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10.01.04 Monday

ある建築家の言葉(4)

■人生には大きな局面というものがあります。

 それは、その時には分からず、後から振り返ってみて思うこと

 もあると思います。

 その局面の振舞い方一つで、後の人生も簡単に変わってくる様

 にも感じます。

 幸運の神様は前髪しか持たない。

 通り過ぎてから「チャンス(前髪)」を掴むことはできない。

 という逸話が、数年前に流行った記憶があります。

 今年も幸運の神様の前髪を掴めるよう、目を見開いて進んで行

 ければいいなと思います。
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■ある建築家の言葉(4)

 今回は当工房の出所について、少々。

 ある建築家の言葉を絡めて話しを進めたい。

 ある建築家の言葉シリーズの初回を飾った、磯崎新氏に再びご
 登場いただく。

 もう、10年以上前に読んだ磯崎氏執筆の本に書かれていた内
 容である。タイトルは、勿論忘れた。(勿論って・・)

 私達の事務所は二人の共同主宰によって成り立っている。何故
 二人なの?と思われる方も多い。でも最近は多人数ユニットは
 珍しくなくなってきている。何故かは知らない。いや、多人数
 ユニットが多くなってきた理由は知らない。何故二人なの?と
 いう理由は少しづつ述べていきたい。

 元々は、大学・大学院の研究室が同じだったことに由縁してい
 る。そして、元々は三人で事務所を立ち上げることも目論んで
 いた。が、内一人は関東出身の長男ということもあり、関西で
 の独立は無理だったため、二人になった。という経緯がある。

 内一人は、現在東京にて一人で独立を果たしている。いわばラ
 イバルである。が、職圏があまりに遠いので、ライバルにはな
 っていないのだが・・。

 私達二人は関西出身。で、東京の大学に行った。略して東大。
 (何の見栄だか・・)いや、東京理科大学である。関西で知っ
 ている人は少ない。英語で言うと、カレッジである。ユニバー
 シティではない、地味な大学である。

 大学の立地上、やはり関東人が多い。その中の関西人は必然的
 に浮く。そう、笑いのツボが違うのである。(なんのこっちゃ)。

 で、浮いた二人は親近感を覚える、のである。親近感を覚えつ
 つ、相手より上に!というライバル心も生まれる。より、笑い
 を取ろうというライバル心。(建築じゃなくて、笑いというと
 ころが関西人の悲しい性である)。

 いつになったら磯崎氏の言葉が出てくるの?とお思いの方。も
 うすぐですからね。

 大学院の研究室というのは、人数が少ない。だから必然的に仲
 良くなる。その中の浮いた関西人二人は、関西という見えない
 絆がより強くなる。

 卒業後の当面の将来の目標は「独立」であった。就職はバラバ
 ラだったが、目標は同じだった。学生気分の抜けない社会人は、
 暇を見ては飲みに集まる。たまたま二人共、東京の会社に就職
 していたことも要因の一つかもしれない。で、集まっては愚痴
 をこぼす。未来を語る。夢をぶつけあう。

 そんな時、読んでいたのが磯崎氏の本。「私の仕事術」か何か
 だったと思う。(おっ!思い出した!)

 その中に磯崎氏の独立当初(独立前)の話しが書かれていた。
 磯崎氏が勤めていたのは、かの有名な丹下健三氏のアトリエ。
 丹下氏のアトリエに勤めて仕事をしつつ、近くに倉庫を借りて、
 勤務後に独自で取ってきた仕事やコンペの創作活動をして独立
 の準備をしていた。と、そこに書かれていた。

 そうか。やはり、独立には準備が必要なのだな。と単純に影響
 を受ける若い自分。

 早速、相方にその内容を伝える。就職して2年半が過ぎていた
 頃である。

 独立をするのなら、30歳が一つの目安であると考えていた。
 就職して5年がその節目となる。この時点で残り2年半。善は
 急げと、早速行動に移した。

 お互いの会社から程近い場所にアパートを借りる作業。

 不動産会社の人はおおいに怪しんだ。男二人が一部屋を借りる
 のである。怪しむのも分かる。が、そんなことはかまっていら
 れないほど前向きな二人。なんとか借りることに成功。親へは
 事後報告である。既成事実をつくってからじゃないと、駄目な
 気がしたからである。

 そして、会社が終わってから夜な夜な集まり、コンペ活動を開
 始した。開始時刻は概ね夜の11時頃。時には朝方まで作業を
 してから、殆ど寝ずに出社という日もあった。今考えれば、若
 いが故に出来た技でもある気がする。

 そして、そんな活動を続けてから一年ほど。幸運にも相方の親
 戚が家を建て替えるという話しが舞い込んだ。

 それが私達の処女作である。まだ工房名もついていない時代に
 設計を進めた住宅である。

 そして就職して丸5年。目標通りに独立を果たして、現在にい
 たる。

 今思えば、磯崎氏の本を読んでいなかったら、わざわざアパー
 トを借りることもしていなかったかもしれない。そして二人で
 独立していなかったかもしれない。振り返れば結構大きな局面
 だったような気が、今はしている。

 「夢」を行動に移すとき、人は深く考えていないのかもしれな
 い。考えてから行動に移すほど冷静ではいられない程の衝動が
 後押しするのかもしれない。

 というわけで、二人の共同主宰なのである。

 そして初心・初志を忘れずに、今後も設計活動に取組んでいき
 たい。
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■編集後記

 人生を変える言葉というものは、確かに存在するようです。

 私達設計者も、人の人生に大きく関わっているのだということ

 を忘れてはいけないと考えています。

 これから何人の方の人生に関わることが出来るのかは、未知で

 す。

 だからこそ、その一人一人の方と面と向き合って仕事をしてい

 くことが大切なのだと思っています。

 物事を一つの面から見るのではなく、二つの面、そしてより多

 くの面から見ることで、よりより住宅が出来るように、私達が

 「二人」であるという強みを最大限に活かしていければと思い

 ます。

コラム | by muranishi | comments(0)

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