空間工房 一級建築事務所

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10.04.12 Monday

土地探し

■設計依頼に来られる方々には様々なパターンがあります。

 既存の住宅を建替える方。土地を入手されてから依頼される方。

 そして土地探しから依頼される方。

 新築の場合は、大きく分けて上記の3パターンに分類されるか

 と思います。

 さて、今回は土地探しからのパターンに主題を置いて書いてみ

 たいと思います。

 それではどうぞおたのしみください。
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■土地探し

 家を建てるには土地がいる。

 なので建替える場合は別として、土地探しが家創りの第一関門
 となる。

 最近、土地探しからの依頼を受けるケースが多い。今までも土
 地探しをお手伝いさせていただき、無事竣工まで漕ぎ着けたケ
 ースもある。そんな土地探し。何から手をつければ良いのか?
 設計者目線で少しお話ししたい。

 駅から近いとか、周辺環境が良いとか、住み慣れた場所とか、
 憧れの場所とか、学区にこだわるとか、それは人それぞれにそ
 れぞれの選択基準があるので、おいておく。

 そういった選択基準を凌駕するもの。それはコストである。と
 思う。誰しもお金に糸目をつけずに住みたい場所に住めれば、
 それに越したことはない。が、現実は普通、掛けられるコスト
 には限度額がある。

 まずトータルコストを把握することが大事である。それは、「
 これだけ借りられる」というものであってはいけない。「コレ
 くらいなら、毎月支払っても支障はない」というものから逆算
 するのが良い。と、とあるファイナンシャルプランナーは言っ
 ている。

 毎月支払うとは、住宅ローンを組むことを意味する。現金一括
 支払いの方には関係ない話しである。

 毎月の支払いから毎年の支払いが算出され、それを何年続ける
 か。それがトータルコストである。が、ローンには利子がつい
 てくる。その辺は利率によっても変わるので、実際のトータル
 コストとも言えない。しかし、シュミレーションは各銀行のH
 Pでも簡単に出来るので、おおよその目安は付けられることと
 思う。

 さて、算出されたトータルコスト/総予算。これを項目毎に分
 配していく。必要な諸経費は概ね一律であるから、まずはそれ
 を分配する。ザックリ挙げると、登記費用・火災保険・地震保
 険・団体信用生命保険・銀行諸手続き費用・引越し費用・登録
 免許税など多く見積もってザッと200万円。

 次に土地に掛かる項目。土地代は別として、必要に応じて上下
 水引き込み費用・敷地測量費用・地盤調査費用・(地盤改良費
 用)など多く見積もってザッと100万円。

 新築に伴って、TVや冷蔵庫さらにはソファやダイニングテー
 ブル類などを一新する場合はその費用も見込んでおく必要があ
 る。ザッと100万円。

 ザザッと挙げただけでも、400万円が諸経費・雑費に分配さ
 れる。勿論増減はあるので、あくまで目安だが。

 総予算から諸経費・雑費を引いた値段が、土地と建物に掛けら
 れるコストということになる。

 土地が高ければ、建物は安くしなければならない。

 では建物が一体いくら掛かるのか。今までの経験値でしかない
 が、木造2階建ての一般的な住宅で70~75万円/坪が最も
 多い価格帯である。仕様グレードにもよるので一概には言えな
 いが。例えば30坪で70万円/坪の場合、建設コストは21
 00万円となる。上記に記載している坪単価は、照明器具やエ
 アコン・造作家具など全て含めたコストである。ハウスメーカ
 ーのいう坪単価には、照明器具やエアコン・外構費用などは入
 っていないのが一般的なので、比較のしようがないが、70万
 円/坪が極端に高いわけではない。と思っている。

 上記で30坪を例に挙げたが、では実際どれ位の広さがあれば
 良いのか?

 それは一概に言えない。

 と言ってしまうと身も蓋もないので、敢えて主観/感覚で言わ
 せて貰うと、4人家族であれば33坪~35坪程度が快適に暮
 らせる広さかと思う。平米数に直すと、約110~115平米。

 勿論、諸条件によって必要な広さは増減するので、あくまでも
 目安として捉えて頂きたい。一人増える毎に約3坪増やせば、
 必要最小限のスペースだけは確保出来る。

 以上の目安から換算すると、建築コストは約2300~250
 0万円となる。これに設計料や確認申請費用・中間検査費用・
 完了検査費用・構造計算費用などがプラスされる。

 例えば総予算5000万円の場合。諸経費・雑費・建物・設計
 料を差し引いていくと、土地に掛けられる値段は、約2000
 万円となる。

 例えば坪単価が40万円の地域であれば、50坪。坪単価が8
 0万円の地域であれば、25坪となる。

 しかし大概は、土地の値段の方が建物価格を上回る。なので、
 建物に掛けるコストが圧迫される。

 どこに妥協点を見出していくか。それは人それぞれの価値判断
 によるものなので、土地は便利なところで、建物は小さく。と
 いう方も居られれば、その逆もあり得る。

 私達設計者がしなければならないこと。それは、トータルコス
 トに納めつつ、ご要望を踏まえた上で、より良い空間・住環境
 ・デザイン・住み易さ・街並みを形成していくことである。と
 思っている。安く創るのが主目的ではない。そして高く創るこ
 とも主目的ではない。そこに数十年棲み続けていく上で、快適
 であるために必要な空間をご提案することが主目的である。

 土地探しは結構時間が掛かったりする。日用品を買うのとはわ
 けが違うのである。建築条件付きなどという土地が大半を占め
 る世の中。設計事務所が入っていける土地は非常に少ない。が
 故に土地探しは難しい。というか、時間が掛かる。

 念ずれば通ずる。今まで土地が見つからなかった方は居られな
 い。必ずどこかに、住むべき土地が存在するというのも事実と
 してある。なので、私達も根負けすることなく、土地探しをお
 手伝いしている。

 土地には法規的な制約が多々ある。その辺りもアドバイスしな
 がら、それぞれのお施主様に合った土地が見つかればと思って
 いる。
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■編集後記

 土地購入にも色々なパターンがあります。

 更地を購入される方。建築条件を外して購入される方。古家付

 の土地を購入される方。どれが最良で、どれは避けた方が良い

 というのはあまりありません。

 しかし、購入前に法的なチェック(どれ位の建物が建つのか等)

 や上下水道の引き込み有無・周辺地盤の状況などは検討される

 ことが最低必要かと思います。

 中には異様に安い土地でも、調べると「再建築不可」などとい

 う土地もありますので、要注意です。

コラム | by muranishi | comments(0)

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