■おはようございます。「空間工房 用舎行蔵」です。
今回は、とあるオープンハウスに伺った時の印象/思考から
感想がてらに書かせていただきます。
設計者が設計した家に対する別の設計者の視点です。
それでは、おたのしみください。
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■潔さ
先日、とある設計事務所のオープンハウスへ寄せて貰った。
業界ではかなりメジャーな建築家の設計した住宅である。
とだけ言っておこう。
そこで感じたことを少し。
自慢じゃないが、他人のオープンハウス(完成見学会・披露会)
には滅多に足を運ばない。
理由としては、あまり影響を受けたくない。というすごく了見
の狭い理由。
でも人並みに自分が「良いな」と思う建築には足を運ぶ。
それはさておき。。
今回は、恐らく今後様々な雑誌を賑わせるだろう住宅建築が一
体どのようなものかを自分の眼と身体で感じてみたかったとい
う理由で見に行ってきた。
若干ミーハー的要素も入ってはいるのだが、折角の機会だから
行ってみた。
兎に角「潔い」。一言で言えば、それが印象だった。
コスト的にも勿論潔い=ローコストだと思うのだが、単に無駄
を削ぎ落とした潔さとは全く次元の違う印象を受けた。
カタチはむしろ、見たことのないシルエットで、外から見ただ
けではその潔さが分からない。
やはり、内部の空間構成にそれを感じた。間仕切りは一切とい
っていいほど、無い。
つまり空間を仕切るものは、敢えて言えば「床」だけ。
半地下+2階+ロフトという構成。
しかも床面積は決して広くない。
恐らく横幅2m弱の細長い場所が生活空間として提供されてい
るのみ。一般常識から言えば、完全に「あり得ない」狭さ。
だと思う。
「横幅2m」。誇張しているわけでも何でもないですよ。
強調はしてみましたが。。
数字だけみればちょっと広い廊下に住むようなものだ。
でもしっかりと、生活できる。というか、生活が想像できる。
しかも豊かな生活が。
あれは一体何なんだろう。これを見た時に思ったこと。
「住宅って一体何なんだろう。」
常識を常識として捉えてきた概念自体が覆される想いだった。
勿論、だから狭くても大丈夫。とか。間仕切りなんていらない。
という発想にはならない。今のところ。
あれはあれ。なのだ。
住宅に一般解はない。と思う。家族の人数も違えば、土地の大
きさも違うのだから。
そして一般解に近付けば近付く程、商業的回答になる気がする。
イメージとしては、ハウスメーカーやマンション。
それが良い、悪いは誰が決めることでもない。住んでいる人の
満足度が高ければ良いのだと思う。
更には、その物体が街並みを美しくする一役を担っていれば、
尚良いのだと思う。
「住宅って何?」というところを常に考えて行きたい。
そう思わせる住宅だった。
今まで手掛けさせて頂いた住宅と行きつ戻りつしながら、
これから携わる住宅に向かい合って行きたい。
多分、答えはない。
多分、答えは、いらない。
多分、答えは、その「考える」という行為の中にのみある。
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■編集後記
今回は、かなりインスパイアされた出来事を綴りました。
今回も、独断がかなり優先された内容となっています。
一つの事象を見ても、事実は一つなのですが、印象/感想は
見る人により様々に変化します。
そしてその時に置かれている立場や心理状況によっても、時
間の経過と共に、抱く印象/感想は一人の人間の中でも変化
するものと思います。
「設計期間」は意外と長いものです。
そして「建物の寿命」はかなり長いものです。
その「長さ」に耐えられるような長期的な目で設計をする事
が、実は非常に重要だったりします。
本文とは全く関係ありませんが、設計するときにはそんなこ
とも考えています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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