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15.12.16 Wednesday

京町家と駐車場問題

最近、とあるお施主様の土地探しをお手伝いする中で感じたことを少し。。

土地探しと同時に京町家の改修も視野に入れられていたので、二軒ほど

町家を実際に見てまわった。

一軒目は延べ床18坪程度のかなり小ぶりなもの。

二軒目は延べ床50坪程度の結構大きめなもの。

建てられた年代は一軒目の方が少しあとだと思うが、いずれも似たような

間取り。通り土間があって、それに付随して部屋が並ぶというお決まりの

パターンである。真ん中の部屋は暗い。通り土間は寒い。そして裏庭が

あって光と風が入る。昭和ノスタルジー漂う非常に落着いた空間。

階段はもちろん急勾配なので、上り下りには細心の注意を払う。。

時代は移り変わり、用途地域が第一種低層住居専用地域でもない

限り、高い建物が周りを取り囲む環境となっているため、折角の裏庭も

日影になっている印象を持つ。勿論、季節と時間により印象は変わるの

だろうが。

光の採り方や風の抜き方は工夫次第でいかようにも出来るし、段差をな

くして生活しやすくしたり、断熱材やインナーサッシ、設備機器などを入

れて温熱環境を整えること、耐震性の担保確保などはどれほど建物に

年季が入っていても対応は可能である。

ただ、現在残っている町家を改修して住むときにネックとなるのは駐車場

かもしれない。余程大型の町家でも無い限り、駐車場スペースを確保しよ

うとしたとたんに、住空間が確保出来なくなるのである。

単純に近所に駐車場を借りるといっても、京都市内の中心部だと月額3万

程度はするので、年額36万円の出費になる。恐らく町家に住まわれていて

車をお持ちの方は上記の手法を取らざるを得ないので、そうされているの

だと思う。

もう一つの対策は車を持たないという選択肢くらいしか残っていない。

そう考えると、町家が残っているのが不思議なくらいである。

連なる町家の家並みにおしなべて駐車場が併設されたら、それはそれで

げんなりとした街並みになるだろうし、一気に郊外で見かける風景化して

しまうような気がするので、良い対策ではない。

京町家が残らない理由は、寒い・暗い・怖いなどの実用面での理由に加

えて相続税が払えないなどの税制面での理由があるかと思う。

現在も住んでいる方が居られる以上、駐車場問題はそれらほど深刻では

ないと思うが、町家を購入して新たに町家で住みはじめる人々にとっては

結構高いハードルなのかもしれない。

フランスでは街区に一つ共同の立体駐車場が周囲の建物と違和感なく

建てられ、確保されているといつかのコラムでも書いたように思う。

それはきっと「歴史的街並みを残していく」という自治体や住民の意識・本

気度の現れなのだと思う。違和感なく駐車場を確保するのは、街並みへの

敬意だし、利便性も諦めないという意思との格闘の結果編み出された手法

なのだと思う。

そこまで出来れば良いなと思う。そこまでする必要があるのかとも思う。

答えなどないが、町家の所有者一個人が解決できる問題ではないだけに

難題でもあると思った次第である。

 

 

コラム | by muranishi | comments(0)

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