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09.11.09 Monday

庭の重要性

■京都には昔から「坪庭」のある家が多く存在します。

 これは、「鰻の寝床」と称されるように、敷地が細長いことが

 主な要因となっています。

 道路に面した間口が狭く、奥行きが極端に長いために、建物の

 中央部に光が入りにくいことから、中庭/坪庭を設けることで

 自然光を内部にまで取組むという生活の知恵です。

 そしてもう一つ、「表」の良く日の当たる道路や前庭と「裏」

 のあまり日の当たらない中庭や坪庭との間に生じる気温差が

 気圧差を生じさせることで、「風」の流れを生むという役割

 も担っています。

 そのため、暑い夏場には道路側の窓を開け放つ必要があること

 から、防犯面を考慮した「縦格子」や「格子窓」が京町屋の顔

 となっているのだと思います。

 昔の街並みや町屋のデザインには「機能性」から滲み出る事象

 が、その裏には隠されています。

 というわけで、今回は「庭」の重要性を考えてみます。

 どうぞ、おたのしみ下さい。

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■庭の重要性

 一戸建て住宅の大きなメリットとして、「庭」の存在が挙げられる。
 マンションでは通常、1階に住まない限りはいわゆる「庭」を保有
 することはない。

 「庭」と言っても色々ある。

 本格的な日本庭園や英国庭園に始まり、中庭・坪庭・光庭・水庭等
 など。その呼び名は様々。

 余程の密集地でない限り。また100%の建蔽率が許された地域でない
 限り、敷地には建物が建たない「余白」が存在する。

 この余白こそが実は大切だと考える。

 余白は「建物」の周りに出来る「隙間」と捉えがちだが、実は違う。
 「隙間」はあくまでも「隙間」であり、施工上、足場を立てなけれ
 ば建物が建たないとか、その程度の意味合いしか持たない。

 しかし「余白」は建物に有効に作用する「外部空間」として、いわ
 ば必要不可欠な存在。極論を言えば建物と一心同体の存在であると
 思う。

 どの場所に余白を確保するかで、建物の日当りや風通しがたちまち
 変わってくる。

 例えば密集した北向きの敷地で、建物を南側一杯に寄せて建てると、
 日当りの良さは望めない。というか暗い。それは極めて悲惨な住環
 境になってしまう。

 でも少し、坪庭程度でも余白が取れていれば環境は一変する。
 「坪庭」は光や風を供給してくれる存在となる。

 土地の値段がバブル期よりは大幅に下がった昨今と言えども、依然
 として土地価格は高い。特に都市部になるほど手が出ない高さで困
 惑する。

 そんな高い土地に家を建てるなら、無駄なく目一杯建物を建てたい
 と思うのが心情だと思う。それは否めない。

 でも、一戸建ての住宅が有する大きなメリットの一つは、「庭」な
 のだと思う。そしてそのメリットを駆使することで、豊かな住環境
 が確保出来ると思う。

 如何に「余白」がデザインできるか。それはつまり、如何に外部環
 境との繋がりを持たせることが出来るかと言い換えられる。

 平面的な繋がりに留まらず、断面的な繋がりへと展開していくこと
 で、「余白」の可能性は高まると考える。

 そしてそこに、少しでも「緑」があれば、街並みも潤うような気が
 する。
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■編集後記

 日本人だと「庭」=「日本庭園」。木が生い茂る。木の手入れが

 面倒。庭はいらない。・・・という思考に陥る方も居られるかも

 しれません。

 「庭」には上述のように「眺める庭」だけではなく、「テラス」

 などのように「使える庭」も存在します。

 タイル貼りやウッドデッキ。手入れの少ない玉砂利の庭。など

 「庭」を「使える余白」と捉え直すことで、内部環境も大きく

 変わってきます。

 「外部を内部に取込む」「内外の境界をなくす・曖昧にする」と

 いうことに着目しながら住宅を設計することも、敷地の可能性を

 拡げる一助になるものと考えています。

 最後までお読みいただきありがとうございました。

コラム | by muranishi | comments(0)

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