■数日前に新年度を迎えました。
気分も新たにされた方も居られるのではないでしょうか。
新年度といえば、引越しや入学、進級など新たな旅立ちの
時期/季節でもあります。
今回はほとんど建築などとは関係のない話しになるかと思い
ますが、お許しください。
それではどうぞおたのしみください。
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■新年度に思うこと
いつから決められたのかは知らないが、毎年4月1日はエープ
リールフールの日である。
子供の頃は、何かとてつもない嘘をついてやろう。と前日から
ワクワクしていたが、まあ今回はそんな話しをするつもりはな
い。
いつから決められたのかは知らないが、毎年4月1日から新年
度を迎える。
新聞を読めば、各社の社長さんが新入社員に贈る言葉が山ほど
紹介されている時期でもある。
その一つ一つに時代が映し出され、その一つ一つに感心してし
まう。やはり企業を引っ張る人が言うことは重みがあるのだと
思う。そしてその業種によっても視点/贈る言葉が違うことに
興味を覚える。
しかし皆が共通していることは「社会貢献」であり、「自己研
鑽」である。これはいつの時代も変わらない。
かくいう私も15年ほど前は、とあるゼネコンの新入社員であ
った。侵入社員ではない。
勿論というか、自分の中では「勿論」なだけであるが、設計部
に配属されるものとばかり思っていた。
しかしいざ蓋を開けて見ると、配属先は「工事部」だった。あ
まりのショックに笑うしかなかったのを覚えている。
何事も経験。現場を知らない人間が設計などできない。といっ
た理由で人事部の方は配属したのだと思う。
「でも最初から設計部に配属された同期もいるではないか?」
とその時は一つも納得などしていなかった自分が居た。
それから約2年の工事部経験。現場監督や施工図担当として現
場の納まりを勉強させてもらって、晴れて設計部配属の辞令が
出た。嬉しかった。
丸5年の会社勤めを経て独立し、今に至るのだが、今だからこ
そ「あの経験は無駄ではなかった」と思える。
現場特有の言い回し(作業や材料のニックネームみたいなもの)
から職人さんが流される汗水があってこそ、図面がカタチにな
るという現実まで、全てが未知の世界であり全てが勉強だった。
それを日夜肌身で感じ、設計のあるべき姿を知った気がした。
設計者は、ともすれば現場の納まりなどそっちのけで、描きた
いように描き、やりたいようにやる。勿論そんな時も必要なの
だが、一時が万事その調子では良い建物は出来ないと思う。
だからといって簡単な納まりばかりに走るのは愚の骨頂である。
しっかりと施工性というか物理的に納まることを考えつつ、図
面に落とし込んでいくこと。それが難しい納まりになるのであ
れば、実現可能なんだという根拠を示すこと。それが設計者に
は必要なのだと思う。
現場は数ミリ単位の世界で動いているという事実。それは、設
計図に落しきれなかった世界までも詰めていかないと、実際に
は施工が出来ないという事実。
施工者は口が悪い。いや、悪口ではない。設計図をつかまえて
「マンガ」と呼ぶ。要は、「設計図」が「施工図」に昇華して、
やっと施工が出来るという意味である。「マンガ」では施工が
出来ないというほどの意味である。
なので私は少なくとも「マンガ」以上の設計図面を描くように
心掛けている。設計図で充分に施工が出来るレベルまで描くこ
とが、手戻りなく現場が進められることにも繋がる。
まあ、実際はRC造などは施工図が無ければ施工出来ないのだ
が。それでも施工図を描く際には疑問点が出来るだけ出ない設
計図でありたいと思う。
現場での2年。その真っ只中にいる時は、凄く永く感じた。
設計部での3年。その真っ只中にいる時は、凄く短く感じた。
でも時間の絶対数は、当然同じなのであるが・・。
凄く永く感じた2年は、今も心の糧になっている。
新年度を迎えるこの時期になると思い出すのは、そんなことで
ある。
やりたいことをやれている今に、ただただ感謝である。
しかしそれは、その2年があったからこそなのかもしれない。
その2年がなければ、施工者の立場も真に理解は出来なかった
だろうし、職人さんの汗水も目の当たりにすることはなかった
だろう。そして、その2年がなければ、自分が本当に設計が好
きなんだということを、これほど実感することはなかっただろ
うと思っている。
もし、自分が新入社員に贈る言葉があるとすれば。というか、
15年前の自分に言うとすれば、こうである。
「文句はやってから、言え」
やらないうちから文句を言う程、物事の価値は浅くないのであ
る。と、今は思っている。そしてこれからもそう思う。
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■編集後記
当事務所にもこの4月から新しいスタッフがやってきました。
学校を出たばかりの、新入所員。
教えることは山ほどあると思います。大企業ではないので
即戦力となるよう、詰め込みながらスピーディに教えていか
なければいけません。
言葉を贈るほどの余裕もありませんので、実践あるのみで
鍛えていきます。
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