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09.10.19 Monday

潔さ

■おはようございます。「空間工房 用舎行蔵」です。

 今回は、とあるオープンハウスに伺った時の印象/思考から

 感想がてらに書かせていただきます。

 設計者が設計した家に対する別の設計者の視点です。

 それでは、おたのしみください。

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■潔さ

 先日、とある設計事務所のオープンハウスへ寄せて貰った。

 業界ではかなりメジャーな建築家の設計した住宅である。
 とだけ言っておこう。
 
 そこで感じたことを少し。

 自慢じゃないが、他人のオープンハウス(完成見学会・披露会)
 には滅多に足を運ばない。
 理由としては、あまり影響を受けたくない。というすごく了見
 の狭い理由。
 でも人並みに自分が「良いな」と思う建築には足を運ぶ。

 それはさておき。。

 今回は、恐らく今後様々な雑誌を賑わせるだろう住宅建築が一
 体どのようなものかを自分の眼と身体で感じてみたかったとい
 う理由で見に行ってきた。

 若干ミーハー的要素も入ってはいるのだが、折角の機会だから
 行ってみた。

 兎に角「潔い」。一言で言えば、それが印象だった。

 コスト的にも勿論潔い=ローコストだと思うのだが、単に無駄
 を削ぎ落とした潔さとは全く次元の違う印象を受けた。

 カタチはむしろ、見たことのないシルエットで、外から見ただ
 けではその潔さが分からない。

 やはり、内部の空間構成にそれを感じた。間仕切りは一切とい
 っていいほど、無い。

 つまり空間を仕切るものは、敢えて言えば「床」だけ。
 半地下+2階+ロフトという構成。

 しかも床面積は決して広くない。

 恐らく横幅2m弱の細長い場所が生活空間として提供されてい
 るのみ。一般常識から言えば、完全に「あり得ない」狭さ。
 だと思う。

 「横幅2m」。誇張しているわけでも何でもないですよ。
 強調はしてみましたが。。

 数字だけみればちょっと広い廊下に住むようなものだ。

 でもしっかりと、生活できる。というか、生活が想像できる。
 しかも豊かな生活が。

 あれは一体何なんだろう。これを見た時に思ったこと。

 「住宅って一体何なんだろう。」

 常識を常識として捉えてきた概念自体が覆される想いだった。

 勿論、だから狭くても大丈夫。とか。間仕切りなんていらない。
 という発想にはならない。今のところ。

 あれはあれ。なのだ。

 住宅に一般解はない。と思う。家族の人数も違えば、土地の大
 きさも違うのだから。

 そして一般解に近付けば近付く程、商業的回答になる気がする。

 イメージとしては、ハウスメーカーやマンション。

 それが良い、悪いは誰が決めることでもない。住んでいる人の
 満足度が高ければ良いのだと思う。

 更には、その物体が街並みを美しくする一役を担っていれば、
 尚良いのだと思う。

 「住宅って何?」というところを常に考えて行きたい。

 そう思わせる住宅だった。

 今まで手掛けさせて頂いた住宅と行きつ戻りつしながら、
 これから携わる住宅に向かい合って行きたい。

 多分、答えはない。

 多分、答えは、いらない。

 多分、答えは、その「考える」という行為の中にのみある。

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■編集後記

 今回は、かなりインスパイアされた出来事を綴りました。

 今回も、独断がかなり優先された内容となっています。

 一つの事象を見ても、事実は一つなのですが、印象/感想は
 見る人により様々に変化します。

 そしてその時に置かれている立場や心理状況によっても、時
 間の経過と共に、抱く印象/感想は一人の人間の中でも変化
 するものと思います。

 「設計期間」は意外と長いものです。

 そして「建物の寿命」はかなり長いものです。

 その「長さ」に耐えられるような長期的な目で設計をする事
 が、実は非常に重要だったりします。

 本文とは全く関係ありませんが、設計するときにはそんなこ
 とも考えています。

 最後までお読みいただきありがとうございました。

コラム | by muranishi | comments(0)

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