■皆さんそれぞれ好きな「色」があると思います。
ものを買う時、例えば携帯を変えるときなど、最近では色々な
色から選ぶことが出来るようになってきました。
その時の気分や気候にも多少影響されたり、思い切って今まで
持ったことがない色のものを選んでみたり。
色はそれだけで元気にしてくれたり、気持ちを落着かせてくれ
たりします。
簡単に買い換えられるような小物なら、その時の気分で選んで
みても大丈夫。
でも住宅に使う色は、そう簡単に変えられません・・。
今回は色にまつわるお話し。
それではどうぞおたのしみください。
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■色について
建築を考える時、色は重要な建築要素となる。
色は仕上げのあらゆる場所に顔を出す。外観・内観を問わず至
るところに現れてくる。
私達が「色」を決断する時の判断材料は何か?を今回は少しお
話ししたい。
まずは外観の色を決める/ご提案するとき、単に好きな色をつ
けていくわけではない。京都市内の場合、いわゆる景観条例や
風致規制によって使える色はある程度決められてはいるが、こ
こでは規制がない場合の考え方を少し。
街並みが有する固有の色彩を意識することは勿論だが、設計し
た建物が所有する固有のカタチや物語を特に意識する。これは
お施主様のご要望を汲み取りつつ収斂していったカタチである
ことは言うまでもないが、プラスαの要素、即ち設計者の意図
も必然的に組み込まれている。
色と並んで重要なのが素材。同じ色でも、素材が「木」「鉄」
「モルタル」「コンクリート」の場合ではイメージが全く異な
る。それは、素材の持つ温度感・重量感・奥行感が異なるため
であり、微妙な陰影・質感・肌触りの違いが視覚的にも影響を
与えるためである。
そして、使おうとする素材はその建築固有のカタチやストーリ
ー性とマッチしていることを目指す。というか、マッチする素
材を探す。
建築のカタチは様々である。四角であったり三角であったり、
曲面を有していたりする。普通はそれらの複合形であることが
多いかもしれない。ただ、私達はそのカタチを極力シンプルな
ものに収斂していく。していこうとする。それは、コスト的に
も有利であるとも言えるが、シンプルにすることで生まれる力
強さ・飽きの来ない美しさ・街並みのキレイさを目指している。
ごちゃごちゃ感を排除し、本当に必要なものを追求したら、こ
うなりました的な流れである。機能的と言うのとは目指す方向
が少し違うが、機能美というのは好きである。シンプルにする
ことで生まれる豊かさも好きである。この辺りは、かなり個人
的嗜好が入ってくるので、一概に良い・悪いと言えないところ
だが・・。
そのようにして生まれるカタチ。そして発したいイメージ。宿
しているストーリー性・コンセプト。内包している空間性。そ
んな様々な視点を現すのが、素材と色であると思う。
温もりを持たせたいのか、シャープに見せたいのか、拡散した
いのか、凝縮したいのか。
色々な想いがその色、その素材には込められている。
それは、内観・内部空間にしても然りである。
色は色彩だけでなく、彩度・明度によっても印象を変える。同
じ白でも、奥行きのある白・のっぺりとした白・透き通る白・
沈んだ白・眩しい白など彩度と明度の違いによって様々な表情
を見せる。そこに素材が加われば、温もり・冷たさ・柔らかさ
・硬さなども変化する。
色を決めるとき、明確な意図を持って決めている。それは、嗜
好性とは別次元のものである。とは言い切れないないが、パラ
レルなものである。時に色決めを行なう場合、今までに見てき
た空間や雑誌などが頭をよぎる。これはどうしようもなく、よ
ぎってしまう。
しかし、常に新たな心象風景を探るとき、敢えて頭の中身を真
っ白にする。そしてイメージする。イメージを強く持つ。新た
な心象風景となり得るかどうかを照合する。結果、どこかで見
た感じになることもあるし、初めて見る風景が創出されること
もある。
何も色がない世界。若しくはただ一色しか色のない風景。そう
いうものを考えている。それは、カタチが持つ力を信じている
から。光と影が空間の最大の魅力になり得るから。素材の持つ
違いが、ただの一色に彩りを添えてくれるから・・。
色は難しい。故に「ハマッタ」時、この上ない喜びを感じる。
そんな住宅が、この春に完成予定である。
「ハマル」ものと信じている。
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■編集後記
色は使いだすとキリがないものです。
特に内装の場合、極力3色以内に抑えることを考えています。
住宅や建築の場合、必ず家具や小物・絵画など「色」の付いて
いるものが、生活をしていく上では入り込んできます。
それらが入り込んでくることを大前提に、色選びは難しく奥が
深いものだと思います。
イタリアやメキシコの建築家は、色を巧みに操ります。
日本人では思いつかないような色の組合せをしてきます。
それは、気候・風土とマッチしているからこそ可能な技とも
言えるでしょう。
日本の気候・風土にあった色。何色を思われますか?
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