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09.12.06 Sunday

気配を感じる空間

■個人情報保護法が数年前に施行されました。

 いろいろな悪徳商法や詐欺などに悪用されるのを避けるため

 必要な法律だと社会が判断した結果だと思います。

 プライバシーが保護されなければ、おちおち落着いて生活が

 できない世の中になってしまったようです。

 プライバシーの保護は、「家の中」にも果たして必要なので
 
 しょうか?

 そんなことを考えながら、今回のコラムをお読みいただけれ

 ばと思います。
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■気配を感じる空間

 設計をしていて、余程「プライバシーの確保」を要望されない
 限りは、家族の「気配」が感じられる空間構成を心掛けている。

 子供の頃育ったのは、築100年を超えるバリバリの京町屋だ
 った。いつぞやのコラムでも書いたとおり、京町屋は夏を旨と
 して構成されているため、間仕切りらしい間仕切りは一切ない。
 全ての部屋は、襖や障子といった簡易な建具によって軽く仕切
 られているに過ぎない。

 夏などは襖や障子が簾戸や簾そのものに「衣替え」されるので、
 もう「仕切る」という意味を殆ど成していない状態に陥る。

 「プライバシー」って何??という状態。

 勿論、子供心に、もう少し閉鎖されても良いんじゃない?と思
 ったことも少なからずある。

 でもそれは、「勉強に集中したい!」などといった殊勝な思い
 からではなく、落着いてうたた寝もできないじゃないか。とか。
 独自で開発した遊び(ゴルフゲームや野球ゲーム)を勉強そっ
 ちのけで興じれないではないか。とか、とかく「サボる」方向
 に向けての不満であった。

 そもそも独自でゲームを開発している時点で、充分サボってい
 るのだが・・。

 そう、完全に閉鎖しても、あまり良い方向には進まないのであ
 る。これは自らの体験なので断言できる。

 今さら強調する必要もないのだが、プライバシーの確保は引き
 こもりなどにも通じてしまう危険性を孕んでいる。そして最近
 では、「頭が良くなる家」などという魅惑的な謳い文句で「オ
 ープン」な間取りの家や家族が自然とリビングに集まる家が紹
 介されたりもしている。

 「頭が良くなる」かどうかは本人のやる気次第なので、眉唾も
 のであるが、「家族が自然と集う」というのは重要かもしれな
 い。だって家族なんだもの。(←何かの言い回しのパクリです)

 小さい頃の体験や経験・記憶というものは、その後の人生に大
 きく影響を与える。なので、私の場合、「プライバシーの確保」
 よりも「家族の集い」を重要視してしまう。

 気分の悪い時(虫の居所の悪い時)や思春期にありがちな反抗
 期などは、特に家族(親)が疎ましく思えるのは、大なり小な
 り誰もが経験していると思う。

 でもそれは、「かまってくれる」からであって、もし本当に
 「かまってもらえない」状況に置かれたら、最初は「やれやれ」
 と思えても、一ヶ月もしないうちに「さ、さみしい・・」など
 と勝手なことを思ってしまうに違いない。

 だから設計の際は、せめて「家族の気配」なり「外部の気配」
 なり、「外界と繋がっているんだ」と思える空間構成を可能な
 限り探っている。

 それは、「吹抜け」を介してであったり「中庭」を介してであ
 ったりする。

 そうすることで、限られた空間に広がりが生まれ、伸びやかな
 印象にもなるものと考えている。

 「個」で仕切られた空間構成ではなく「公」に開かれた空間。

 究極に目指したいのは、完全な「ワンルーム」住宅である。
 これは、密かな企みでもある。

 どこまでも広がりのある家。行き止まりのない家。視線が交
 わる家。自然と会話が生まれる家。・・素敵ではないか。

 決して監視されるというのではなく、お互いの気配を感じて
 お互いを思いやる家。

 家の構成次第で、精神に与える影響は良くもなり、悪くもな
 るような気がしている。

 一言で言えば「絆」。である。精神的な。

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■編集後記

 「どこに家族が集まるか」は実は重要ではないとも考えてい
  
 ます。普通にリビングやダイニングであっても良いし、キッ
  
 チン・お風呂・子供室など、どこでも良い気がします。

 どこかで「ワイワイガヤガヤ」とできる空間があれば、自然

 と集まれるのではないでしょうか。

 本が好きな家族なら図書室をつくったり。釣が好きな家族な

 ら吹抜けから釣竿を垂らしたり。音楽が好きな家族なら、大

 音量でも楽しめる地下室をつくったり。

 家の可能性は無限大です。その家には、その家族の個性が反

 映されるのが一番幸せだと思ったりしています。

コラム | by muranishi | comments(0)

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