空間工房 一級建築事務所

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13.03.01 Friday

ファブレット

■新聞の経済面を眺めていると、毎日いろんな製品や商品が

世の中に送り出されていることが見えるので、結構楽しい。

ただ、「おっ!」と思うような製品にはなかなか出会えないの

も事実である。それだけヒット商品を世の中に送り出すのは

難しいということなのだろう。恐らく色んな分野の色んな開発

者達が「これだ!」「どうだ!」と思うものこそを世の中に送り

続けているのだろうが。

そんな経済面の中から「おっ?」と思った商品を一つ。

それではどうぞおたのしみください。
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■視点-218 ファブレット

スマートフォンとタブレットの良いとこ取りをした端末機器の
ことを「ファブレット」と呼ぶらしい。

スマートフォン(通称スマホ)は通話が出来て、ネット環境も
整っているので、それ一台で通信関連が全て賄える。ただ、画
面が小さいので、40歳代以降にはやや眼にやさしくない。

一方タブレット。画面が大きくて視認性や操作性に優れている。
しかし「電話」という通信手段での会話が出来ない。まあ、相
手もタブレットであれば、スカイプその他を使ってTV電話が
通話料無料で出来るのだが、普及率はそれほど多くない上公共
の場で携帯電話と同じようにTV電話するのはかなり勇気がい
る。室内やオフィス内であれば何の問題もないのだろうが。

そこで最近各メーカーが相次いで新機種を投入しているのが、
ファブレット。ずっこけそうになる、なんとも気が抜けそうな
響きであるが、新聞にそう書いてあったので仕方がない。

スマホよりやや大きめで、画面の視認性・操作性がよくて通話
が出来る代物。個人的には「スマホ」以外のなにものでもない
気がするのだが、区別が良く分かるため「ファブレット」なの
だろう。

実物を手に取ったり、見かけたことはないので、実感が湧かな
いが、果たして流行る(売れる)のだろうか?

いろいろな製品の進化過程を見ると、大概は「小型化」の方向
に動くのが世の常だったような気がする。が、これは明らかに
TVなどと同様に「大型化」に向かった製品の一つだと思う。
まあ、タブレットからすれば小型化になるのだが。

一言で言ってしまえば、通信類を一つにまとめた端末機器の最
適の大きさは、各メーカー共「未だ模索中」ということなんだ
ろう。スマホ自体、一時期の携帯電話から比べれば格段に大き
いわけで・・。

カタチだって、アイフォンがスマホのさきがけだったので、今
のスマホのカタチが主流となっているが、フトした拍子にもっ
と違ったカタチが出現するかもしれない。もし現在のカタチが
最終形なら携帯開発関連の仕事がなくなる。少しずつ進化し続
けることで、突然変異的に便利なものが生まれるのだと思う。

まあ、現実は既に「スゴイ」感じのものが、世の中の表に出な
いどこかで出番を待っているのだろうが。

さて、通信機器や情報端末の話しはこれくらいにしておいて、
住宅の話し。

必要最小限の快適な広さについて考えている。これまでの経験
上、4人家族が暮らす必要十分な広さは概ね33坪~35坪程
度だと感じている。しかし実際には20坪程度でも生活は可能
である。快適かどうかは別として。

広さ以外の要素を全て快適にすれば、快適な住まいとなるか。
と問われれば、少し考える。日当り、風通し、眺望、開放感、
暑さ寒さ、湿気、質感、肌触り、動線、機能性、操作性、メン
テナンス性、安全性、音環境、防火性、防犯性、コスト、エコ
そしてデザイン性といった全てが快適。でも滅茶苦茶狭い。と
いうのであれば、滅茶苦茶狭い時点で決して快適ではないハズ
である。完璧なカプセルホテルが恐らく快適でないように。い
や、寝るだけなら広さは関係ないかもしれないが。

故に必要最小限の広さ。というのは結構重要なのである。と思
う。快適な「狭さ」というのがあっても良い。マネしてみたく
なるような「狭さ」が発見出来れば、うれしい。

最小限住宅というのがある。いわゆる9坪ハウスという名でも
リメイクされている住宅である。設計者は増沢洵氏。その空間
に共感する人が居るからこそのリメイク。なのだと思う。実際
の空間を体験したことはないので、どれほど素晴らしいのかは
「ファブレット」同様に実体験からの感想を述べることは残念
ながら出来ない。しかし、きっとそこには快適な狭さが実現出
来ているのだろうと思う。9坪といえば、一辺5.4mの正方
形の広さである。帖数にして18帖。2階建てで一部吹き抜け
ているので、延べ床面積は27帖(13.5坪)。流石に4人
で生活するには厳しい狭さだが、二人暮らしなら十分と言える。

デジカメ、メール、ネット、ゲーム、音楽そして電話といった、
いわば電話という機能を持った端末に、いかにプラスして機能
を詰め込んでいくか?というのがスマホの開発ベクトルだとす
れば、それは「足し算」のデザインと呼べるかもしれない。さ
らに操作性、視認性を足したのが「ファブレット」。恐らく9
坪ハウスは、その対極にある「引き算」のデザインだと思う。

これ以上引けない。値切り交渉ではないが、そこが必要最小限
の広さであり、快適な狭さなのだろう。携帯の大きさ同様、模
索し続けることが大切である。と思っている。
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■編集後記

もうすぐひな祭りです。春近し、です。この季節になりますと

全国各地で雛人形をお披露目したりする光景をニュースなどで

よく目にします。中には、宮殿付きの目を瞠らんばかりの豪華

な雛飾りもあったりします。まあ、通常は5段飾りや7段飾り

が主流なのでしょうが。

我が家にも女の子がおりますので、毎年雛飾りをいたします。

シンプルに「お雛様とお内裏様」の二名のみ。これ以上引くと

何飾りか分からなくなります。
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引く勇気と足さない勇気。

後者のレベルが完成形。

コラム | by muranishi | comments(0)

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