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09.11.30 Monday

設計料=デザイン料ではない

■設計事務所が以前に比べて、身近な存在になってきているとは

 思います。でもなかなか気軽に、と迄はいかないとも思います。

 設計事務所がどういうところなのか分からない。

 いきなり電話しても何から話せば良いか分からない。

 小難しい話しやデザイン論をされてはかなわない。

 そもそも設計料って高いイメージがある。

 そう、設計料って何?と思われている方も少なくないのではと

 思います。

 今回は、参考までに「設計料」の意味するところやその内容を

 少しでもお伝えできればと思います。

 それでは、どうぞおたのしみ下さい。

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■設計料=デザイン料ではない。

 一般的な設計事務所の設計料=正確には設計監理料が、いくら
 かは詳細に調査したことがないので、分からない。でも世間の
 相場として、建物の種別や規模によっても変動するが、通常の
 住宅規模であれば、工事費の10%~12%といったところだ
 と思う。

 つまり、2500万円の工事費であれば設計監理料は250万
 円~300万円といったところ。

 「高いっ!!」と思われる方。「妥当!」と思われる方。
 「安い」と思われる方。反応はいろいろだと思う。

 が、「安い」と思われる方は残念ながら稀かもしれない・・。

 何をもって「高い」「安い」と判断するのか?その判断材料が
 あまり手元にないため、反応が多岐に渡るのかもしれない。

 設計料=デザイン料。と思われている方にとっては、こんなに
 高いものはない。ちょこっとプランを創って、ちょこっと外観
 デザインを考えて、ちょこっとインテリアを工夫して、
 ハイ10%。・・・そりゃ高い。

 それだったらハウスメーカーに頼んだ方が、良いキッチンが入
 るし、薄型TVを買ってもお釣がくる。そもそも、住めりゃい
 いんだから。と考えて居られる方には、これから下の記述は馬
 耳東風に終わってしまうかもしれない。が、敢えて書く。

 何も設計料の高さ(?)を正当化しようと思っているわけでは
 なく、設計・監理の内容を記述しようとしているだけなので、
 誤解なきよう。

 設計・監理料=デザイン料ではない。

 デザイン料は勿論含まれているのだけれど、それはほんの一部
 に過ぎない。そうでなければ、多くの設計事務所が一回目の
 「企画・提案」を無料で行うことはしない。「企画・提案」に
 は多くのデザイン要素が詰め込まれているのだから。

 じゃあ、一体デザインの他に何をしてくれるのか?
 何に対する対価と考えれば良いのか?

 デザインは確かに肝である。そこに設計事務所の価値があると
 も言える。しかし、建物は実際にその中で生活を営み、すごく
 長い時間使い続けるものであることは言うまでもない。その本
 来の目的/役割を発揮するために必要なのは、デザインだけで
 はなく、性能/機能である。

 建築は主に3つの柱から成っている。「意匠」「構造」「設備」
 の3本柱である。人間の身体に例えるなら「構造」が骨/骨格
 であり、「設備」が神経や血管/臓器であり、「意匠」が肉付
 け/容姿となる。

 非常に大雑把であるが、概ねそんな感じ。
 どれが抜け落ちても正常に作用/機能しない。

 いわゆる設計事務所とは、「意匠」設計事務所である。仕事を
 進めていく中で、状況に応じて「構造」設計事務所や「設備」
 設計事務所とタッグを組んで、一つのプロジェクトを推し進め
 ていく。そしてそれらを統合/総括する役目も果たす。

 設計事務所の作業内容は色々ある。概要は以下の通り。
 (※木造2階建ての戸建住宅を想定して記載します。)

