空間工房 一級建築事務所

HOME > MESSAGE コラム > 可変性(1)
10.02.01 Monday

可変性(1)

■茫洋としたイメージ。分かっているようで分かっていない内容。

 そういう時が、生活していても多々あるかと思います。

 茫洋としたままではなく、具体的にイメージするために書き出

 してみることがあります。それは文章であったり、スケッチで

 あったりします。

 建築を考える時も必ずといっていい程行なう行為の一つです。

 今回は、文章にして具体的にイメージすることから何か生まれ

 ないか?この場で検証・実践してみたいと思います。

 それではどうぞおたのしみください。
_____________________________

■可変性(1)

 前回のコラムの続きと言えば続きである。

 長期優良住宅の認定基準の中に「可変性」という項目がある。
 これの意味する概要は「居住者のライフスタイルの変化等に応
 じて間取りの変更が可能な措置が講じられていること。」とあ
 る。

 前回は、これが難しいと書いた。措置を講じることは難しくな
 いのだけれど、「可変」すればオールオッケーか?という点に
 於いて難しいと書いたつもりである。

 一例を挙げてみる。

 家族構成。現代日本では一般的とは言えないかもしれないが、
 大人二人子供二人の家族を例に取る。いわゆる4人家族。

 こうなる数年前は、誰もがうらやむ新婚時代。アツアツの夫婦
 2人家族だった時代がある。いつも二人で行動するのだから、
 そんな時代は極端な話しワンルーム的空間で事足りる。やがて
 子供が一人生まれ、3人家族となる。生まれて数年(小学校に
 入る前位まで?)は、子供も小さく場所も取らない。だからワ
 ンルームでもまだ問題ない。そうこうする内に、二人目の子供
 が生まれる。上の子は4歳位。まだまだ手が掛かる時期である。
 そんな時代の4人家族。子供の遊び部屋なんて特に必要はなく、
 茶の間/リビングで寛ぐ感じ。

 上の子が小学校に入る頃、下の子はまだ4歳。若干手狭になっ
 てきたものの、無理をすればワンルームで良い期間が続いてい
 る。

 下の子も小学校に入る頃、上の子は小学5年生になる。家庭に
 よっては、受験を控えるお年頃。勉強する場所もそろそろ確保
 してやりたい。この際だから、下の子の部屋も欲しくなってく
 る。この辺りで、ワンルーム的空間生活から脱却。夫婦の寝室
 ・客間も合わせて4LDK。ワンルームから一気に4LDKの
 空間が必要となる。

 もはや面積を広げるしかない。お互いのプライバシーというよ
 りも、子供が一方的にプライバシーを主張し出す。住み替え時
 か?我慢するか?建替えるか?という時期は、家族其々だが、
 一つの大きな節目を迎える頃かもしれない。子供が生まれる時
 期にもよるが、アツアツの新婚時代から数えて、ざっと10年
 前後。

 やがて上の子が大学に入学するまで約7年。場合によっては、
 親元を離れた大学で下宿。なんてことになれば、7年で子供部
 屋の一つは物置となる。若しくは、下の子が二部屋ぶち抜きで、
 悠々と使う。または、旦那さんの書斎と化す。そうこうする内
 に、下の子も大学へ。この子は残るか?と思いきや、やはり新
 天地へ。

 なんてことになれば、またワンルームで充分な生活がやってく
 る。4LDK時代を迎えてから、ざっと10年前後。

 子供が結婚して実家に戻るなら、2世帯分のスペースが今度は
 必要となり、誰も戻らないなら、広すぎる家となる。その判断
 が下されるまで、ざっと10年前後。

 かくして、30年をサイクルに家が建替えられる・・・。

 長い一例だと自分でも思う。が、お許しを。

 平たく言えば、こうなる。

 人生80年と仮定する。

 A.生まれてから10年程度:0~10歳
 B.就学期間の10年程度:11~20歳
 C.独立してからの10年程度:20~30歳
 A.結婚してからの10年程度:30~40歳
 B.子供が就学期間の10年程度:40~50歳
 A.子供が独立してからの10年程度:50~60歳
 D.子供が結婚してからの10年程度:60~70歳
 E.孫が就学してからの10年程度:70~80歳

 で、

 A=ワンルーム期間:合計30年程度
 B=4LDK期間:合計20年程度
 C=一人暮らし期間:合計10年程度
 D・E=子供が戻らない場合はワンルーム期間:20年
 D・E=子供が戻る場合は4LDK以上:20年

 子供の将来選択によって大きく分かれるが、最長のワンルーム
 期間は50年。である。かなり乱暴な振り分けだが・・。

 ワンルームで過ごせる面積と4LDK以上必要な面積は考える
 までもなく、違う。しかも大きく違う。それを「可変性」の一
 言でオールオッケーと認識するのは大変危険である。と思う。

 「可変性」の一言で片付けるのは、そもそも無理があると考え
 た方が素直かもしれない。

 では、どうすれば良いのか?

 異論・反論が多数出ると思うが、書いてみる。

 A/B・D・Eを別物と考える。Cはどこかのワンルームマン
 ションで過ごすとして。

 Aは広い部屋がポンとあれば良いイメージ。
 B・D・Eはそれに個室が取り付くイメージ。

 それらを世代別に棲み分ける。一つの家で全てを賄うことを止
 める。なぜなら無理・無駄が生じるから。結局、建替える必要
 が生じるから。

 それぞれの視点で住宅の保全性を長期化させる。それを世代別
 に移動/移住/引越しする。

 多分、物理的な無駄は削減されると思う。

 この方法が一般的に受入れられるか否かはおいておく前提だが。

 少し長くなってきたので、続きは次回に。
_____________________________

■編集後記

 意外にも「家」は狭くても良い期間が長いことを実感して頂け

 ましたでしょうか?
 
 勿論、人其々に家族構成も異なりますので、一概には言えませ

 んが・・。

 昔(明治時代の頃まで)は、家長制度という縛りから、長男が

 代々家を引き継ぐ慣わしがありました。それが高度経済成長期

 と時を同じくして「核家族化」し、大家族での生活はマイナー

 になってきました。
 
 社会のシステム/状況が変化しているのだから、それに合わせ

 て、住環境も変化するのがスマートな方法だとは思います。

 そして今や少子高齢化社会へ着実に日本は足を踏み入れようと

 しています。

 そんな時代に合う住環境が何なのか。その辺も探っていく必要

 がありそうです。

コラム | by muranishi | comments(0)

コメントをどうぞ

空間工房 用舎行蔵 一級建築士事務所
住所:〒602-0914京都市上京区室町通り中立売下がる花立町486
TEL:075-432-3883
FAX:075-334-8051
ALL CONTENT COPYRIGHT 2012(C) KUKANKOBO YOSYAKOZO ARCHITECYS OFFICE ALL RIGHTS RESERVED