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10.04.14 Wednesday

その先を考える

■時間が経っても古びないもの。

 時間と共に古びていくもの。

 世の中には後者のものが多いような気がします。

 できれば前者でありたい。誰もがそう思うかと思います。

 物理的な経年劣化は避けようがないのですが、それでも

 考えようによっては、ある意味で避けることができるかも

 しれません。

 そんなこんなで今回のコラムを書いてみました。

 それではどうぞおたのしみください。
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■その先を考える

 いきなり「その先」と言われても。

 今回のタイトルは唐突ですが、書いて行きたいと思います。

 以前のコラムにも書きましたが、設計作業の一つに「色決め」と
 いう重要な行為があります。色は色だけでなく、材質の持つ質感
 や空間のカタチや光の入り方にも影響を受けて、一つの色に決ま
 っていくものだというお話し。

 今も実はある住宅の「色決め」作業中です。

 コラムを書いている暇があったら、配色を考えろと怒られそうで
 すが、少しだけコラムをば・・。

 設計当初からある程度の配色や仕上げは、頭の中で同時並行しな
 がら設計は進んでいきます。それは、ダイレクトに空間の雰囲気
 にも反映されるものですので、当然と言えば当然です。

 そして、最終の色決めでは、設計の初期段階から積み上げられた
 一連の考えの中で、結論を確認していく作業でもあります。

 私の場合、ある程度現場が進んだところで実際の空間に身を置い
 て、当初のイメージから変更した方が良いのか、それとも当初の
 イメージ通りでいくべきかを検討しつつ、最終の色決めを行なう
 ことにしています。

 設計者によっては、設計段階から品番まで決定する方も居られる
 と思います。どれが正解かは分かりませんが。

 色を決めるのは、その建物が今後積み重ねていくであろう年月か
 ら比べれば、ほんの一瞬の出来事かもしれません。しかし、その
 ほんの一瞬が、これから先の住空間を決定してしまうことに、時
 に臆病になったり、躊躇してしまいます。なので、絶対の確信を
 得られるまで、自分の中でシュミレーションを続けます。

 確信を得たからといって正解はないのですが、「その先」を考え
 ることが非常に重要なのだと思っています。

 「その先」とは、新築当初の出来上がりではなく、数十年先のこ
 とを意味します。建築に関わらず、出来上がった当初・新品当初
 は何でもキレイに見えます。実際キレイです。それは、誰も使っ
 ていない状態ですし、汚れもない状態なので当然です。

 しかし、実際は使われてこそ価値が出る。と思います。というこ
 とは、使っていくうちにモノは古くなります。それは、物理的な
 経年劣化という意味でも勿論そうですが、時代/流行に合わなく
 なるという意味でも、古く感じる恐れは大です。

 経年劣化はどんな素材を使おうが避けて通れないものと言えるで
 しょう。しかし、精神的な意味での劣化は、ひょっとしたら避け
 ることが出来るのではないでしょうか?

 今流行っているから。とか。雑誌で良く見る仕上げだから。とか
 ではなく、今後積み重ねられる年月とどう折り合いをつけていけ
 るか。古びた印象になるのではなく、使いこんでも古びない、も
 っと言えば、使いこむごとに味わいが出る。そんな意味で「その
 先」を考えた色決めをしていきたいと思っています。

 勿論それはコストにもはね返る話し/領域でもありますので、な
 んでもかんでも良い材料・良い素材というわけにはいきません。

 限られた予算の中で、最大限のパフォーマンスというか、空間的
 な価値が高まるように考えています。

 そこに住まわれていくお施主様・そしてご家族の皆様のイメージ
 を大切にしつつ、時には直球で、時には変化球で応えていく。そ
 れが設計者には求められているのだと思います。

 数十年後のご家族の姿を想像しながら、「この配色で問題ないか
 ?」「この配色で古びないか?」などと自問自答しながら、色決
 め作業に戻りたいと思います。

 まあ、お施主様の意見で「コロっ」と変わる時もあると言えばあ
 るのですがね。

 だからと言ってお施主様任せには出来ない部分でもあります。恐
 らくこの世で、その空間に最も精通しているのは、設計者本人な
 のだと思いますから。
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■編集後記

 昔の茶室や昔の民家を訪れることが、職業柄多くあります。

 そこには確かに「時間」も蓄積されていることを感じます。

 もうボロボロでどうしようもない。と感じる人もいれば

 「侘び・寂びだねぇ~」と感じる人もいるかと思います。

 配色だけで古びた感をコントロールすることはできないかも

 しれませんが、「その先」を念頭に置くか置かないかでは

 違いが生まれるとも思っています。

コラム | by muranishi | comments(0)

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