つ、突き詰めて考えていくと思わぬ問題や障害が

 転がっていることに気付いたりします。

 大事なのは、そこで諦めるのではなく、その問題や障害を

 どのように乗越えるか、取り除くかなのだと思います。

 今回も懲りずに「可変性」について。

 問題や障害はどこにあるのか?それをどう回避するのか?

 そんなことを考えながらのコラムです。

 それではどうぞおたのしみください。
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■可変性(2)

 可変性について、もう少し。自分の中で結論が出ていないので、
 もう少し書き綴る。

 前回、2つの住居を構えて行き来する的な結末だった。実際は、
 2パターンの住居を複数世帯で使い分けるという書き方だった
 が。

 さて、人はなぜ家を建替えるのか?

 それは、長年の痛みがひどくなったり、性能が劣っていたり、
 住み心地が悪かったり、色々なことを総括的に見て建替える、
 又は新築するのだと思う。その要因の一つが、家族構成に合わ
 ない。手狭である。など可変性に関わる部分だと思う。

 余談ではあるが、構造も問題なく、ある程度の間取り変更も出
 来、メンテナンスも行き届いているとした場合。つまり、長期
 優良住宅の認定基準を全てクリアしていると仮定した場合、絶
 対に建替えることはしないだろうか?

 もし、建替えるとすれば、それは余程デザインが気に入らない
 かお金の使い道が無いかだと思う。なので、建替えないことを
 前提に話しを進める。長期優良住宅の根本が覆るので・・。

 可変性について。

 前回の内容は冒頭に書いた通りである。一つの住宅で全てのシ
 チュエーションをカバーするという考えを止めるという主旨。
 現実的ではない。とも言い切れないと思うが、コストが掛かる
 という意味で、受け入れ難い部分があることは否めない。一般
 的には家は一生に一度建てるかどうかといったところなので、
 二度建てる又は所有するのはコストが単純に倍掛かることにな
 る。

 では、現実的な「可変性」について。

 構造躯体は外部廻りのみとし、内部間仕切りは可能な限り耐震
 壁としない。間仕切りは可動家具で仕切る。などといったもの
 が一般的かもしれない。要は、部屋の仕切りを耐力壁ではない
 「壁・建具・家具など」で仕切ってしまうという考え。家族構
 成やライフスタイルに応じて、仕切ったりオープンにしたりと
 いう感じ。至って簡単にできそうである。現実的であるように
 感じる。コストもそんなに掛からなさそうである。昔の家と同
 じである。畳続きの部屋を襖や障子で仕切るアレである。

 しかしアレには一つ問題がある。耐力壁が極端に少ないという
 大きな問題である。鉄骨やRCラーメン構造(柱と梁で耐力を
 持たせる方法)なら問題なく出来る。が、木造の場合、木質ラ
 ーメンでないと難しい。というか、簡単にはいかない。巷に流
 通しているSE工法というもの(木造特殊金物工法)や木質の
 門型フレームを上手く活用しない限り、在来工法では限界があ
 る。勿論コストも掛かる。

 構造耐力上支障のない範囲で、且つ在来工法でというと、そん
 なに大きな空間は確保出来ないのである。だから、大空間の外
 郭だけ造って、内部を自由に可変する/間仕切るというのは、
 口で言うほど簡単ではないのが現実である。

 ま、その辺りは妥協点(動かせなくても支障のない内部壁の位
 置など)を見出していくのが最も現実的かもしれない。

 少し煮詰まってきたので、ここらでアイデアを少し。

 可変させる時、最も困るのは何だと思われますか?

 私が思うに、お風呂・トイレ・キッチンなどの水廻りと窓の位
 置。水廻りには給水・給湯・排水といった配管設備が必ずセッ
 トとしてつきまとう。特に排水勾配などは緩く出来ないので、
 簡単に移動出来ない。配管も簡単にやり直せない。キッチンの
 位置が変わらないということは、結構な制約が生じる。そして、
 窓の位置。雨水のことを考えると、簡単に切って貼っては出来
 ない。実は建物の改修で上記の2点が最も制約を受ける箇所で
 あると感じている。

 逆に、この2点に自由度が生まれれば、可変性にも大きな可能
 性が生まれると思うのである。具体的に試したことはないが、
 今後機会があれば、いつか試してみたい内容でもある。

 試してみたいアイデアの詳細は流石に書かないでおく。
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■編集後記

 簡単にいくようでいて実際に取組み出すと問題勃発。

 家創りで、そうならないようにするのも設計の重要な役割です。

 世の中に溢れる建築雑誌。中には奇抜なものもあったりします。

 でもそれは恐らく、考え抜かれているからこそ成立しているの

 だと思います。簡単に真似をして同じ効果が出るわけではあり

 ません。たぶん。

 考え抜いた末に辿りついた答え。それは同じ時間若しくはそれ

 以上の時間を掛けないと、問題は相変わらず勃発するのだと思

 います。必要充分な時間を掛けることが、後々の成果に繋がる

 のだと考えて設計に取組んでいます。

コラム | by muranishi | comments(0)

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