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10.04.21 Wednesday

今さらですが・・

■建築には流行り廃りがあります。

 ゴシック建築・アールヌーボー・機能主義・モダニズム・ポス
 
 トモダン・・・歴史を紐解けば時代により主流となった様式は

 様々です。

 日本に於いても然り。寝殿造り・書院造り・神社仏閣・町屋等。

 しかし、各々の時代をくぐり抜けて今も人々に愛される建築と

 いうのは確かに存在します。

 えらく大風呂敷を広げましたが、今回もそんな話しと関係ある

 ようなないようなコラムではあります。

 それではどうぞおたのしみください。
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■今さらですが・・

 今さらですが、TOTO出版より出されている本「建築をつく
 ることは未来をつくることである」という本を読み始めたとこ
 ろである。

 まだ読み始めたばかりなので、今回はその内容というよりも、
 一般論的な観点から少し書いてみたいと思う。

 本屋さんに行くと、世の中には読みきれないほどの本が出回っ
 ていることを毎回実感する。

 自分が興味のあるジャンルだけでも制覇するのは、ほぼ不可能
 に近い気がする。なので、本を選ぶときは時に慎重になるし、
 時間も掛かる。しかし時には直感で、タイトルだけを見て購入
 する場合もある。

 上述の本は、どちらかと言うと直感での選定。そのタイトルは
 前から知っていたので、中身を吟味/立ち読みすることもなく、
 手に取ってレジに向かった。

 副題に「世の中は建築で変えられる」と書いてあるのにも興味
 をソソッタ。著者は4人の建築家による共著。触りの部分だけ
 みれば、座談会のような形式で書き進められている。

 素朴な疑問がフト頭をヨギッタ。「建築家の発言力とは、どの
 程度のものなのか?」と。

 言われていることには共感できる部分も多いし、検証はしてい
 ないけれども概ね正しい意見交換がなされていると思う。

 しかし、恐らく建築業界外の人はまず手に取らない類の本であ
 るような気もしている。そもそも置かれているのは「建築コー
 ナー」なので、専門書的なジャンル分けがされている。

 もっと一般の人に向けて発信していくべき内容であると思われ
 るのだが、その辺りに歯痒さを覚える。

 建築をつくるということは、意識するしないに関わらず、未来
 の人に、その空間を手渡す/引き継ぐことに他ならない。とい
 った内容の序章である。だから、特に公共建築や小さな住宅に
 関わらず、全ての建築は未来と繋がっている。とも書かれてい
 る。

 要約すると以上のような観点に立って、今後の論議展開/理論
 展開がなされるのだと思う。そこには一般市民を巻き込んだ展
 開が待っているのかもしれないが、まだ最後まで読んでいない
 ので分からない。

 しかし、建築家は何も発注者である特定行政や法人に向いて設
 計しているのではなく、最終の利用者さらには未来の利用者や
 住人に向かって設計という行為を通して、社会に貢献しようと
 しているのだという観点であることは確かだと思う。

 これは建築界に留めておくことではないと思う。広く一般の方
 々に発信していくべき事柄であると思う。

 そこで「建築家の発言力」が気になった。発言力とは、発する
 言葉が持つ力であり、どこまで遠くまでその声が届くかだと思
 っている。

 少し昔、東京都知事選で、今は亡き建築家・黒川記章氏が立候
 補した。発言力という意味では、政治家の発言力は公的意味を
 持つので、少なからず大きいと思う。言っている内容の良し悪
 しに関わらず。ではあるが。結局はご存知の通り落選されたの
 であるが。その際黒川氏が言わんとするは、結局民意ではなか
 ったということなのかも知れない。

 何も政治家が正しいわけではないだろうとも思うし、政治が変
 われば建築の見方が変わるわけでもないかもしれない。制度の
 問題は別として。

 恐らくではあるが、私論を書かせて貰えれば、世の中の人々が
 抱いている建築像と建築家/建築業界が抱いている建築像には
 乖離があるような気がしている。

 建築業界の中ですら、設計事務所・ハウスメーカー・ハウスビ
 ルダー・ゼネコン・工務店などの其々の立場で描いている建築
 像には隔たりがあるような気もする。

 どれが正しく、どれが間違いなんて言うのは、其々の視点や観
 点によって変化する。文化的・芸術的・機能的・経済的など、
 その観点/判断基準はマチマチなので当然ではある。

 なので、多分建築家の発言力は小さい。

 それは、いかに総合的観点からの発言であろうと、小さい気が
 する。

 分かりやすい言葉。分かりやすい内容。そうじゃなきゃ、声は
 遠くまで届かない。伝聞するうちに内容が変化する。そんな気
 がしている。

 だから、発言はナンセンスかと言えば、それは全く違う。やは
 り発言は必要だし、発信も必要だと思う。

 建築家の最も大きな発言力は「建築」そのものである。誰もが
 目にすることができ、公共建築であれば、誰もが体感すること
 ができるのだから。

 4人の共著と書いたが、いずれも建築業界では超有名な方々で
 ある。なので、恐らく設計業界や建築教育に対する発言力は「
 大」といっても過言ではない。

 ほんの4人が集まるだけでも一冊の本が出来上がる。ならば、
 建築家が束になって、社会に発言していけば、少しは現状より
 も多くの一般の方々に「想い」が伝わりそうな気もするのだが
 ・・。

 建築は社会と深く関わっている。街を歩けば、必ず眼にする。
 その大きさの大小に関わらず、眼に入ってくる。

 もう少し、一般の方々にも伝わる「言葉」を模索していく必要
 があるのかな。と思いつつ、もう少し読み進めたいと思ってい
 る。
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■編集後記

 建築家の設計する建築には、人それぞれの思想や物の考え方が

 必ずといって良いほどあります。

 それは時代を映し出したものから、新しい思考/技術に基づく

 ものまで様々です。

 何が残るのか。誰に残すのか。そのメッセージを届ける先は

 どこなのか。それも人それぞれです。

 建築にできること。そこを考えながら、設計者は設計に取組ん

 でいるのだと思います。

 大それたことはできない。と思ってしまえば、そこまでです。

 なので、できるだけ大それたことをしていければと思ってい

 ます。それは、自己満足のためではなく、それを利用する人の

 ために。

コラム | by muranishi | comments(0)

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