空間工房 一級建築事務所

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09.12.09 Wednesday

光が大事。影も大事。

■色付きの「影」はできるか?という科学実験を数日前のTVで

 放送していました。

 普通、「影」といえば「黒」なのですが、赤い影や青い影が

 果たして出来るのか?という素朴な疑問に始まった実験。

 みなさまは、出来ると思われますか?無理だと思われますか?

 ちなみに、実験前の調査では、火の玉教授として有名になった

 大槻教授は「出来る」に手を上げていました。

 デンジロー先生は出ていませんでした。・・余談ですが。

 その答えは、下の下の方でご紹介します。

 興味のある方も、ない方も、一応「本文」を先にお読み下さい

 ね。それでは、参ります。

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■光が大事。影も大事。

 設計を進める中で「光」の入れ方は大変重要である。

 これは敢えて言うまでもないことだと思う。

 ここで言う「光」とは、勿論「太陽光」「自然光」のことであ
 る。太陽は東から登り、西へ沈む。全世界共通の認識である。
 これは南半球であっても変わらない。主に「北」からの陽射し
 に恵まれることを除いては。

 リビングには陽射しが多く入るように。とか。寝室はそれほど
 入らなくても良いか・・。とか。吹抜けを設けて、家の奥の方
 まで陽射しを取り込もうか。とか色々考えながら空間を構成し
 ていくのが、いわば定石である。

 明るい空間を実現するためには「光」は大変重要なのである。
 これは、光熱費というランニングコストにも如実に反映してく
 るから尚更である。

 そして一般的に「明るい」空間は気持ち良い。

 ここまでは、普通のことを普通に考えれば良い。

 重要なのは、そこからである。

 「光」と「影」は一心同体であることを認識する必要がある。
 「光」の移ろいは「影」の移ろいとも置き換えられる。さらに、
 太陽高度が高い時、影は短くなり、太陽高度が低い時、影は長
 くなることも忘れてはならない。

 設計した住宅の中には「格子」や「天窓」を組み込んだものが、
 結構ある。中には「格子」と「天窓」を合体させたものもある。

 「光」は「光単体」でもキレイであるが、そこに「影」が意図
 的にコラボレーションされると、さらにキレイになる。

 そういった意味でも「格子」は実に様々な「影」の表情を演出
 してくれる。プライバシーや防犯といった実用的な意味合いに
 付加して、「光と影」を創出してくれる。

 この「影」。実は奥行き感を出すのに非常に重要なのである。
 「光」だけの空間では、奥行きを把握しずらい。ゆえに空間が
 ノッペリと単調になりがちである。それはそれで、意図されて
 いれば良い空間にもなるのだが、ただただ「光を!」というの
 とは意味が違ってくる。

 例えば、建物の写真を撮る時、カメラマンは「影」を利用して
 奥行き感を演出する。「写真」という二次元媒体に「奥行き」
 という三次元を表現する必要があるからだと思っている。

 光と影の移ろいは、時間の変化や季節の移り変わりを知らせて
 くれる。特に「天窓」は如実に知らせてくれる。空間内を「光」
 が時々刻々と動いてくれるのである。

 それに伴って「影」も動く。

 天窓と格子を組み合わせれば、実に様々な表情を壁面や床面に
 落とし込んでくれる。コストはかからず、年がら年中様々な表
 情を見せる。雨の日は別として。

 「光」を考える時、「影」の存在も等価に扱うことを忘れずに
 設計行為に励みたいと思う。

 中には、徹底的に「影」を考えて設計した住宅もある。

 普通とは逆のアプローチの仕方である。

 その話はまたの機会に譲りたい。

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■編集後記

 夏の影は濃く、冬の影は薄く感じられると思います。

 あくまで想像ですが、単純に夏の陽射しは強く、冬の陽射しが
 
 弱いために、相対的にそう感じるのかと思います。

 実際には同じ影に濃淡はあるのでしょうか?

 答えは「ある」と思います。設計した色々な「格子」の影を

 見ていて、そう感じました。

 さて、一番初めの答え。色付きの影はできるのか?

 ・・・途中で寝てしまい、答えを知りません。

 というと、かなりモヤモヤされると思いますので、答えを書い

 ておきます。

 答えは「出来る」でした。

 流石、大槻教授。いや、大槻教授のなんたるかはあまり知らない

 のですが・・。

コラム | by muranishi | comments(0)

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