 □役所調査・法規調査
 □敷地調査・インフラ調査
 □要望の洗い出し・整理
 □プランニング(いわゆるデザインの領域)
 □基本図の作成
  ・平面図
  ・立面図
  ・断面図
  ・仕上表/仕様書
  ・模型/パース
 □基本図確定まで5~10回の打合せ
 □概算見積り
 □役所事前協議
 □確認申請図面の作成・確認申請業務
  ・確認申請書類
  ・採光・換気・排煙計算書
  ・シックハウス関連図面
  ・構造計算書
  ・構造図
 □実施図面の作成
  ・設計概要書
  ・特記仕様書
  ・仕上表
  ・面積表
  ・各階平面図
  ・屋根伏図
  ・立面図
  ・断面図
  ・各階平面詳細図
  ・矩計図
  ・展開図
  ・天井伏図
  ・建具特記仕様書
  ・建具キープラン
  ・建具表
  ・階段詳細図
  ・外構図
  ・家具特記仕様書
  ・家具図
  ・部分詳細図
  ・構造標準仕様書
  ・各階構造伏図
  ・各軸組図
  ・各構造躯体リスト
  ・部分詳細図
  ・各階コンセント・照明器具配線図
  ・各階弱電図
  ・照明器具一覧表・姿図
  ・各階給排水・衛生設備図
  ・衛生機器リスト
  ・各階空調・換気設備図
  ・床暖房設備図
  ・模型
  ・パース
  ・以上総図面枚数は概ね70枚程度
 □実施図完成まで7~10回の打合せ
 □実施見積り
 □見積り内容の査定・見積り調整
 □施工会社選定
 □着工・工事監理
  ・建物位置の確認・設計GLの確認
  ・基礎支持地盤の確認
  ・基礎配筋検査
  ・上棟・耐力壁確認
  ・金物検査・役所中間検査
  ・屋根・外壁防水確認
  ・サッシ周り防水確認
  ・外壁確認
  ・内部納まり確認
  ・断熱仕様確認
  ・設備配管・電気配線確認
  ・仕上げ確認
  ・設備機器動作確認
  ・竣工検査・役所完了検査
  ・竣工・引渡し
 □着工~竣工まで週1回の現場確認・打合せ
 □着工~竣工まで概ね5ヶ月以上
 □竣工後
  ・一年点検
  ・二年点検 

 一つの住宅に掛かる時間は、概ね1年~1年半である。
 
 建物の性能/機能を発揮できるよう、予算との兼ね合いも見な
 がら、そして着工してからの変更を極力抑えるべく色々な図面
 を描き、色々な角度から一つの建物に有して欲しいデザインや
 機能を明確にしていく。そして着工してからは、工事が図面の
 通りに進められていることを、実際に現場で確認していく。

 設計監理料は主に図面を作成する「設計業務」と現場を設計者
 の立場からチェックする「監理業務」に分別される。

 その比率は概ね、設計業務:監理業務=7:3前後である。

 このようにして、設計事務所は生計を立てている。

 設計監理料=デザイン料ではない。という理由・根拠が少しは
 ご理解いただけただろうか?

 中には工事費の数%で。という事務所があるかもしれない。し
 かしその場合、作成される図面枚数は少なく、工事が始まって
 からの現場確認・工事監理は含まれていない恐れが高いと考え
 て間違いない。

 コストは作業内容・時間・技術に比例する。

 この世の中、「一品生産」が異様に安い場合は、特別な企業努
 力やノウハウがない限り、何かカラクリがあるのだと思う。

 設計監理料=デザイン料ではない。とはいっても、デザインが
 おろそかにされるわけでは決してない。ので、蛇足ながら。

 ここまで読んでいただいて、「妥当!」と思っていただければ
 幸いである。「安い」と思われれば尚幸い。

 それでもなお「高いっ!!」と思われれば、いたしかたない・・。

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■編集後記

 工事費の何%という設計料の出し方が多いかもしれません。

 これは、業界にある意味定着している感じもします。

 しかしながら、今年の1月に国の定める「業務報酬基準」が

 改正され、建物の延べ床面積基準での算出方法になりました。

 当工房でも、延べ床面積を基準に設計監理料を算出しており

 ます。

 設計料とは何なのか?何にそんなにかかるのか?そんな素朴

 な疑問を少しでも解消できましたら幸いです。

 それが妥当かどうかは、結局実際の仕事っぷりを見てご判断

 いただくしかないのですが・・・。

コラム | by muranishi | comments(0)

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