■歴史は繰り返す。繰り返してはならない歴史もあります。
昨今の「就職氷河期」もまた、繰り返してはならない歴史です。
私が就職活動をした時も「就職氷河期」の走りでした。
あれから十数年。今はそれ以上の様相を呈しています。
そんな中、現在「スタッフ募集中」の身でもあります。
慣れない「面接」を通して、設計者が何を見て、何を感じて
いるのか。
今回はその一端をお伝えしたいと思います。
それでは、おたのしみください。
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■面接をしていて感じたこと
この年末にスタッフが一人やめる。丸三年働いて貰ったことに
なる。昨年は一級建築士に一発で合格を果たした、非常に優秀
なスタッフである。一級に合格したのが優秀というよりも、私
達のプロジェクトを、模型創りやパース作成などを通して影で
支えてくれたという意味で、優秀だと感じている。
今後、そのスタッフが独立し、どの様なスタンスで設計をやり
遂げていくのかが、楽しみである。
心からエールを送りたい。「自分の求める空間を、未だ見ぬお
施主様と共に追求して下さい。頑張れ!福本くん」
さて、というわけで新しいスタッフを募集しなければならない
状況に立たされた。そして、募集から約一ヶ月で5名の応募が
あった。まだ選考は進行中である。
選考にあたって、書類審査。面接。試用。採用。という流れで
あるが、その中の面接に焦点を当ててみる。
設計事務所の面接は人柄を見るのも当然含まれているが、その
人が持っているデザイン性や過去の設計などを主に見る。いわ
ゆる「ポートフォリオ」を持ってきてもらって、その場でプレ
ゼンをしてもらう。
見ていると実に色々なプレゼンがある。単純に楽しい。本人は
勿論真剣だし、こちらもそれ以上に真剣である。が、面白い。
みんな色々考えているんだなぁという素朴な面白みである。
プレゼンの上手い下手は、練習次第である程度のレベルまでは
到達できるので、実はあまり重要視していない。では、何を見
ているかというと、図面なり模型なりの「密度」である。どこ
まで真剣に、設計課題なりコンペなりに取組んだかは「密度」
を見ればすぐに分かってしまう。
何もメチャクチャ描き込んでいる=密度が高いというわけでは
ない。余白の美を意識して、敢えて描き込みが少なくても、密
度が濃いと感じるときもある。例えば一つの模型を造るにして
も、一日掛けたものと一週間掛けたものでは、密度が違うのは
明白である。
時間を掛ければ良いわけでもないが、必要充分な時間は存在す
る。
翻って、我が身に照らし合わせる。お施主様から依頼を頂いた
後、そこに待っているのは「プレゼン」である。例えば期限が
2週間あったとして、考える時間は1週間。プレゼンに1週間。
という感じである。
ギリギリまで良い案を考えるべきなんじゃない?と思われる方
も居られるだろうし、そうすることも必要だと思う。
でも、提出1日前に最高の案が出来たとして、プレゼン(図面
や模型・パースなど)が残り1日で最高のものが出来るとは、
今までの経験上とても考えられない。最終的にお施主様が見る
/見ることができるのは、プレゼンの内容。そしてその良し悪
しのみである。それがどんなに最高の案なのだと主張したとこ
ろで、プレゼン内容があまりにもお粗末なものでは、結果は目
に見えている。そう、不採用。である。
どれだけ集中して、そして真剣にそのお施主様・ご家族の未来
を考えることができるか。ご要望を如何にスマートなかたちで
ご提案することができるか。
まずはそこに全力を注ぐ。
全力を注ぐのはお施主様のためでもあり、自分達自身のためで
もある。後悔はしたくない。全力でぶつかって、それで結果が
NGなら納得がいく。それだけ、他の案なりが魅力的だったと
反省できる。その時自分達が有する力を集結させて、物事に向
かう。意見をぶつけあう。そこにある種の「ヒラメキ」が生ま
れる。
こんなことを書いては、不安に思われるお施主様やお施主様O
B、はたまた未来のお施主様が居られるかもしれない。が、敢
えて書く。
私は設計に関して特別な能力を持っているわけではない。素人
の方より、考える時間に恵まれているだけである。それは、設
計を仕事としているのだから当然である。四六時中、設計を考
えている。仕事をしている時もしていない時もである。だから
素人の方よりも優れた考えを示さなければウソである。示せな
ければプロではない。
そんなことを自分に言い聞かせつつ、自分が良いと思える空間
を日々追求している。
スタッフの選考はいまだ進行中である。
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■何事も因果応報です。その時々によって立場はコロコロと入れ
替わります。設計をする時、どれだけ真剣に相手の立場に立っ
て、設計に取り掛かれるか。非常に大切なことだと思います。
完全にその人の立場を理解することは不可能なのかもしれませ
ん。その人が歩んできた人生。経験。考え方。などなどを完全
にコピーするわけにもいきません。
しかし、設計とは如何に様々な想像力を働かせることができる
か。それが重要だと考えています。
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