空間工房 一級建築事務所

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10.01.27 Wednesday

決め手は?

■就職率は一向によくなりません。不景気ですから。

 それを嘆いていても就職率も景気もよくなるわけではないので、

 おいておいて・・。

 今回はそんな中、就職が決まった人のお話。

 何の参考にもならないかもしれませんが、書いてみました。

 皆同じ立場なのだと思います。実は。

 何のことなのかは、読んでみてのお楽しみです。

 それではどうぞおたのしみください。
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■決め手は?

 新しいスタッフが決まった。

 結局、応募は丁度10名。募集人員が1名だから倍率は10倍。
 数字の問題、倍率の大小に関わらず、期待は大きい。

 この期待の新人。平成生まれである。結果的には、応募者の中
 でも最も若い。(今気付いた・・。)実務の経験値は勿論ゼロ。
 この春に卒業する若者である。

 応募者の中には、豊富な経験を有する人からこの春卒業見込み
 の人まで色々であった。いわゆる中途採用から新卒採用までだ
 が、特に今回も制限を設けずに募集をしていた。

 それでは、何が決め手となったのか?

 そこには、経験値を取るか、期待値を取るかという単純な選択
 ではない「インスピレーション」が作用しているのも事実であ
 るし、実際に一緒に仕事をしたことがない中で、採用の可否を
 決めるのは自分達の直感に頼らざるを得ない部分も往々にして
 あるのも事実である。

 が、今回「も」比較的スムーズに決まった。「も」というのは、
 先月で退職した前任スタッフを選ぶ時も同様のイメージを持っ
 た記憶があるからである。

 以前にも書いたと思うが、決め手は「プレゼンテーション」の
 内容・密度であった。それが、単純にずば抜けていた。だから、
 選ばれるべくして選ばれたと言える。「悩んだ末」というので
 はなく、「決まりでしょ」という感じ。

 経験値はこれから積めば良い。でも期待値はこれから積めるも
 のではない。面接とは一瞬の勝負なのかもしれない。口先だけ
 では戦えない勝負。そう思った。

 以前の繰り返しになるが、私達もまたお客様と向き合う時、同
 様に試されている。ただ、経験値も恐らく選択要素としては含
 まれている。普通は。

 普通は。と書いたのは、独立当初の自分達(=経験値が低い)
 を敢えて設計者として選んで頂いたお施主様が、事実としてお
 られることを覚えているからである。事務所としての処女作は、
 相方の親戚の住宅設計であった。これは、設計事務所の第一歩
 としては良くある話しかもしれない。が、二作目は全く面識の
 ない方から掛かってきた電話だった。暑い夏の日だったことを
 覚えている。

 独立当時は、ツテやコネがそんなにあるわけでもなく、ひたす
 らネット上のコンペに応募しまくっていた。ホームページをつ
 くってはみたものの、載せる「実施作品(設計事例)」がなく、
 体裁は整わない状態。そこで、コンペに応募した設計事例ばか
 りがどんどん増えていくという状態。

 見ている側としては、確かに依頼し難い状態だったと思う。な
 にせ、設計事例のない設計事務所程信用性に欠けるものはない
 と思う。誰だって独立当初は、そうなるのだけれど・・。

 そんなコンテンツの少なさにも関わらず、電話が鳴った!今思
 えば、奇跡である。なにかの勧誘か?詐欺か?と失礼なことを
 思いながら、その日にお会いした。

 当時は仕事がないものだから、TシャツにGパン姿での事務所
 通い。事務所にスーツをおいておくなどといった気も効かず、
 挙句の果てに足元は「ビーチサンダル」である。やばい。どう
 考えても社会人としての容姿を成していない私達二人。でも
 「汚い格好ですから、合えません」とも言えない。何しろ場合
 によっては、千載一遇のチャンスでもあるのだから。

 「しょうがない・・・。」とイデタチのことはご容赦願うこと
 を前提に、指定場所であるファミリーレストランに赴いた。

 「コンペに多数応募されているその熱意。建築に掛ける熱意に
 期待して、依頼します」とのお言葉をいただいた。身体が浮い
 た。嬉しくて。心臓の音が外に聞こえるようだった。暑い夏の
 昼下がりだった。

 今思っても、感謝の気持ちで一杯です。

 その後、紆余曲折があったものの、無事竣工まで漕ぎ着けるこ
 とが出来た。この春で、竣工から丸8年が経つ。

 ・・・期待値は時として、非常に重要な要素となり得るのだと
 実感した。だから今回のスタッフにも、経験値を超える期待値
 に私達は賭けてみる。多分、大丈夫。人は期待されると応えた
 くなるのだから。
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■編集後記

 初志/初心忘るべからず。という言葉をたまに忘れます。

 忘れてはいけないと思います。

 最初の頃の気持ち。想い。情熱。・・・建築に対する私達の

 気持ちは常に熱いのです。

 何が決め手になるのか。それはその時々でも変わってくるの

 かもしれません。が、自分達の信じる道は一本筋を通しつつ

 柔軟に進んで行きたいと思います。

 そして、今の自分達は多くの人々(お施主様方)に支えられて

 あるのだということも忘れずに。

コラム | by muranishi | comments(0)

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